体験会〜“きれい”がもたらした小さな奇跡〜
2025年7月22日 11:57 AM
こんにちは。
国際介護士の上地(ウエチ)です。
この連載では、「整えること」が心に与える影響を、ケアの現場からお伝えしています。
第7回は、開催してきたケア美容体験会で実際に起こった“きれい”の物語をご紹介します。
・介護中のご家族
・サポートを受けながら暮らす高齢者の方
・お仕事帰りに立ち寄ってくださった方 など様々。
ふらっと立ち寄り、
「ちょっとだけでも…」と手を差し出してくれた方々の中で、
“きれい”という言葉が、心にやさしく届いていく様子を私は何度も見ました。
◆「きれい」と言われた瞬間に生まれる“変化”
ある60代の女性。
介護真っ最中で、髪もボサボサのまま駆け込むように来てくれた方でした。
ハンドケアを受けながら、ずっと「忙しくて何もできなくて…」と繰り返していたその方に、
施術のあとに一言。「お肌、綺麗ですよ!大事にされている感じがします」
その瞬間、目がふっとゆるんで、
頬が赤らんで、
「えぇ…ほんまですか?」と、小さく笑ったその表情が、とても印象的でした。
“きれい”って、鏡じゃなくて、人のまなざしで感じるもの。
そう思えたひとときでした。
◆認知症のご家族を介護する方の声
別の女性は、認知症のご主人を毎日介護しているとのこと。
「自分が何年も鏡をちゃんと見てない」と話していたその方は、
ケアのあと、ふと鏡をのぞきこみ、ぽつり。
「…もうちょっと、ちゃんとした顔してると思ってたんやけどな(笑)」
でもそのあと、
「この時間、すごく気持ちよかった。帰ってまた頑張れるかも」と言ってくださいました。
“きれい”と向き合うことは、自分と再びつながること。
そして、また誰かのために立ち戻る力になるのです。
◆「おばあちゃん、きれい!」の一言が起こした奇跡
さらに、ある親子三世代で来場されたご家族の中で、こんな出来事がありました。
ネイルケアを受けた80代のおばあちゃんに、
お孫さんが駆け寄って言ったひと言。
「おばあちゃん、今日めっちゃきれい!」
その言葉に、おばあちゃんはびっくりした顔をして、
ゆっくりと微笑み、
「ありがとう、あんたにそう言ってもらえたら嬉しいわ」と。
それを聞いたご家族も、まるで空気がふわっと変わったように和やかに。
“きれい”は、家族の中の空気をも変える魔法なんだと、実感しました。
◆ふれて、語って、笑いあう時間をまた
今回の体験会で改めて感じたのは、
ケア美容は、技術以上に“場”の力でできているということ。
手にふれて、言葉をかけて、
笑って、泣いて、ほっとして──
その流れのなかに、
「誰かにちゃんと見てもらえている」という感覚が生まれ、
“生きる力”がそっと満ちていく。
そんな時間を、これからもつくっていきたいと、心から思いました。
今後も、ケアする人・される人のどちらにも届く体験会を各地で開催予定です。
📌開催情報は、ブログやSNS、マイスキューで随時お知らせします。
📌どなたでも、お気軽にご参加いただけます。
「きれい」と言われること、誰かにふれてもらうことが、心をふっと軽くする時間になりますように。
📌次回予告:第8回(最終回)「ケア美容がひらく未来 ― 日本発のケア文化を世界へ」
国際介護士の視点から、日本の“整容ケア文化”が世界に果たせる役割を語ります。
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