管理者:
国際介護士上地智枝#X00006
介護経験:
2025年6月17日 8:54 AM
第6回:“きれい”って言われて、涙がこぼれた日
こんにちは。
国際介護士の上地(ウエチ)です。
この連載では、整容・美容ケアを通して感じた「心の変化」を、介護の現場や日常から綴っています。
第6回は、“きれい”というたったひと言が持つ、不思議な力について。
ケアする家族の視点と、自分自身の体験から、静かに心を見つめ直してみたいと思います
◆「きれいだね」と言われた日、涙がこぼれた
いつぶりだっただろう。
誰かに「きれい」って言われたのは。
慌ただしい日々の中で、鏡を見る時間さえ惜しくて、髪も顔も、心も「どうせ今さら」と、どこかで投げ出していた。
そんなとき、何気なくハンドトリートメントをしてくれた人が、ふと目を見て言ってくれた。
「今日のあなた、とってもきれいですよ」その瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなって、笑いながら、でも気づいたら、涙がこぼれていた。
◆「あの人も、そうだった」
施設で出会った、あるご高齢の女性。
美容ケアのあと、鏡を渡したらじーっと自分の顔を見つめて、ぽつりとこう言いました。
「なんや、私、まだ女やったんやなあ…」
その目には、うっすら涙がにじんでいて、
でもどこか、誇らしげで、照れているようでもありました。
きれいになることは、
「私なんてもう…」と感じていた心に光を当てること。
自分を、もう一度信じてあげられるようになる時間。
それが、ケア美容の本当の力だと思います。
◆鏡を見る時間は、“わたし”に戻る時間
誰かのためにばかり過ごしてきた毎日。
気づいたら、自分の顔すらちゃんと見ていなかった。
でも、
鏡に映った“いまの私”をちゃんと見つめることで、
「わたしは、ここにいる」と思えるようになる。
そうやって、自分とまたつながる時間を、
美容ケアはそっとつくってくれます。
◆あなたは最近、鏡をゆっくり見ましたか?
「きれい」と言われて、涙が出たこと。
自分の顔を見て、「まだ大丈夫」と思えたこと。
誰かの表情がふっとやわらかくなった瞬間どれも、ケア美容が生んだ“心の記憶”です。
そしてその記憶は、自分を大切にする気持ちの根っこになっていきます。
次回の第7回では、
“きれい”という言葉がもたらした変化を描いていきます。
どうぞ、楽しみにしていてくださいね