1. 安心感のある着ごこちを追求した、毎日の定番「深ばきパンツ」
通年販売の「深ばきパンツ」の特徴は、しっかりと厚みのある布はくの生地。洗濯機で洗えて、乾燥機にかけてもOKというケアの手軽さがポイントです。
「毎日着るパンツは、洗濯乾燥に手間がかからないものがいい。そういった介護の現場からのニーズから、このパンツの開発は始まりました。特に介護施設にいらっしゃる方の場合、乾燥機で服が縮んでしまうということがよくあるようで。売り場から上がってくるそうしたお客様のご要望にこたえられるようにと、素材から設計までこだわってきました」
こう教えてくれたのは、開発担当の雨宮久さん。
「生地はポリエステル100パーセント。目の詰まった織りにしてあるので、へたりにくく伸びにくいんです。また、抗菌防臭加工を施した素材なので、黄色ブドウ球菌などニオイの原因になる菌の増殖を抑える効果が。汗をかきやすい夏でも、いつも気持ちよく着ていただけるんです」
2. “深ばき”というネーミングに納得の、ゆったりとした腰回り
シルエットにもぜひ注目を。「65歳以降の高齢者の方の、お腹まわりがゆったりとした体型を考慮し、文化服装学院と共同でパターンを開発しました」。紙おむつを使用している方でもきゅうくつに感じないように、ワタリの部分がぐっと広めに取ってある設計です。
また、パンツの後ろ側を長めに取ることで、日常の体の動きを妨げない着心地を実現。「立ったりしゃがんだりを繰り返してもずれることなく、背中が出てしまう心配もないんです。それから、センタープレス入りなので、きちんとした印象で着こなしていただけます」。
「ウエスト部分には、ネームタグをつけました。というのも、介護施設やデイサービスを利用する際には、個人の持ち物すべてに名前を記入しておくというのが一般的だからです。このタグがあらかじめついていれば、そうした細かな準備のストレスをちょっとでも軽くすることができるのでは、と」
サイズ展開がS〜4XLと幅広く、丈も股下55cmと60cmの2種類から選ぶことができるというのもポイント。色は黒、グレー、渋茶と、一年を通してどんな服とも合わせられる万能色が揃っています。
3. 前後をなくしスムーズに着用、より高齢の方のための「どっちも前パンツ」
「深ばきパンツ」が65歳以上の方向けであるのに対し、こちらの「どっちも前パンツ」は、80歳以上の方を想定したモデル。開発担当の雨宮さんによれば、「肉体的な衰えが進んだ方でもラクに着脱できるように、前後のないデザインを考案しました」。
4. 見た目はもちろん、ポケットの形まで考え抜かれたデザイン
前と後ろを確認するという手間がなくなり、必要な動作は単純に「パンツをはく」ということだけ。「痴呆が始まった方にもやさしく、同時に、介護をする方が着替えのお世話をする際も負担が軽くなる。どちらにとってもラクであるというのが、このパンツの特徴なんです」
見た目、着心地ともに違和感がないというのが最大の特徴。ウエストは脱ぎ着しやすい総ゴム仕様で、深い股上がお尻から背中までしっかりと包み込みます。両サイドに付けたポケットは内袋を円形に取ることで、前後どちらから手を入れてもストレスのない作りに。こちらもセンタープレス入りで、きちんとした印象を保ちます。
生地は抗菌防臭加工済みで、洗濯機、乾燥機の使用が可能。毎年春夏と秋冬、それぞれのシーズンに色や素材感を変えてリリースされており、これから夏場にかけては、サラッとした肌触りでシワになりにくい素材で登場。サイズはS〜XLまで4段階で、股下58cmと60cmの2種がラインアップ。2色展開です。
5. 取材を終えて…
今回のお話で印象的だったのが、「介護を受ける人にも、介護する人にもやさしい商品」という考え方。
「ひと言に高齢者と言っても、実際は小学校の1年生と6年生くらいの幅がありますし、着るご本人ではなく介護者の方が代理で服を買いに行くというケースも多い。そういった背景への理解を深めながら、商品開発に取り組んでいます」と雨宮さんは教えてくれました。
トップバリュの売り場では、接客担当のスタッフが買う側の悩みやニーズを日々の対話の中で汲み取っており、その声が開発チームに届けられているのだそう。介護に向き合う人々の、小さな声を形にした2つのパンツ。くつろいだ家での時間も、ちょっとお出かけする時も、着る人が自分らしく過ごすことのできる毎日の必需品になりそうです。