シニアケアや介護のある暮らしとは? 日々のケアにまつわるエピソード、現実的な負担について、そして関わる方々の心の内や現制度へのご意見まで。『シニアケア経験者たちの声』は、身内やパートナーのケアを経験した方々の体験記をご紹介するシリーズです。誰かの声が、他の誰かにとってのヒントになるのでは? そう考えて、おひとりおひとりに取材をしています。
シリーズ初回は、30代で母親の介護を経験したAさん(50代・女性)に、育児をしながらの介護について振り返っていただきました。
私が介護を経験したのは、今から20年以上前のことです。もともと持病があった母の病状が悪化し、1人で生活するのが困難に。そこで私と妹が一緒に、日々のお世話をすることになりました。私自身は30代の前半で、まだ子どもも小さいという時です。
それからは、子どもの学校がない週末や祝日に、両親と祖母が暮らす家へ向かうのが普通になりました。私たちの主な役割は、食事の世話と通院でした。当初の母は、家の中くらいならば自ら歩くことができて、トイレや入浴はサポートをしてあげれば自力でなんとかこなせるという状態でした。
医者の先生には、最初からはっきりと「もう元のような体には戻らない」と告げられていました。だから、「これは怪我が治っていくのとは違う。母は日を追うごとに動けなくなっていくんだ」と私も妹も理解していたんです。それでも、まず何よりもショックが大きかったですし、お世話をするにも何をどうしていいのかわからない……という戸惑いも。それと同時に、「こんなに早く、介護をすることになるとは」と圧倒されたことも覚えています。
著者:MySCUE編集部
MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。