超高齢社会の進行とともに、家庭内で介護を担う人の心身の負担は見えにくく深刻化しています。近年、認知症の問題と並んで注目されているのが、介護疲れを背景とした飲酒習慣の変化です。頑張りすぎる人ほど陥りやすい、その実態を考えます。

1. 高齢者の介護をする人の飲酒習慣

要介護状態となった家族を自宅で介護する家族では、特に女性にかかる負担が、想像を超えるほど大きくなるのが現実です。実際、自分の親や義理の親を介護している人の多くは、子育てを終えた中高年の女性たちです。日中はパートタイムで働き、帰宅後には介護に追われ、ホッと一息つく暇もありません。介護保険による訪問サービスやデイサービスを利用しても、家の中で最終的に責任を負うのは家族であり、その重圧は決して軽くないのです。

そんな毎日の中で、夜のひとときだけでも心をほどく手段として、アルコールに頼ってしまう人がいます。短時間で気持ちを切り替えられる手軽な“癒やし”として、晩酌が習慣になり、気づけば依存症の兆しが表れている。そうしたケースが近年目立つようになってきました。

全国的な統計は少ないものの、臨床現場では超高齢社会を背景に介護疲れをきっかけとしたアルコール依存症の患者数は確実に増加しています。特に、元々「人のために頑張りすぎてしまう」傾向のある人ほど、自分の限界を後回しにして献身的な介護を優先し、結果的に心身をすり減らしてアルコールの助けを必要とするようになっているのです。

「親を施設に入れるのはかわいそう」「私が面倒をみなければ」という思いが、結果的に自分自身を追い詰めてしまうことがあります。

毎晩のようにお酒を飲んで気を紛らわせている、そんな自覚がある人は、一度立ち止まって、自分がアルコールに依存し始めていないかを振り返ってみてください。負担が過剰になっていないか。施設の利用など、第三者の手を借りる方法はないでしょうか。うまく外部の力も借りながら家族全体で支え合うことが、介護を長く続けていくためには必要です。

依存が始まるきっかけや経緯は人それぞれ異なりますが、誰にも相談せず、自分ひとりで何とかしようとする姿勢が、繰り返しの依存行動を助長する要因として見受けられます。依存症の本質は「一人癒やし」の行為、すなわち孤独なセルフケアの積み重ねであると考えています。その行動は、最初は痛みや不安から自分を守るための手段だったかもしれません。しかし、外界とのつながりをたったまま、孤立した癒やしに頼り続けることが、やがて依存症に姿を変えていくのです。



参照:新国民病“一人癒やし“としての依存症』海野順著 幻冬舎


海野 順(うみの・しゅん)
香川県高松市にある依存症治療拠点病院、認知症疾患医療センターである医療法人光風会 三光病院の院長、理事長。三光病院では、依存症外来のみならず、こども外来(ネット・ゲーム依存)、ものわすれ外来、てんかんの外来などの診療を行っている。そのほか、日本アルコール関連問題学会理事。全日本断酒連盟顧問。厚生労働省 地域におけるアルコール関連問題への対応と医療との円滑な連携に関する検討委員などを務める。年間100件近くの講演やセミナーを行うなど精力的な活動を行うと共に、アルコール依存症は非常に身近な病気であり患者やその予備軍が多く存在するという現実を知ってほしいという思いから『新国民病“一人癒やし“としての依存症』(幻冬舎)を執筆。NPO法人「ひとしゅが」と共にイオンモールなどの商業施設を会場として「空と海とボクのこころ」というイベントを開催するなど依存症の正しい知識の普及や医療スタッフによる相談会も各地で行っている。



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お酒の依存度チェック

出典元:減酒.jp

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著者:大塚製薬株式会社

グローバルに展開するトータルヘルスケア企業として、私たち大塚製薬の企業理念には「自らの手で独創的な製品を創る」「健康に役立つ」「世界の人々に貢献する」という思いが込められています。
私たちは、「大塚だからできること」「大塚にしかできないこと」とは何かをより深く追求し、大塚の礎である「実証」「創造性」の精神のもと、たゆまぬ努力を行い、さらなる飛躍を目指したいと考えています。

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