シニアケアにかかる経済的負担を軽減する公的支援制度に「特別障害者手当」があります。「障害者手帳を持っていないと受給できないのでは?」と思われがちですが、実は手帳の有無は問われず、介護が必要な高齢者も対象になる場合があります。

 

今回は特別障害者手当の対象者や支給額、申請方法を解説していきます。

 

1. 年間約35万円を受け取れる「特別障害者手当」とは?

特別障害者手当は、精神または身体に著しく重度の障害があるために、日常生活において常時特別な介護を必要とする方に対して国から支給される手当です。重度の障害を持つ方の精神的、経済的な負担を軽減することを目的としています。

 

◾️特別障害者手当の支給額と支給時期

 

支給額
2025年(令和7年)4月からの支給額は、月額2万9,590円です。受給できれば、年間で計35万5,080円にもなります。また、市区町村ではなく国から支給される手当のため、どこの地域に住んでいても要件に該当すれば同額が支給されます。

 

支給月と支給方法
受給決定の翌月分から支給が始まります。手当は年4回、以下の月にそれぞれの前月分までがまとめて振り込まれます。

 

・5月(2月、3月、4月分)
・8月(5月、6月、7月分)
・11月(8月、9月、10月分)
・2月(11月、12月、1月分)


介護が必要な状態になると、おむつ代や医療費、介護サービスの利用料など、これまでかからなかった費用が発生し、家計への負担が大きくなります。

 

物価高の影響で介護費用の捻出に苦労している方や、介護のために仕事をセーブせざるを得ない方にとって、年間約35万円が支給されるこの手当は、経済的な負担を軽減する大きな支えとなるでしょう。

 

MySCUE記事 介護費用負担イメージ

2. 「特別障害者手当」の受給要件

特別障害者手当は、名称に「障害者」という言葉が含まれているため、「障害者手帳を持っていないと受給できないのでは?」と誤解されがちですが、障害者手帳の有無は問われません。高齢者でも条件を満たせば対象となります。

 

◾️受給できる方
特別障害者手当の対象となるのは、以下の要件をすべて満たす方です。


・20歳以上の方


・「在宅」で介護を受けている方

(※住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入居中の方は「在宅扱い」となる場合があります)


・日常生活において常時特別の介護が必要な方


高齢者では、「在宅」で介護を受ける重度の認知症の方や、要介護4〜5の方が対象となる可能性があります。ご家族が該当していると思われる場合は、お住まいの市区町村へ問い合わせてみると良いでしょう。

 

◾️支給されない場合
ただし、申請しても、必ず受給できるわけではありません。以下に該当する場合は支給対象外となるため、ご注意ください。


・受給資格者(本人)・配偶者・扶養義務者の所得が一定額以上ある


・特別養護老人ホームや養護老人ホームなどの施設に入所している


・病院や診療所に3ヶ月以上連続して入院している


・受給資格者(本人)が日本国内に住所がない


※所得制限について
特別障害者手当には所得制限があり、以下の表の金額を超えると対象外となります。


【所得制限限度額】

 

MySCUE記事 特別障害者手当

 

※1 所得額は、地方税法の都道府県民税についての非課税所得以外の所得等から、医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた額です。


※2 収入額の目安は、給与所得者を例として給与所得控除額を加えて表示した額です。


出典:厚生労働省「特別障害者手当について

 

3. 「特別障害者手当」申請は市区町村の窓口へ

特別障害者手当の申請手続きは、市区町村の障害福祉担当窓口で行います。申請から受給までの流れは以下の通りです。

 

1. 市区町村の窓口に相談し、申請書類を受け取る
障害福祉担当窓口で、特別障害者手当認定請求書や特別障害者認定診断書(所定の様式)、その他必要書類一式を受け取ります。

 

2. 医師に診断書を作成してもらう
診断書の記入医師に指定はありませんが、障害や病状に係る専門資格を持つ医師が望ましいとされています。

 

3. 申請書類を準備し、窓口に提出する
以下の書類を揃え、市区町村の障害福祉担当窓口に提出します。

 

・特別障害者手当認定請求書
・診断書
・所得状況届
・戸籍抄本または謄本
・マイナンバーを確認できるもの
・年金証書(年金受給者のみ)
・障害者手帳(取得者のみ)
・本人名義の預金通帳など

 

※市区町村によって、必要な書類の種類が異なる場合があるため、事前に確認しましょう。

 

4. 審査を受ける
提出された書類をもとに審査が行われます。通常2〜3ヶ月かかります。

 

5. 結果通知が届く

 

6. 特別障害者手当の受給開始

一度認定されると、原則として毎年8月に「現況届(所得状況届)」を提出する必要があります。これを怠ると手当の支給が差し止められることがあるため、忘れずに手続きを行いましょう。

4. まとめ

在宅で生活する重度の認知症の方や要介護4・5の認定を受けている方は、特別障害者手当の対象になる可能性があります。ご家族が要件に当てはまると思われる場合は、市区町村へ確認してみましょう。


介護生活は長期にわたることも珍しくありません。経済的な負担を少しでも軽減できれば、安心して介護を続ける大きな支えになります。利用できる公的支援を積極的に活用していきましょう。

 

画像:写真AC




新規会員登録

この記事の提供元
Author Image

著者:中谷 ミホ

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級

関連記事

シニアの体型とライフスタイルに寄りそう、 2つの万能パンツ

2022年7月23日

排泄介助の負担を軽減!排尿のタイミングがわかるモニタリング機器とは?

2022年9月23日

暮らしから臭い漏れをシャットアウト! 革新的ダストボックス

2022年9月5日

Cancel Pop

会員登録はお済みですか?

新規登録(無料) をする