1. 介護サービスは組み合わせて利用する
介護保険で利用できる介護サービスは多岐にわたりますが、初めての介護では、サービスの選び方や使い方などよくわからない、という方がほとんどだと思います。
在宅で介護をする場合は、ご本人に合ったサービスは何かを考えて、複数のサービスを組み合わせて使うのが一般的です。高齢者ご本人やご家族だけで考えてケアプランを作成することはとても困難です。介護にかけられる時間やお金、ご本人やご家族の希望のほか、何が不安なのかをケアマネジャーに伝えて、一緒にケアプランを考えていきましょう。
在宅での介護生活を支える介護保険サービスは主に「環境を整備する」 「外に通ってサービスを受ける」 「外から訪問してもらう」「宿泊する」の4つにわけられます。これらを組み合わせて、サービスを活用していくことになります。
在宅で介護する場合、図の中の緑色のサービスを主に利用していくことになります。
2. 「環境」を整備する
◎福祉用具レンタル
車椅子、スロープ、特殊寝台など対象13品目から必要な福祉用具をレンタルできます。品目によっては要支援1・2、要介護1の人は利用できないものもあります。
◎住宅改修
手すりの取り付け、引き戸などへの扉の取り換え、段差解消など、自宅で安心して暮らすための改修費用が支給されるサービスです。1つの住宅につき20万円が限度となります。
3. 外に「通って」サービスを受ける
◎デイサービス(通所介護)
食事や入浴などの日常生活の支援を日帰りで受けられるサービスです。同年代との交流やレクリエーションに参加することができます。ご利用者の自宅から施設までの送迎も行われます。
◎デイケア(通所リハビリテーション)
食事や入浴などの日常生活の支援や、身体機能向上・維持のためのリハビリテーションを日帰りで受けられるサービスです。ご利用者の自宅から施設までの送迎も行われます。
4. 外から「訪問」してもらう
◎訪問介護
ホームヘルパーがご利用者の自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などのケアを行う「身体介護」と、掃除・洗濯・買い物・調理などの「生活援助」を行います。自宅での自立した日常生活が送れるように支援するサービスとなります。
◎訪問看護
看護師などがご利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいて健康チェックをしたり、療養上の世話や医療的処置を行ったりするサービスです。
◎訪問入浴介護
看護職員・介護職員がご利用者の自宅を訪問し、簡易浴槽を持ち込んで入浴・洗髪を行うサービスです。
◎訪問リハビリテーション
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがご利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいて日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行います。
5. 「宿泊」する
◎ショートステイ(短期入所生活介護)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などに短期間(数日~最長で30日まで)入所します。そこでは、入浴や食事などの日常生活の支援を受けることができます。
6. 事例をもとに考える①
今回の動画では、介護保険サービスの組み合わせについて事例を用いて紹介しています。
7. 事例をもとに考える②
こちらは、これまで元気で一人暮らしをしていたお父様が、ある日突然脳梗塞で倒れてしまった事例です。お父様は幸い一命を取り留めたものの、脳梗塞の後遺症で左半身に麻痺が残ってしまい、要介護3の状態となってしまいました。
日常生活を一人で行うことが難しい状態ではありましたが、本人の強い希望もあり自宅で一人暮らしをすることになったお父様。ケアマネジャーに相談をし、お一人でも生活できるようなケアプランを作成してもらいました。
下図がAさんのお父様のケアプランです。さまざまな介護サービスを組み合わせることで、介護が必要な状態でも自立した生活を継続することが可能になりました。
皆様も介護が始まった際には、担当のケアマネジャーに相談し、必要なサービスを一緒に考えてもらいましょう。
※この記事は2023年4月時点の情報をもとに作成されており、制度内容等は変わる場合があります。