1. 2~3ホームに絞って比較検討する
老人ホームへ入居することを決めたら、次はいよいよ具体的に探し始める段階です。ホームは毎日を過ごす生活の場所であり、終の棲家となる可能性もありますよね。だからこそ、入居するご本人とご家族が納得できる選び方をしたいものです。
そのためには、まずは状況を整理することが大切です。
現在のご本人様の介護の状況、予算感、どんなエリアに住みたいと考えているか、などをまとめてみましょう。
特に大切なのは「ご本人様がどのような生活を送りたいと考えていらっしゃるか」です。例えば「健康的に暮らし続けたい」というご希望があればリハビリやアクティビティを活発に行っている施設、「今まで通り外出して買い物をしたい」とご希望されていたら買い物に便利な立地を選ぶ、「植物を育てるのが好きだった」という方なら広い庭のある施設など…。施設探しに取り掛かる前にまずはご家族でしっかりと話し合い、条件のすり合わせをしておきましょう。
ホーム選びの条件が定まったら次は候補を絞っていきます。
満足のいくホーム選びのためには見学は必要不可欠です。パンフレットやホームページの情報だけでは、ホームの雰囲気やサービスの質はわかりません。条件にあったホームを2~3ヶ所に絞り込んで、比較・検討することが大切です。この際、ケアマネジャー、地域包括支援センター、病院のソーシャルワーカーなどに相談してみるのも有効です。
見学をする際は予約をしましょう。急な訪問では、担当者の不在やほかの見学者の対応などで十分な説明が受けられないことがあります。
また、見学の際には、資料を見て気になった点、例えばサービスや食事内容、看護・医療ケア、入居にかかる費用や月額利用料、その他費用のことなど、聞いておきたいことをメモして確認漏れのないようにしておきましょう。
見学は1人ではなく2~3人で行くなど、複数の視点があるとより安心です。可能であれば、民間の老人ホーム紹介センターの相談員などのプロの目もあると更に心強いです。1度の見学ですべてを確認することが難しければ、納得できるまで何度でも見学に行きましょう。その場合は前回と時間帯を変えると、ホームの違った表情が見られます。
なおホームは入居者の方たちの生活の場です。見学時はよそのお宅を訪問しているという心構えとマナーで行動しましょう。
2. 施設長は必ず紹介してもらいましょう
ホームで楽しく暮らすためには、一緒に生活する方たちの雰囲気が大切なポイントとなります。見学は多くの入居者がダイニングに集まっている昼食時がおすすめです。年齢や男女比、要介護度がどれくらいの人たちが多いのかが一目でわかります。また、ホームの住み心地を大きく左右するのが、スタッフです。入居者に対する態度や言葉遣い、身だしなみなどはしっかりチェックしましょう。そして、居室や共有スペース、入浴設備などは見学しながら、清掃が行き届いているか、衛生管理がなされているかを確認してみましょう。掲示板には季節行事やレクリエーションの様子などが写真とともに飾られていたり、食事の献立や1ヶ月のレクリエーションやイベントの予定などが掲出されていたりして、ホーム生活を垣間見ることができます。
見学では入居相談員から説明を受けることが多いかと思いますが、必ず施設長も紹介してもらいましょう。施設長は施設運営のかじ取り役であり、スタッフの上司です。施設運営やスタッフ教育についての考え方、ホームの特徴などをできれば直接聞きながら、人柄を確かめられるとよいでしょう。さらに、運営法人の確認も大切です。近年は、介護を専門とする企業だけでなく、医療系、不動産・建築系などの参入が増えてきています。大手企業であっても、運営法人が交代・倒産してしまった例もあります。経営母体の介護事業の実績、財務状況、事業理念などを確認しておきましょう。
「まだ入居はしないが、試してみたい」という場合は、ショートステイ(介護保険サービス外の場合もあります)を行っているホームであれば、それを使ってみることもできます。ショートステイは在宅介護をしながら活用するサービスですので、有料老人ホームを試すのに適しています。実際、事前に何度かショートステイを利用してみて、良かったホームに後から入居するというケースも多くあります。
よく耳にする「体験入居」は本契約を前提としている場合が多く、入居を決めたホームのスタッフや入居者の雰囲気や、入浴や食事、排泄ケアなどの実際のサービスが合っているかを最終確認するためのものです。利用できる期間は、1泊2日のところもあれば、1~2週間など、ホームによりさまざまです。
しっかりと吟味して、ご本人様とご家族様が納得できる入居先を見つけましょう。
※この記事は2023年4月時点の情報をもとに作成されており、制度内容等は変わる場合があります。