1. 要介護認定とは?
要介護認定とは「介護が必要な状態か?」「どれくらいくらい必要か?」を判定する重要な審査のことです。
この審査で「要介護状態」(寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態)、もしくは「要支援状態」(家事や身支度等の日常生活に支援が必要な状態)と判定されると、介護サービスを利用することができます。
●要介護認定の結果は8区分
要介護認定の判定結果は、以下の通り「要支援1・2」「要介護1〜5」の7段階と、「非該当(自立)」に分けられます。
《非該当(自立)》
介護を必要としない状態
《軽度》
・要支援1
排泄や食事はほとんど自分ひとりでできるが、要介護状態とならないように身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とし、適切にサービスを利用すれば改善の見込みの高い方。
・要支援2
排泄や食事はほとんど自分ひとりでできるが、身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とし、適切にサービスを利用すれば改善の見込みの高い方。
・要介護1
排泄や食事はほとんど自分ひとりでできるが、身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
《中度》
・要介護2
排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがあり、身の回りの世話の全般に何らかの介助を必要とする。歩行や移動の動作に何らかの支えを必要とする。
・要介護3
身の回りの世話や排泄が自分ひとりでできない。移動等の動作や立位保持が自分でできないことがある。いくつかの問題行動や理解の低下が見られることがある。
《重度》
要介護4
身の回りの世話や排泄がほとんどできない。移動等の動作や立位保持が自分ひとりではできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある。
《最重度》
要介護5
排泄や食事がほとんどできない。身の回りの世話や移動等の動作や立位保持がほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある。
なお、非該当(自立)と認定された方は、介護保険によるサービスは利用できませんが、市区町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業の生活支援サービスなどが利用できる場合があります。
2. 要介護認定の流れ
次に、要介護認定の流れを見ていきましょう。
《要介護認定の流れ》
1.要介護認定の申請(市区町村窓口)
↓
2.認定調査・市町村の依頼で主治医が意見書を作成
↓
3.一次判定(コンピュータ判定)
↓
4.二次判定(介護認定審査会)
↓
5.要介護認定(要介護度の決定)
要介護認定の申請は、原則として本人または家族が市区町村の担当窓口に出向いて行います。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に代行申請をしてもらうことも可能です。
申請の際には、介護保険証(40~64歳未満は医療保険証)が必要となりますので、忘れずに持参しましょう。
申請が受理されると、市区町村の調査員が自宅などを訪問して、現在の様子を聞き取る調査(認定調査)が行われます。また、市区町村から依頼を受けた主治医が意見書を作成します。
要介護認定の審査は、認定調査の結果と主治医の意見書をもとに行われます。審査は、一次判定と二次判定の2段階で行われ、要介護度が決定します。
●一次判定で行うこと
一次判定は、認定調査の結果と主治医の意見書をもとに、コンピュータが判定します。
コンピュータ判定では、次の5分野の介護について、要介護認定等基準時間を算出し、要介護度を分類します。要介護認定等基準時間とは、介護にかかる時間の度合いのことです。
《要介護認定等基準時間の分類》
・直接生活介助:入浴、排泄、食事等の介護
・間接生活介助:洗濯、掃除等の家事援助等
・問題行動関連介助:徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
・機能訓練関連行為:歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
・医療関連行為:輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助等
【要介護状態区分と要介護認定等基準時間】
・要支援:上記5分野の要介護認定等基準時間が 25分以上 32分未満またはこれに相当する状態
要介護1:上記5分野の要介護認定等基準時間が 32分以上 50分未満
またはこれに相当する状態
要介護2:上記5分野の要介護認定等基準時間が 50分以上 70分未満
またはこれに相当する状態
要介護3:上記5分野の要介護認定等基準時間が 70分以上 90分未満
またはこれに相当する状態
要介護4:上記5分野の要介護認定等基準時間が 90分以上110分未満
またはこれに相当する状態
要介護5:上記5分野の要介護認定等基準時間が110分以上またはこれに相当する状態
一次判定はあくまでコンピュータによる仮判定です。また、要介護認定等基準時間は、実際に自宅で行っている介護時間とは異なります。
●二次判定で行うこと
二次判定を行うのは、保健、医療、福祉の専門家から成る市区町村の介護認定審査会です。
介護認定審査会では、一次判定の結果をもとに、認定調査で聞き取った特記事項や主治医の意見書も考慮に入れて、要介護度の審査・判定を行います。
●市区町村による要介護認定
要介護認定は、介護認定審査会の結果に基づき、市区町村が行います。要介護認定の結果は、申請から原則30日以内に通知されます。
3. 要介護認定でよくある質問
ここでは、要介護認定についてよくある質問についてまとめました。
◾️要介護認定の結果に納得できません。
認定の結果が、予想よりも低く不満のある場合などには、まずは、市区町村の窓口へ相談してみましょう。
市区町村の説明にも納得できない場合は、認定の通知を受け取ってから3か月ヵ月以内に、都道府県の「介護保険審査会」へ審査請求(不服申立て)をすることで再認定をしてもらえます。
ただし、この手続きは、結果が出るまでかなりの時間を要します。そのため、認定の結果を変更したい場合は「要介護状態の区分変更申請」を行うほうが30日以内に結果を出してもらえるのでスムーズです。要介護状態の区分変更申請は、市区町村の窓口で行うことができます。
◾️主治医がいなくても、要介護認定は受けられますか?
要介護認定には定期的な更新があり、その度に主治医の意見書が必要です。そのため、要介護認定を受ける前に健康状態を理解してくれている主治医を決めておくと、要介護認定の手続きがスムーズに進みます。
主治医がいない方は、何度か受診したことのある医療機関や、近くの病院を受診して医師へ相談すると良いでしょう。
◾️要介護認定に期限はありますか?
認定された要介護度には有効期間があります。
初回(新規)の認定有効期間は、原則6か月カ月で、2回目以降は原則1年です。これは、要介護認定が決定した日ではなく、申請日から数えます。
なお、有効期間を過ぎると、認定の効力がなくなるため更新が必要です。また、自動で更新されないため、継続して介護サービスを利用したい場合は、更新の手続きが必要です。
◾️入院中に要介護認定の申請はできますか?
入院中でも、要介護認定の申請は可能です。
しかし、原則として申請後の認定調査は、心身が安定した状態で行う必要があるため、入院や手術後まもない時期の申請はできません。そのため、適切な申請のタイミングを主治医や病院のソーシャルワーカーに相談してください。