1. 自宅環境のポイント その1:転倒しやすい場所を探して、転倒予防の工夫を!
住み慣れた自宅だからこそ、ふとした不注意で事故につながる危険性が数多くあります。自分が気づかないうちに、筋力やバランス能力が低下していることをしっかりと理解して、事故を未然に防ぐ対策をしましょう!
高齢者の転倒は、骨折につながり、さらに寝たきりになってしまう場合もあります。転倒を未然に防止するためにも、この機会に自宅のどの場所に転倒の危険が潜んでいるかを見直してみましょう!
浴室・脱衣所
・着替えるときは、立ったままだと、バランスを崩したり、服が足に引っかかるなどで転倒する危険があります。椅子に座って着替えられるよう、椅子を準備するとよいでしょう
・床材は滑りにくい素材になっていますか? もし、滑りやすい場合は床材を変更するか、滑り止めのマットを敷きましょう
・ 浴槽の出入りの際は特に注意が必要です。手すりを付けるなどして転倒を予防しましょう
居間
・カーペットに引っかかってしまい、つまずかないように、めくれやすいカーペットの下には滑り止めを敷きましょう
・床に物が置かれていると、うっかり踏むなどして転倒の危険が高まります。できるだけ床に物を置かないようにしましょう
・コードなどの配線は壁際にまとめるなどして、歩く動線上にコードが横切らないようにしましょう
階段・廊下
・手すりを付けましょう
・ 家の中では滑りやすい靴下やスリッパを使用するのは控えましょう
・階段に滑り止めを付けましょう
・足元がよく見えるように照明を明るくしましょう
このように、意外と自宅にも転倒の危険がある場所が数多くあります。少しの工夫で大きな事故を未然に防ぐこともできますので、自分の自宅のリスクチェックから始めてみましょう。
手すりの設置や段差解消は場合によっては高額となってしまいますが、カーペットの固定や人感センサーの照明は比較的安価に準備することが可能です。実際に転倒の恐怖を感じない人にとっては変化が分からない程度のものですが、簡単に取り組めるものとして実践してみましょう。
2. 自宅環境のポイント その2:生活しやすい動線を作る
家具や物置の位置を変更することでも、体への負担を軽減させることができます。
自宅内での体への負担は、ふだん何気なく使っている家具や物置による影響を大きく受けます。当たり前に使用しているためになかなか不便だと気付かず、気付いたとしても変えることの負担を考えてがまんしながら使い続けているケースも多くあります。また、「昔から同じ場所に置いているから」という理由だけで変更がなされていないこともあります。
具体的に、自宅環境で注意してほしいポイントをご紹介します。
・よく使う衣類や食器の収納場所は立ったりしゃがんだりしなくても出し入れできる場所を選びましょう
・低すぎず、高すぎず、目線の高さにある収納スペースを増やしましょう
・使っていない家具や物置の処分を検討しましょう
生活の中での体への負担を軽減させることができれば、予防のための運動など他の身体活動を行う余力を作ることができます。体を動かすことと体に負担をかけることは分けて考えることが重要です。さらに、家具の移動や処分には人手が必要です。地方自治体に問い合わせてみると、安価で請け負ってくれる業者を紹介してくれることもありますので、調べてみることをおすすめします。
3. 自宅環境のポイント その3:あえて不便も残す
意外かもしれませんが、階段や段差といった不便が自宅にあることで、高齢者が筋力を維持できている場合もあります。
これまでお伝えしたことと矛盾するかもしれませんが、自宅内を完全に安全にするのではなく、危険性が低く、体にとって負担になっていない程度に自宅の不便さがあることで、筋力などの身体機能の維持につながることがあります。自宅から出ると多くの段差や平坦ではない道などに遭遇することもあるため、自宅内を完全にフラットにするのではなく、少々の不便があることが介護予防の運動になる場合もあります。
では、どのように自宅内の不便を活用すればよいのでしょうか?
・ 毎日階段を昇り降りすることで下半身の筋力を鍛えている
・洗濯物を干す際に上の方に手を伸ばすことが体のストレッチになっている
段差や階段をなくし、バリアフリーにすることによって活動がしやすくなり、それによって身体活動量が高まることも多いのです。困難さと使いやすさのバランスをみて、無理のない範囲で不便さを残すことを検討することは大切です。
4. 自宅環境のポイント その4:食事や水分補給のしやすさを重視
介護が必要な状態にある高齢者が陥りやすいのは、栄養不足や栄養バランスの悪化、水分補給の問題です。
特に一人暮らしの高齢者の場合には、食事を自分で準備することが難しくなったり、準備しても食卓まで運ぶことが難しくなっていることがあります。また、自宅内で歩いて移動することが難しいために冷蔵庫まで行くことを控え、水分補給が足りなくなるケースもあります。食事と水分補給が充分にできる環境が整っていないと、満足に運動をすることもできません。栄養は運動と同じくらい体を作るためには重要な要素になってきます。
特に注意したいのが「低栄養」といわれる状態に陥ることです。加齢に伴い「胃腸など内臓機能の低下」「嚙む力や飲み込む力の衰え」などが原因となり、必要なエネルギーの摂取量が足りない状態になってしまいます。
「低栄養」によって起こる代表的な症状を紹介します。少しでも当てはまる項目があれば改善のための対策を行いましょう!
・体重が減った
・ 筋肉量が落ちて転びやすくなった
・疲れやすく、元気がない
・風邪などにかかりやすく、治りにくい
・けがをした際、傷が治りにくい
・食事を残すことが増えた
高齢者の低栄養を予防改善するための方法として重要なのは、バランスの取れた栄養を摂取することになります。エネルギーとなる主食や筋肉の栄養になるたんぱく質(肉、魚、豆腐など)、ビタミン・ミネラルとしてのサラダ(温野菜)、カルシウムとしての乳製品や小魚など、栄養が偏らないように、食事に上手に取り入れていくとよいでしょう。
面倒なので朝食をパンだけですませるのではなく、目玉焼きやチーズを加えたり、牛乳をプラスするなど、ふだんの食事に足りない栄養素を加えていくだけでも効果が期待できます。どうしても準備が大変という方には、高齢者向けの宅配弁当もあるので、低栄養になる前に活用することもおすすめです。
5. 自宅環境のポイント その5:自宅内の明るさの確認をしましょう
年齢とともに筋力だけでなく視力も低下してくるため、年齢に合わせた部屋の明るさ(必要照度)の設定が必要になってきます。
一般的に必要な照度として40代で400ルクス、50代で500ルクス、60代で600ルクス、80代になると800ルクスの照度が必要になります。勉強や読書をするのに適した明るさが500~1000ルクスといわれていますので、勉強机並みの明るさが、高齢者に最適な明るさのイメージになります。
高齢者が長年暮らしている自宅では、日光があまり室内に入り込まなかったり、物が多すぎて光を遮断していたりすることが少なくありません。そのため、部屋の行き来をすると極端に暗い空間に入り込んだような状態になることがあります。高齢者ではこのような空間に入るとしばらく周囲が見えにくい状況になってしまうため、少しでも光を取り入れておくことが大切です。
一方、極端に明るい空間ではまぶしさによって不快感が生じてしまいます。真っ白でぴかぴかとしたライトを使うのではなく、あたたかみのある色の蛍光灯を選ぶなどの工夫をしましょう。
6. おわりに
この記事では、自宅環境で気を付けたい5つのポイントを紹介しました。介護を必要とする前からこれらを意識してみてもよいのかもしれませんね。