1. 口腔ケアは誰のために?
抵抗力や体力が落ちている人にとって、お口の中の細菌は大敵です。口腔内の細菌が誤嚥性肺炎の原因となるばかりではなく、血管障害、心臓病、糖尿病などの疾患を引き起こすこともわかってきています。
要介護者のお世話をする介護者の方は、日々の介護に追われ、お口の中の異変に気づいた頃には、かなり悪化していることが少なくありません。
けれども、全身の病気を併発したら、入院をしたり、看病にかかりきりになってしまったりして、介護者にさらなる大きな負担がかかることにもなりかねません。
しかし、もしかしたらその病気は、口腔ケアをすることで予防できるかもしれません。
口腔ケアのメリット
●要介護者にとってQOL(生活の質)が向上する喜び
●自分の口で食事をおいしく食べることのできる喜び
●家族と同じ食事を一緒に食べられる喜び
●介護者にとって要介護者が元気になる喜び
介護の負担が軽減される口腔ケアは介護を受ける側だけでなく、介護をする側にとっても大きなメリットをもたらします。
2. 男性と歯の健康
ある歯に関する調査によると、女性の歯の悩みの1位は「歯の着色、変色」、男性の1位は「口臭」だそうです。
●生活習慣と歯の健康
喫煙習慣、飲酒、睡眠不足、乱れた食生活、ストレスなど、男性によく見られる生活習慣には、口臭の原因になるものがたくさんあります。これらはニオイの直接的な原因になるだけでなく、歯周病などのリスクも高めます。
●減少する唾液と歯周病
加齢と共に唾液の分泌量が減ることで、お口の中がは虫歯や歯周病にかかりやすい環境になります。喫煙も唾液の分泌を減らす一因です。歯周病は初期では自覚症状が乏しく、歯が痛くなってから歯医者さんに行ったときには、かなり進行している場合もあります。
●舌苔(ぜったい)のケアも忘れずに
また、案外見過ごされがちですが、舌の表面に汚れが付着する舌苔も口臭の大きな原因となりますのでケアが必要です。舌ブラシなどでこするほか、舌をきれいにするタブレットなどもあります。
男性の生活習慣の中には、歯の健康にダメージを与えるものがあることを意識して、毎日の口腔ケアをより念入りに行いましょう。
3. 女性と歯の健康
女性は男性に比べると、歯のトラブルにかかりやすいと言われています。それは、年代によって変化する女性ホルモン量の影響があるためです。
●思春期
女性ホルモンの分泌が始まりますが、歯周病菌の中には女性ホルモンを好んで繁殖するものもあるため、菌の増殖が活発になります。また、女性ホルモンが増加すると、毛細血管に影響を及ぼして炎症を起こしやすくなります。月経前後はホルモンの影響を受けやすくなるため、歯肉がむずむずしたり腫れやすくなったりします。
●妊娠・出産
妊娠中は胎児に栄養を送るためにカルシウム不足となり、歯が弱くなりがちです。また、妊娠中は免疫力も弱まるため、歯周病などの感染症にかかりやすくなります。さらに、つわりや出産後の忙しさで歯磨きもおそろかになりがちなことも、歯のトラブルの原因となります。
●更年期・閉経後
女性ホルモンが減ることで骨密度が低下し、歯を支えるあごの骨も弱くなります。他にも歯茎がやせてきたり、潤いがなくなって唾液が減るため、口が渇きやすくなったりします。こうしたリスクがあることも理解して、口腔ケアを行いましょう。
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