今回は、介護保険で利用できる「訪問リハビリテーション」についてご紹介します。
 
「リハビリを受けたいが、頻繁に病院や施設に通うことが難しい」「退院後は自宅でリハビリを受けたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

1. 訪問リハビリテーションとは?

介護保険で利用できる訪問リハビリテーション(訪問リハビリ)は、リハビリの専門職が自宅を訪問し、医師の指示に基づいて機能回復のための訓練や指導を行うサービスです。自宅でリハビリを行うので、日常生活に則した実践的な訓練を受けられることがメリットです。
 
訪問リハビリは、病院やリハビリテーション施設に通うことが困難な方を対象に、主治医が必要と認めた場合に利用できます。

2. 訪問リハビリテーションの目的・内容・対象者

①訪問リハビリの目的
訪問リハビリの目的は、歩行や移動、食事、更衣、入浴、排泄、などの生活機能の維持・向上を図り、日常生活における自立を促すことです。また、ご家族の心理的サポートも行います。
 
②サービス内容
・身体機能のリハビリ:関節拘縮(こうしゅく)※の予防、筋力・体力の維持
・日常生活のリハビリ:基本動作訓練(歩行訓練、寝返り、起き上がり)、日常生活動作訓練(食事、更衣、入浴など)
・家族支援:歩行練習の介助方法の指導、福祉用具の提案など
 
※病気やけがで身体を動かさないでいたために、関節の周りの組織が硬直し、動かしづらくなる状態のこと
 
③対象者 
●要介護1〜5の方
(要支援1・2の方は介護予防訪問リハビリテーションの対象)

●主治医から「訪問リハビリテーションが必要」と認められている方
訪問リハビリテーションの目的・内容・対象者

3. 訪問リハビリを行う専門職

訪問リハビリでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といった国家資格を持つリハビリの専門職が自宅を訪問してサービスを提供してくれます。どの職種のサービスが受けられるかは、利用者の症状や受けたい訓練などによって異なります。
 
理学療法士:マッサージや体操、運動、電気刺激、温熱などの手法を用いたリハビリテーションを行います。

作業療法士:工作や手芸、家事などの作業を通したリハビリテーションを行います。

言語聴覚士:発声・発語の訓練、飲み込みのリハビリテーションなどを行います。

4. 受けられるサービスの頻度や費用は?

①利用回数
1週間に6回程度
 
②利用時間
1回あたり20分
 
③費用
・基本サービス費
1回20分ごとの基本サービス費:308円( 1単位=10円 1割負担の場合)
 
・加算
特別なサービスには、基本サービス費に加算料金がプラスされます。
 
例えば、短期集中リハビリテーション加算(200円/日)やリハビリテーションマネジメント加算(180〜483円/月)、サービス提供体制強化加算(6円/回)などがあります。なお、訪問リハビリの費用は基本的にサービス利用時の単位で計算されますが、1単位ごとの料金は地域によって異なります。
 そのため、同じサービスを利用した場合でも、お住まいの地域により料金が異なる場合があります。

5. 訪問リハビリテーションは医療保険でも利用可能

訪問リハビリテーションは、介護保険だけでなく医療保険でも利用可能です。ただし、要介護認定を受けている方は、原則として介護保険が優先されます。介護保険と医療保険の併用はできません。要介護認定を受けていない方や65歳未満の方は、医療保険で利用することになります。

6. 訪問リハビリテーションの利用方法

訪問リハビリテーションを利用する手順は、以下の通りです。
 
1.ケアマネジャーに相談する
2.訪問リハビリ事業所を決める
3.主治医から指示書をもらう
4.訪問リハビリ事業所と契約する
5.訪問リハビリ事業所がリハビリ実施計画書を作成する
6.ケアマネジャーがケアプランに組み入れる
7.訪問リハビリの利用開始。計画書に基づいてリハビリテーションを受ける
 
訪問リハビリテーションを実際に利用したい場合は、担当のケアマネジャーに相談しましょう。また、訪問リハビリを利用するには、実施するリハビリの内容や注意点などについて、主治医に指示書を書いてもらう必要があります。ケアマネジャーを通じて依頼してもらいましょう。

7. 訪問リハビリテーションの事業者が見つからないときは?

訪問リハビリのサービスが提供できる事業者は、病院や診療所、介護老人保健施設、介護医療院に限定されています。そのため、地域によって訪問リハビリテーションの事業者が不足していることがあり、望んだ通りの利用ができない場合があります。そのような地域では、訪問看護のサービスの中で理学療法士などによるリハビリが受けられる場合があります。

お住まいの地域で訪問リハビリの事業者が見つからない場合は、ケアマネジャーに相談して訪問看護によるリハビリテーションが利用できるかどうかを相談してみましょう。

この記事の提供元
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著者:中谷 ミホ

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級

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