介護医療院は、日常的な医学管理や看取りやターミナルケアなどの医療機能と生活施設としての機能の両方を兼ね備えた公的な介護施設です。
 
今回はその介護医療院について、受けられるサービスや入所条件、特養と老健との違いなどを紹介します。

1. 介護医療院とはどんな施設?

介護医療院は、2024年3月に廃止予定の「介護療養型医療施設※」に変わる施設として、2018年に新設された比較的新しい介護施設です。
 
医療ニーズのある高齢者の生活を医療と介護で支える役割を担う施設として、全国で794施設(46,848床)が開設されています(令和5年6月30日現在)。
※介護療養型医療施設:長期的な療養が必要である高齢者を対象に、医学的管理の下、介護、機能訓練、日常生活上の世話等を行う施設。

2. 介護医療院で受けられるサービス

介護医療院では、長期療養に必要な医療ケアと介護サービスの両方が受けられるのが特徴です。以下で詳しく見ていきましょう。
 
①介護医療院で受けられる医療ケア
かく痰吸引や経管栄養の管理、人工呼吸器の管理、気管切開部の衛生管理、酸素療法など日常生活を送るうえで必要な医療ケアのほか、症状に合わせて投薬や処置、検査も行われます。看取りやターミナルケアを含めた高度な医療サポートが受けられます。
 
②介護医療院で受けられる介護サービス
ほかの高齢者向け施設と同様に食事・入浴・排せつといった身体介護や生活支援が受けられます。さらに、リハビリテーションや健康管理など療養生活を続けるうえで必要な支援も行われています。
 
また、生活施設としての機能にも配慮されており、居室の広さは、介護療養型医療施設よりも広い「入所者1人当たり8.0m² 以上」と定められています。
 
多床室(相部屋)の場合でも、1部屋4人以下で家具やパーテンションによる間仕切りを設置して、プライバシーの確保に配慮した環境です。
介護医療院で受けられるサービス

3. 介護医療院の2つの類型と入所条件

介護医療院には「介護医療院Ⅰ型」と「介護医療院Ⅱ型」の2つの類型があります。
 
Ⅰ型は、従来の介護療養病棟に相当する施設であるため、重篤な身体疾患を有する人など比較的病状の重い人を対象にしています。
 
Ⅱ型は、介護老人保健施設に相当するため、Ⅰ型と比べて比較的病状が安定している人が対象です。
 
介護医療院の入所条件は、Ⅰ型Ⅱ型のいずれも原則として、要介護1以上の認定を受けた65歳以上の方です。
 
ただし、厚生労働省が定める16の疾病(特定疾病)が原因で要介護認定を受けていれば、40歳以上65歳未満の方でも入所できます。要支援1・2の方は入所対象外です。

4. 特養・介護老人保健施設との違い

介護医療院は、同じ介護保険施設である特別養護老人ホームや介護老人保健施設とはどのような違いがあるのでしょうか。
 
それぞれの施設の違いについて、①施設の目的、②サービス内容、③入所条件、④入所期間、⑤職員の配置基準の項目で比較してみましょう。
 
①施設の目的
・介護医療院:長期療養と生活のための施設
・特別養護老人ホーム:常時介護が受けられる生活施設。
・介護老人保健施設:リハビリを提供し、在宅復帰・在宅支援を目指す施設。
 
②主なサービス内容
・介護医療院:身体介護、生活支援、医療ケア、リハビリテーション、健康管理
・特別養護老人ホーム:身体介護、生活支援、機能訓練、健康管理、レクリエーション
・介護老人保健施設:身体介護、生活支援、医療ケア、リハビリテーション、健康管理
 
③入所条件
・介護医療院:要介護1以上
・特別養護老人ホーム:原則要介護3以上(特別な要介護1・2)
・介護老人保健施設:要介護1以上
 
④入所期間
・介護医療院:終身利用
・特別養護老人ホーム:終身利用
・介護老人保健施設:3ヶ月ごとに継続するか判断
 
⑤医師、看護職員、介護職員の配置基準
・介護医療院
Ⅰ型:医師(48対1※)、看護職員(6対1)、介護職員(5対1)
Ⅱ型:医師(100対1)、看護職員(6対1)、介護職員(6対1)
 
・特別養護老人ホーム:医師(必要数 ※非常勤も可)、看護・介護職員(3対1)
 
・介護老人保健施設:医師(常勤で1人以上)、看護・介護職員(3対1以上、うち看護は2/7程度)
 
上記から、介護医療院は「医学的な管理が必要な人が、終身で利用できる施設」であることがわかります。
 
高度な医療サービスが提供できる施設のため、医師や看護師といった医療職が、特養・老健よりも手厚く配置されています。
 
特養も終身利用が可能な施設ですが「住まい」としての性格が強いため、医療ケアにはあまり重点がおかれていません。
 
特養でも日々の健康管理は行われますが、医師は常勤でないことが多く、専門的な医療ケアが必要になると原則的に通院や入院が必要となります。また、日常的に医療ケアが必要な方は、入所が難しい場合があります。
 
老健は、介護医療院と同様に医師が常駐し、医療ケアを受けられる介護施設です。しかし「在宅復帰・在宅支援を目指す施設」という目的があるため、長期的な利用はできない点が介護医療院との違いです。

5. 介護医療院の入所に向いている方

最後に介護医療院に向いている方の特徴をまとめます。
 
・病院に入院するほどではないが、医学的管理が必要
・長期入所を希望し、看取りまで施設で過ごしたい
・医療ニーズが高く、一般的の高齢者向け施設への入居が難しい
 
介護医療院は、医療ニーズが高く、一般的な高齢者向け施設への入所が難しい人に適した施設です。医師や看護師の配置が手厚いため、病状の重い方が安心して療養できる生活環境が整っています。
 
終身利用が可能であることと、高度な医療サポートが行えるため、看取りやターミナルケアまでを希望する人に向いています。
この記事の提供元
Author Image

著者:中谷 ミホ

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級

関連記事

シニアの体型とライフスタイルに寄りそう、 2つの万能パンツ

2022年7月23日

排泄介助の負担を軽減!排尿のタイミングがわかるモニタリング機器とは?

2022年9月23日

暮らしから臭い漏れをシャットアウト! 革新的ダストボックス

2022年9月5日

Cancel Pop

会員登録はお済みですか?

新規登録(無料) をする