1. 介護付き有料老人ホームとは?
介護付き有料老人ホームは、主に民間企業が運営する介護施設のことを指します。
都道府県による「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているので、入居すると施設の職員から24時間体制の介護サービスが受けられます。
寝たきりや看取りの方の受け入れをする施設も多く、「終の棲家」として入居する人も少なくありません。
●介護付き有料老人ホームのサービス内容
介護付き有料老人ホームでは、24時間の介護サービスのほか、生活支援、健康管理、医療的ケアなどのサービスが提供されています。
また、民間が運営する介護付き有料老人ホームは、施設ごとにサービス内容や人員体制、設備のグレードが異なるのが特徴です。
例えば、介護・看護師の配置を手厚くしている施設もあれば、入居者のリハビリテーションに力を入れている施設、高級ホテルのようなサービスを提供する施設など、さまざまです。
なお、「外部サービス利用型」の介護付き有料老人ホームでは、施設の職員が安否確認などを行い、介護サービスは施設が委託する外部の介護サービス事業者のスタッフが行います。
2. 介護付き有料老人ホームの人員・設備基準
介護付き有料老人ホームは、都道府県の指定を受けているため、国の定める一定の人員基準、設備基準を満たしています。
【人員配置基準】
管理者:1人(兼務可)
生活相談員:要介護者100人に対して1人以上
看護・介護職員:要介護者3人に対して1人以上
要支援者10人に対して1人以上
機能訓練指導員:1人以上(兼務可)
計画作成担当者:ケアマネージャー1人以上(兼務可)
介護付き有料老人ホームでは、職種ごとに入居者数に応じた人員配置が定められています。
介護職員は24時間体制で勤務し、看護師も常駐しています。
施設によっては、看護・介護職員を基準以上に配置し、きめ細かい介護サービスを提供する場合もあります。
【設備基準】
① 居室:原則個室、地階に設けない等
② 一時介護室:介護を行うために適切な広さ
③ 浴室:身体の不自由な者が入浴するのに適したもの
④ 便所:居室のある階ごとに設置し、非常用設備を備える
⑤ 食堂、機能訓練室:機能を十分に発揮し得るのに適切な広さ
⑥ 施設全体:利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造
上記のほかに、不燃性の建材の使用やスプリンクラー、手すり、スロープも設置するなど、安全面も考慮されています。
3. 介護付き有料老人ホームの入居対象者とは?
介護付き有料老人ホームには「介護専用型」と「混合型」の2種類があります。それぞれの入居対象者は以下の通りです。
介護専用型:要支援1・2、要介護1〜5
混合型:自立〜要介護5
年齢の条件は「65歳以上」としている施設が多くなりますが、要介護認定を受けている40〜64歳未満の方も対象としている施設もあります。また、多くの施設で認知症の方の入居に対応しています。
なお、夫婦で介護付き有料老人ホームの入居を検討する方は、混合型を選べば、夫婦の介護度が別々、あるいはどちらかが「自立」でも一緒に入居することが可能です。
4. 介護付き有料老人ホームの費用
介護付き有料老人ホームでは、多くの場合、入居時の初期費用(入居一時金)と月々の費用である「月額利用料」がかかります。
月額利用料とは、毎月施設側に支払っていくお金のことで、その内訳は、介護サービス費、家賃、食費、管理費、日常生活費、上乗せ介護サービス費などです。
このうち、介護保険が適用されるのは介護サービス費(介護度別の定額)のみで、家賃や食費、管理費、日常生活費は全額自費となります。
上乗せ介護サービス費とは、基準を上回る手厚い人員配置をしている施設が利用者から受領できる費用のことです。
介護付き有料老人ホームの費用相場は、以下の通りです。
初期費用(入居一時金):0〜数千万円
月額利用料:15万〜100万円
介護付き有料老人ホームの費用は、特別養護老人ホームなどの公的施設よりも高めの設定になっています。
なお、特別養護老人ホームなどの介護保険施設で適用される低所得者に対する家賃(居住費)と食費の負担軽減制度(負担限度額認定)は、民間施設の介護付き有料老人ホームでは適用されません。
また、介護付き有料老人ホームの費用は、その施設の設備やサービスレベル、人員体制により大きな差があるため、予算によって生活の快適度や満足度が変わってくることも理解しておきましょう。