「年齢を重ねるにしたがって、おなかまわりがぽっこりしてきた…」「薄着の季節になるとおなかが気になる…」など、おなかまわりの悩みを抱えている人は要注意! ケアラーの健康に悪影響を与える内臓脂肪が増えているのかもしれませんよ。この機会に生活習慣を見直して、ぽっこりおなかを解消しましょう。

1. 内臓脂肪は「内臓自体につく」は誤解!?

私たちは、食事で摂取した栄養を体内で消費し、活動に必要なエネルギーをつくり出します。そして、エネルギーとして使われなかった栄養素は、体脂肪として体内に蓄積されます。

 

体脂肪は内臓脂肪と皮下脂肪とに大別されますが、文字どおり皮膚の下につくのが皮下脂肪です。特に、おしりや太ももなど下半身につきやすいため、皮下脂肪の多い体形は「洋なし型肥満」とも呼ばれたりもします。

 

では、もう一方の内臓脂肪とは、どこにつく脂肪でしょう? 「一目瞭然」という声も聞こえてきそうですが、それは誤解です。

 

「内臓脂肪はその名称から、臓器自体につく脂肪だと思われがちですが、そうではありません。胃や腸の周囲には、臓器を固定する腸間膜という膜があり、内臓脂肪はその膜につきます。一般に、内臓脂肪型肥満は男性に多く、皮下脂肪型肥満は女性に多いのですが、閉経後は女性も内臓脂肪型肥満が多くなります」と教えてくれたのは、内臓脂肪に詳しい池谷医院の池谷敏郎先生です。

 

内臓脂肪は胃や腸を覆う膜、すなわちおなかまわりにつきやすいため、蓄積すると「ぽっこりおなか」になり、それ故内臓脂肪が多い肥満体型は「リンゴ型肥満」とも呼ばれているのです。

 

一定量の内臓脂肪は内臓を保護したり、エネルギーを貯蔵したりと重要な役割を果たしてくれますが、増えすぎるのは考えもの。内臓脂肪の脂肪細胞からは、さまざまな生理活性物質が分泌されており、内臓脂肪が増えすぎると、糖尿病や動脈硬化を防ぐ働きがあるアディポネクチンの分泌量が減少してしまうんです。そのほか、以下のような悪影響をおよぼす可能性があるので、十分注意しましょう!


<内臓脂肪がもたらす悪影響>

①動脈硬化が進みやすくなる
動脈硬化を防ぐアディポネクチンが減る一方、血栓ができやすくなる物質が増えてしまうため、動脈硬化が進みやすくなります。


②血圧が上昇しやすくなる
内臓脂肪が蓄積すると、血管を収縮させる物質の分泌が増えて、血圧が上がりやすくなります。


③高血糖を招きやすくなる
インスリンの働きを阻害する物質の分泌が増えて、血糖値が上がりやすくなります。


④食欲を抑えにくくなる
脂肪組織からは、食欲を抑える働きをするレプチンが分泌されていますが、内臓脂肪が増えすぎるとレプチンに対する脳の感受性が低下し、食欲が増して太りやすくなります。


⑤認知症の発症リスクが高まる
アメリカでは、中年期に内臓脂肪型肥満だと、高齢期のアルツハイマー型認知症の発症リスクが3倍になるとの報告がなされています。また、動脈硬化が進むと、血管性認知症の発症リスクも高まります。


⑥がんの発症リスクが高まる
内臓脂肪から炎症物質やがん化を促す物質が分泌されるため、国際がん研究機関(IARC)は、過剰な内臓脂肪は大腸がん、食道がんなど10種類のがんのリスクを高めると報告しています。

2. 内臓脂肪型肥満の基準値は、どのくらい?


内臓脂肪型肥満の定義は、【X線CT検査で、へその高さの断面画像を見たときに内臓脂肪の面積が100㎠以上】であることです。また、多くの調査結果から、へその位置で測る腹囲で男性が85cm以上、女性は90cm以上になると、内臓脂肪型肥満の可能性が高いとされており、特定健康診査(メタボ健診)でもこの腹囲による基準を用いています。

 

なお、自分で腹囲を測る際は、以下の3点に注意してください。

①浅い呼吸をして、腹部に力を入れない

②メジャーが腹部にくい込まないように測る

③ウエストではなく、へその位置で水平に測る

3. まずは「ゆる糖質オフ」からチャレンジしよう

内臓脂肪は、増えすぎるとさまざまな悪影響をもたらしますが、その一方で「つきやすく、落としやすい」という性質があることも知られています。


池谷先生によると、「皮下脂肪と内臓脂肪の減量効果を比較した研究によると、15日間の減量で皮下脂肪は約5%の減少だったのに対し、内臓脂肪は約20%も減少していました」との報告があります。つまり、食事改善や適度な運動を実践することで、内臓脂肪を増やさない、あるいは減らすことが可能なわけです。


となれば、どんな食事や運動を心がければ、内臓脂肪が減らせるのかが気になりますよね。そこで、ここからは内臓脂肪を増やさない・減らすための食事と運動について紹介していきます。


内臓脂肪を増やさない・減らす食生活において、重要かつ効果が上がりやすい方法として池谷先生がすすめるのは、「ゆる糖質オフ」です。
「脂質をとり過ぎると内臓脂肪の増加を招くので、肉の脂身や揚げものなど、高脂肪のものはなるべく避ける必要があります。ただし、内臓脂肪型肥満の人の多くは、糖質のとり過ぎが肥満の原因となっています。糖質をとり過ぎると血糖値が上がり、インスリンが多く分泌され、その働きで脂肪の合成が促されるからです」(池谷先生)


実は、池谷先生自身もかつて内臓脂肪型肥満になり、15㎏減量して健康体に戻した体験があるのだとか。そして、その際実践していたのが「ゆる糖質オフ」なのです。とはいえ、糖質はからだに欠かせない栄養素の1つ。糖質をまったくとらないなどの極端な糖質制限は、危険な場合もあるため、次の2点は必ず守ってください。

①摂取する糖質を半分程度にする

②糖の吸収を抑える食べ方をする

具体的には、以下の5つのポイントを取り入れることで、無理なく「ゆる糖質オフ」が実践できます。

●ポイント1:ごはんは小鉢に盛る
主食の量を減らすことは、ゆる糖質オフの基本です。茶わんを手に持って食べる食事のスタイルだと、自然とごはんが主役になるため、食べる量が多くなったり早食いになったりしがちです。それを防ぐためには、ごはんを小鉢に盛って、手に持たずに食卓に置いて食べる方法がおすすめです。1杯分が少なくなるうえに、手に持たないので、かき込みや早食いの防止にもなります。

●ポイント2:糖質の多い食品は今までの半分程度に
ごはん、めん類、パン、いも類など、糖質が多く含まれる食品は、今までの半分くらいの量に減らしましょう。糖質の代わりに野菜や肉などの食品を増やすことで、食後の血糖値の上昇を抑えられます。糖質の多い菓子類は、なるべく控えるほうがよいですが、無理にやめようとするとストレスになって「ゆる糖質オフ」が続かなくなる可能性があります。ごほうびとして食べたり、量を半分に減らすなどするとよいでしょう。

●ポイント3:スープ類も活用しよう
水分が主体のスープ類をメニューに加えると、満腹感を得やすく、食べ過ぎの防止になります。お弁当などで野菜をとるのが難しいときは、インスタントの野菜スープやわかめスープを活用するのもよいでしょう。ただし、スープ類は塩分が多くなりがちなので、だしやスパイスを活用するなどして、薄味を心がけてください。

ポイント4:食べる順番は野菜→肉・魚→主食
同じ量の食事でも、食べる順番を工夫することで、糖質の吸収を抑えられます。最初に野菜、海藻、きのこ類といった食物繊維の多い食品を食べ、次に肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質、最後に主食をとるのがポイントです。食物繊維は糖質・脂質ともに吸収を抑えてくれます。また、糖質より前にたんぱく質をとることで、血糖値の急上昇も抑えられます。

●ポイント5:ゆっくりよくかんで食べる
ゆっくりよくかんで食べると、糖質の吸収が緩やかになります。また、満腹中枢が刺激されて、食べすぎ防止にも役立ちます。脳の満腹中枢が働くまでには、約15分かかるといわれているので、1食を15分以上かけて食べるようにしましょう。

まずは「ゆる糖質オフ」からチャレンジしよう

4. 室内で気軽にできる「ゾンビ体操」と「コサック体操」をやってみよう


内臓脂肪を増やさない・減らすためには、適度な運動も欠かせません。運動を内臓脂肪対策に役立てる際のポイントは、「有酸素運動と筋トレを組み合わせること」だと池谷先生は話します。

 

ジョギング、ウオーキング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動は、蓄積している内臓脂肪をエネルギーとして燃焼させるため、体形の変化が比較的早く実感できます。一方、スクワットや腹筋といった筋トレで筋肉が増えれば、基礎代謝が高まって、内臓脂肪が燃えやすい・つきにくいからだになります。

 

つまり、この2つを上手に組み合わせれば、効率よく内臓脂肪を増やさない・減らすことができるわけです。

 

ただし、筋肉はそう簡単に増やせるものではありません。加えて、いきなり本格的なトレーニングに挑戦するのは挫折のもとです。池谷先生に教えてもらった「室内でできる有酸素運動&筋トレ」を紹介しますので、手軽にできる運動を継続して行うことから始めましょう。

 

●有酸素運動:ゾンビ体操
雨の日や暑い日など、外に出たくない時に室内でできる有酸素運動です。

<やり方>
①両足をそろえ、背すじを伸ばして立つ。
②おなかに力を入れ、おへそのまわりをへこませる。
③ジョギングの感覚でその場足踏みをする。肩と腕は脱力し、自然な動きにまかせる。約1分続ける。
④普通のその場足踏みを約30秒続ける。その後、③④を3回くり返す。

 

動画で動きを確認!


●筋トレ:コサック体操
椅子に座って簡単にできる筋トレです。テレビを見ながらでもできるので、三日坊主になりにくいはず!

<やり方>
①椅子の背もたれに寄りかかり、おなかに力を入れておへそのまわりをへこませる。②両手で座面を持ち、右脚・左脚を交互に真っすぐ前に上げる。約30秒続ける。少し休んで3回くり返す。


動画で動きを確認!

5. まとめ

今回は、「内臓脂肪を増やさない・減らす」をテーマに、内臓脂肪型肥満の基準値や食事、運動のポイントを解説しました。気軽にできておなかやせに効果的なアイデアばかりなので、ぜひ実践してくださいね。

では、最後にもう1つ、内臓脂肪を増やさない・減らすためのコツをお伝えしておきましょう。それは「規則正しい睡眠」です。睡眠が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、食欲を抑えるレプチンが減少し、食欲を増進させるグレリンというホルモンが増加してしまいます。

食べすぎて内臓脂肪を増やさないためにも、適度な運動をして睡眠の質を高めるとともに、7~8時間の睡眠時間を確保するように心がけましょう。

6. 監修者プロフィール

池谷敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長。
1988年、東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局し、血管、血圧の研究を行う。1997年、池谷医院理事長兼医院長に就任。専門は内科、循環器科。生活習慣病、血管、心臓などの循環器系の専門家として、テレビ、ラジオ、講演会などでも活躍している。『「血管を鍛える」と超健康になる!』(三笠書房)、『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)など著書多数。

この記事の提供元
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい人への介護やサポートをする、ケアラーのためのプラットフォームです。 MySCUE(マイスキュー)は、高齢化先進国と言われる日本が、誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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