シニアと行きたい旅行プランをトラベルライターの間庭典子がご提案。今回は、遠出がなかなかかなわなくても旅気分を味わえる、ホテルやレストランでのアフタヌーンティーを特集。目でも舌でも味わえて華やか、コンセプチュアルなプランも続々登場し、「ヌン活」はこの秋、さらに充実しそうです!

1. 話題のヌン活をスタートするきっかけに。秋に向けさまざまなプランが

今、各ホテルが競うように趣向をこらしたプランを展開しているのがアフタヌーンティーです。お茶とともにおいしいものを少しずつつまみ、語り合う。たとえ1,2時間の滞在だとしても、非日常を味わえ、ここではないどこかを旅するような充実感を得られます。日々の忙しさを忘れられる絶好の気分転換方法! 今やさまざまなアフタヌーンティーを体験しに回る「ヌン活」なる活動もあるとか! ソロ・ヌン活も増えているそう。

旬のフルーツなどを主役にした季節限定のアフタヌーンティーはすっかり定着し、時代は今、ビジュアルとストーリー性で勝負するコンセプチュアルなアフタヌーンティーが続々登場しています。そこでそんな「映え」て、かつユニークなプランをご紹介します。


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淡い色彩が印象派の名画を思わせるアーティスティックなスタンド


まずはフォーシーズンズホテル東京大手町の39階THELOUNGE(ザ ラウンジ)で提供される「オルセー印象派展 コラボレーションアフタヌーンティー」。こちらは2025年10月25日から来年の2月まで国立西洋美術館(東京・上野公園)にて開催される展覧会「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」に展示される印象派絵画からインスピレーションを受けたスイーツやセイボリー(軽食類)が並ぶというもの。例えばルノワールの《ピアノを弾く少女たち》にインスパイアされたムース。作品が描かれた18世紀後半に流行したオー・デ・コロンがきっかけで広まったベルガモットをクリームに使用するなど、色や形だけでなく、その背景も反映しているというこだわりぶり。甘いパステル調の色調で、気分も軽やかになりそうです。

期間は9月1日から11月16日まで。通常は8,800円(税込、サービス料15%込)で週末や祝日は9,800円ですが、平日の16時から18時は 7,800円になるので、そのタイミングに合わせるのもいいですね。紅茶4種やコーヒー以外にも、ハーブティーや日本茶や季節のティーモクテル(ノンアルコールのカクテル)など飲み物の選択肢も豊富。お土産にしたくなるオリジナルデザインのコースターも素敵。

2. 歌舞伎をテーマにしたユニークなアフタヌーンティーも

フランス発「メルキュール」ブランドのメルキュール東京日比谷では8月18日より10月31日まで、「歌舞伎」とのコラボレーションによるアフタヌーンティーをスタート。この施設そのものが劇場の舞台美術をデザインコンセプトとし、さまざまなシアターとリンクしたイベントを開催しています。今回の「歌舞伎」とのコラボも歌舞伎座や新橋演舞場がご近所というのがきっかけ。松竹株式会社の協力を得て、10月に歌舞伎座で通し上演が予定されている『義経千本桜』をテーマに、その世界観を季節の味とともに楽しむ、コンセプチュアルなアフタヌーンティーで注目されています。


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KABUKI Afternoon Tea(歌舞伎と錦秋のアフタヌーンティー)ⒸSHOCHIKU


映画『国宝』のヒットにより、今まで歌舞伎に縁がなかった層も興味をもつようになってきているといわれています。劇中では『藤娘』や『道成寺』、『曽根崎心中』など数々の演目が登場します。源義経を軸に、平家の生き残りを描いた『義経千本桜』は『国宝』には登場しないものの、長く歌舞伎ファンに愛されてきた人気演目。よって、その世界観から着想を得たアフタヌーンティーは、観劇前に予習するのにも、観劇後に余韻にひたるのにもおすすめなのです。
『義経千本桜』に登場する狐(きつね)をイメージしたヨーグルトムースや、隈取(くまどり)をイメージしたマカロンなど、舞台をモチーフにしたスイーツが並びます。チョコレート、抹茶のテリーヌと柿のゼリーという、歌舞伎の定式幕(じょうしきまく)」の3色のハーモニーを楽しむ一品も。ゆずの香りのいなり寿司など和のセイボリーもいいアクセントとなっています。

フランス語で舞台の「シーン(場面)」を意味する名を持つフレンチレストラン・カフェ&バー「ラ・セヌ」ならではのスペシャルなアフタヌーンティー。華やかな照明、緞帳、衣装、座席、映画のフィルムなどからインスピレーションを得た空間にも感動します。

3. 「和フタヌーンティ」を旅の目的に 伊勢のグルメをお部屋で満喫

和のテイストのアフタヌーンティーを極めたプランとして、話題になったのは「グランドメルキュール伊勢志摩リゾート&スパ」のプランです。その名も「伊勢の和フタヌーンティ」付きオールインクルーシブの宿泊プランとして春から9月30日まで継続中です。伊勢茶のマカロンや松阪牛の一口メンチカツサンド、牡蠣のオイル漬け、かつおの手毬寿司など、伊勢志摩ならではの味覚を、深入りの伊勢茶や和紅茶に合わせて味わえます。


和フタヌーンティー

伊勢志摩のグルメを一口サイズで、しかもお部屋で楽しめる和フタヌーンティー


おいしい伊勢の味を少しずつ届けたいという料理長がイメージしたのは日本料理の八寸。色彩豊かな華やかさと旬の素材を意識したスイーツやセイボリーが一口ずつ味わえます。目の前に広がるリアス海岸の絶景を臨みながらのティータイムはまさに非日常。あんことホイップクリームに伊勢志摩国立公園で採れる「長谷川養蜂」のハチミツを添え、皮はホテルで焼き上げたどら焼きはまさに絶品です。

うれしいのはラウンジ以外でも、希望すればワゴンでお部屋まで届けてくれること(1室2名で予約した場合。3名以上の場合はラウンジでの提供のみ)。会話に花を咲かせながらお茶を楽しみ、温泉やラウンジで過ごすのもいいですね。アフタヌーンティーを目的とした女子会や親子旅でオールインクルーシブでの滞在を楽しめるんです。

4. 不思議の国のアリスの世界観を表現したスイーツにわくわく

「不思議の国のアリス」をモチーフにした秋のアフタヌーンティー『プティ・ブーランジェリー「アリスとハートの女王様のお茶会」』を9月5日より開催するのはヒルトン東京2階のバー&ラウンジ「ZATTA」です。こだわりのパンを主役とした、遊び心満載のオリジナルメニューが勢揃いします。アリスの物語に登場するキャラクターを表現したパンやスイーツは夢いっぱい。例えばブリオッシュ生地にサクサクのメロンパンを重ね、キャラメルカスタードと洋梨をサンドした「白うさぎのトロペジェンヌ」は、うさぎのしっぽをイメージ。飲むと体が縮んでしまう「Drink me」のボトルやトランプなど、物語の中の小道具もいろいろ。 


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不思議の国のアリスに登場するキャラクターや小道具をモチーフにしたパンやスイーツ


パン好きから高い評価を受けているプティ・ブーランジェリーだけに、食べ応えのあるパン中心の構成。11時30分~、14時30分~、18時~の三部制なので、ランチやちょっと早めのディナーとしていただくのもいいかもしれません。6,000円(土・日・祝日6,700円)で、カリフォルニア発のオーガニックティーブランドART OF TEAの紅茶など20 種類のドリンクも心ゆくまで味わえます。

ストーリーを感じるアフタヌーンティーには定評があるヒルトン東京。ヒルトン東京では、パンがメインの「プティ・ブーランジェリー」のほかに、メトロポリタングリルではお肉が主役のアフタヌーンプランも展開。どちらも味わいたくなる美味しさとユニークさ。ぜひとも両方トライしてみてくださいね。

5. 不気味でキュートな!? ハロウィンに向けたプランも登場!

季節に合わせたコンセプチュアルなビジュアルにファンが多いのがグランド ハイアット 東京のアフタヌーンティーです。ハロウィンも毎回、趣向を凝らしており、リピートする人も続出。10月1日から始まる今回のテーマは「いたずら好きなおばけのティーパーティ」。少し不気味で、でもキュートなデザインが絶妙! 脳みそのムースや目玉のゼリー、魔女の指のブレッドや漆黒のスープなどそのビジュアルには驚くばかり。スイーツだけでなく、スコーンやパンプキンバーガーなどのしょっぱいセイボリーも充実しているので、遅めのランチとしてもよし。恐る恐る口にすると、その安定のおいしさにもびっくり。パティシエの本気さが伝わります。

一人7,150円 (税込・サービス料15%別)のプランですが、 グラスシャンパン付きは8,800円。紅茶やカフェラテなどの飲み物は好きなだけ楽しめるので、ゆったりとした気分で過ごせそうです。おばけたちに交じってパーティするのもいいですね。


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ハロウィンの時期ならではの、不気味で独特な雰囲気のアフタヌーンティーも

6. 土曜限定のブランドに共感し、全国22か所に点在する施設をめぐる

NYの食通に愛されたイタリアンレストラン「スカルペッタ東京」でも初のアフタヌーンティーを毎週土曜日限定で開始。コンセプトは「四季の恵みと伝統菓子で彩る、イタリアを旅するモダン・ティータイム」です。第一弾となる秋はローマ発祥の「マリトッツォ」やナポリの伝統菓子「シューゼッポレ・ディ・サ ン・ジュゼッペ」などの郷土菓子が中心。ほっくりとした栗の風味のとろけるようなプリン、しっとりと焼き上げた生地にマロンクリームをサンドしたマロンとナッツのケーキなど、マロンスイーツの可能性が広がります。セイボリーにも「パニーニ」やシチリア島にルーツを持つ「カンノーリ」など、ご当地の味が。そんな様々な味覚を、一口ずつ試せるのがアフタヌーンティーのよさなのです。落ち葉や栗など、秋をイメージしたプレゼンテーションもシックで、洗練されています。

この「オータム マロン アフタヌーンティー」は9月13日から11月29日まで。6,000円(税込・サービス料別) 「ハーニー&サンズティーセレクション」の紅茶はホットシナモンスパイス、ミルキーウーロン、アフリカン・オータムなど約10種から選べるのも贅沢です。


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秋の味覚、マロンのスイーツが並んだ土曜日限定の「オータム マロン アフタヌーンティー」


しっかり食事やワインも味わい、マロンのスイーツも、というならば、ぜひおすすめしたいのが、テラス&バー限定のシャンパン・フリーフロー付きプラン「オータム マロン テラス ドルチェ ヴィータ」です。 前菜やパスタ、ポークバックリブ秋野菜のグリルなどのメインのあとにマロンのスイーツプレートが続くというコースで、 栗とぶどうのマリトッツォや栗と柿のパンナコッタなど秋の味覚を堪能できます。シャンパン「ローラン・ペリエラキュヴェ」をはじめ、ワインやビール、モクテルなどの種類を含むカクテルも自由に選べるのです。これで11,000円というのはコスパよし。秋風を感じるテラスでグラスを傾けながら語らう土曜の午後、なんて優雅なのでしょう!

多忙な日常を忘れ、旅するような気持ちで過ごす午後。コンセプチュアルなアフタヌーンティーはそんなプチ逃避行を疑似体験できます。この秋は色とりどりのスイーツに心癒され、ときめき、心の旅を楽しんではいかがでしょう?



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著者:間庭典子(まにわのりこ)

中央線沿線の築30年以上の一軒家に後期高齢者の両親と同居する50代独身フリーランス女子。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「mc Sister」編集者として勤務後、渡米。フリーライターとして独立し、女性誌など各メディアにNY情報を発信し、「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」(講談社)などを発行。2006年に帰国し、現在は日本を拠点に、旅、グルメ、インテリア、ウェルネスなど幅広いテーマの記事を各メディアへ発信。旅芸人並みのフットワークを売りとし、出張ついでに「研修旅行」と称したリサーチ取材や、さびれた沿線のローカル列車で進む各駅停車の旅を楽しむ。全国各地の肴を味わえる地元の居酒屋やスナックなどの名店を探すソロ活動も大好き。

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