在宅介護を担うケアラーに向けた経済的支援として、多くの自治体で「介護手当」が支給されていますが、その存在を知らない方も少なくありません。

 

今回は、この介護手当の基本や対象となる条件、注意点を解説します。

1. 介護手当とは

介護手当とは、在宅で介護を行う家族に対する直接的な経済支援として支給される手当です。介護による家計負担の軽減やケアラーへの慰労を主な目的としており、支給されたお金の使い道は自由です。


この手当の支給対象は、要介護認定を受けた高齢者を在宅で介護している家族(ケアラー)の場合と、要介護者本人の場合があり、市区町村により異なります。


また、介護手当の名称や支給要件、支給額も地域ごとにさまざまです。とくに、支給要件については、要介護3以上としている自治体もあれば、要介護4以上を条件とする自治体もあり、さらに所得制限を設けているところもあります。


◾️申請先
介護手当は、対象の介護度に認定されると自動的に支給されるものではないため、必ず本人や家族が市区町村の担当窓口に申請する必要があります。

 

最近では、窓口での手続きのほか、オンラインで申請できる自治体も増えています。詳しくは、お住まいの自治体のホームページで確認するか、直接お問い合わせください。

 

◾️受給要件
介護手当を受給するには、いくつかの条件があります。市区町村によって違いはありますが、一般的な要件は以下の通りです。

 

▪要介護認定を受けていること(多くの場合、要介護3または4以上が対象)


▪在宅で介護を受けていること(介護施設に入所していないこと)


▪所得制限(世帯の収入が一定額を超える場合は対象外となることがあります)

 

MySCUE記事 介護手当 自宅介護イメージ

2. 介護手当の例

次に、実際の自治体の介護手当制度をいくつか紹介します。

 

◾️東京都江戸川区「熟年者激励手当」

【支給額】

月額15,000円×在宅月数


【対象者

以下の条件をすべて満たす方


1. 60歳以上で江戸川区に住民登録があり、区内に在住している

2. 介護保険の要介護4または5の認定を受け、在宅で生活している

3. 本人および同一世帯全員が住民税非課税である


【支給対象外となる場合】
 ・申請日が病院の入院日から退院日の間に入っているとき


 ・申請日が介護保険施設等の入所日から退所日の間に入っている(ショートステイ、お泊りデイも含む)


・重度心身障害者手当受給者・生活保護受給者


・同一世帯内に住民税未申告者がいる(本人を含む)

 

 ▶ 江戸川区ホームページ「熟年者激励手当」

 

 

◾️東京都中央区「おとしより介護応援手当」


【支給額】

月額20,000円(重度心身障害者手当受給者は月額10,000円)


【対象者】

65歳以上で以下の条件をすべて満たす方


1. 区内に6か月以上居住している

2. 要介護3以上

3. 3か月以上寝たきりまたは認知症の状態にある

4. 中央区内の自宅で介護を受けている


【支給対象外となる場合】
▪特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホーム等に入所中


▪区外で生活している(住民票が区内にあっても実際は区外の家族宅で介護を受けている等)


 ▶ 中央区ホームページ「おとしより介護応援手当

 


◾️埼玉県越谷市「在宅介護者福祉手当」
【支給額】

月額5,000円

(2人以上介護している場合は10,000円)


【対象者】

市内に住所があり、在宅で65歳以上の要介護4または5の方を常時介護している主たる介護者 


【支給対象外となる場合】
要介護者が施設・病院等に入所・入院している場合


▶ 越谷市ホームページ「在宅介護者福祉手当

 


このように、同じ「介護手当」でも自治体によって名称や支給額、受給条件が異なりますので、お住まいの市区町村の制度をぜひ確認してみてください。

3. 介護手当の注意点

介護手当はありがたい制度ですが、受給するにはいくつか注意すべき点があります。


◾️申請が必須
介護手当は、要介護認定を受けただけでは自動的に支給されません。必ず本人や家族が申請を行う必要があります。忘れずに手続きを行いましょう。

 

◾️他制度との併給制限
市区町村によっては「家族介護慰労金」や「重度心身障害者手当」など、同じような制度と重複して受給できない場合があります。申請前に確認しておきましょう。

 

◾️受給要件の細かい条件
所得制限や介護サービスの利用状況によっては対象外となることもあります。また、家族と要介護者の同居を条件とする自治体も多いため、別居で介護している場合は要件をよく確認しましょう。

 

MySCUE記事 介護手当 申請書イメージ

4. 介護手当以外の支援制度

在宅介護を行う家族を支える制度は、介護手当だけではありません。国や市区町村では、ケアラーの負担を少しでも軽くするために、以下のようなさまざまな支援サービスを提供しています。お住まいの地域によって内容や利用条件は異なりますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。

 

【経済的支援】
▪特別障害者手当
▪介護保険負担限度額認定
▪公共交通機関の割引(電車・バス・飛行機など)
▪福祉タクシー乗車券

 

【日常生活支援】
▪紙おむつ・防水シーツの支給
▪福祉理美容サービス(訪問理美容・割引券)
▪配食サービス
▪寝具乾燥消毒サービス
▪車椅子などの福祉用具レンタル
▪補聴器購入費の助成

 

【安全・安心サポート】
▪緊急通報システム
▪徘徊探索サービス
▪認知症ホットライン

5. まとめ

介護手当は、在宅介護を担うケアラーにとって心強い経済的支援制度です。月数千円から数万円の手当は、ケア生活にゆとりをもたらしてくれます。


まずは、お住まいの地域に介護手当制度があるかどうか確認してみましょう。今は受給要件を満たしていない方も、要介護度が上がれば対象となる可能性があります。


知らなかったために受給機会を逃すのは、とてももったいないことです。情報収集も、介護に備える大切な「ケア活」のひとつ。利用できる制度をしっかりと把握し、ケア生活に少しでもゆとりを持てるよう賢く活用していきましょう。


※掲載している内容は、2025年9月1日時点のものです。

 

写真:PIXTA、写真AC



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この記事の提供元
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著者:中谷 ミホ

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級

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