トラベルライターの間庭典子がシニア層の親と行く旅をプランニング。今回は時代に合わせてアップデートされた箱根の温泉旅館「はつはな」を体験。いつでも好きなものを飲んでくつろげるラウンジや貸切温泉など、シニア層がうれしい施設も多く、贅沢な親孝行旅には最適な、とっておきの宿でした。
やっぱり箱根! やっぱり温泉! 今回、久々に80代の母と「はつはな」に滞在し、箱根旅館の安心感、快適さを再確認しました。なによりも箱根湯本へのアクセスの良さに感動です。自宅は中央線沿線なので、新宿からロマンスカーで行ける箱根湯本駅は都合がよく、しかも小田急線はリーズナブル。特急ロマンスカーは新宿から片道2461円です。鈍行でとことこ向かえばさらにお得で1381円、JRの東海道新幹線や特急踊り子号という選択肢もあるけれど、小田原での乗り換えが面倒。そうなると新宿から箱根湯本駅に直通のロマンスカーが一番、スムースなのです。
自宅からのアクセスも抜群で、リピートしている箱根の温泉旅館はやはり安心で、快適
人気観光地、箱根の玄関口だけに、箱根湯本駅ではさまざまなサービスも。中でも積極的に観光したいアクティブ派には「箱根キャリーサービス」が便利です。通常サイズ1000円、大型トランクのような大型サイズ2500円で、駅から宿まで荷物を届けてもらえるというサービス。大きな荷物を運ぶインバウンド層向けのサービスですが、活用しない手はありません。行きは午前12時までに預ければ午後3時に、帰りは各旅館に午前10時までに申し込めば、午後1時半から6時半の間に箱根湯本駅で荷物を受け取れます。身軽に動けるので、下りの多い帰り道はウォーキングに挑戦し、芦ノ湖や大涌谷あたりまで足を運ぶという冒険もできそうです。
駅に到着したら、まずはおみやげをチェック。明日はこれを買おう、これが美味しい、など試食などをしながら下調べをしておきました。宿の送迎車は午後2時に利用予定のため、まずは腹ごしらえ。夕飯は懐石なので、メニューとして絶対にかぶらないピザを選択。駅から近い「808モンスマーレ」には軽めのサラダランチがあるので、少食な母とピザ一枚、ルッコラのサラダを分けてちょうどよかったです。軽めにしたいランチはピザをシェア、のアイデア、いいかも。
滞在するのはリニューアルした「はつはな」です。以前も洗練された女性に優しい温泉旅館として人気でしたが、2022年秋にリニューアルオープンし、さらに今の時代に合わせてアップデートされたモダンな旅館に進化しています! ホテルライクな機能性と、旅館ならではのホスピタリティを感じる宿となりました。
チェックインは午後3時から。箱根湯本駅から宿のある奥湯本までは車で10分程度の距離。少し早めについたのでフロントの隣の広くてラグジュアリーなラウンジへ。アートや暖炉の揺らぐ炎を眺めながら、くつろげるのです。同じフロアには絶景テラスも。湯坂山のパノラマビューを背景に記念写真を撮ったり、ギャラリーショップで工芸品を見ながら過ごせます。
絶景テラスやラウンジなど、部屋以外にもゆったり過ごせる空間があるのが贅沢
ティーインストラクターがセレクトしたお茶やワイン、ビールなどドリンクが選べるセルフのドリンクサービスも。オープンは3時からなのですが、すでにハーブティや各種ドリンクが並んでいて、到着を祝って乾杯としました。滞在中はこのラウンジは開放され、夜7時から10時はナイトラウンジとなり、癒しや美肌効果を意識したオーガニック・デトックスのお茶なども提供されます。ウォッカやテキーラとも相性がよく、カクテルをいろいろ試すこともできるそう。楽しみ。夜はこだわりの自家製プティフールも並びます。酒粕チーズケーキや桜の塩漬けチョコが絶品でした。
リニューアル後は全ての客室が温泉露天風呂付きに。よりプライベートな時間を過ごせるようになり、上質な泉質を24時間、いつでも気軽に楽しめるようになりました。35室という規模はスモールラグジュアリーホテルといってもよく、温泉旅館ならではの心の通ったおもてなしが期待できるのも魅力。母世代にとっては、ほっとできる空間だったようです。
すべての客室は湯坂山と須雲川に面しており、春は山桜、夏は新緑、秋は紅葉と、四季折々の景観に圧倒されます。私たちが訪れた時には少しずつ葉が色づき、風情がありました。13タイプのお部屋はそれぞれ花びらのピンクゴールドをイメージした「宙(そら)」、清らかさをアイボリーで表現した「白」、シックなアースカラーの「地」のコンセプトカラーでまとめていて、今回は白基調をベースとした和の雰囲気のプレミアムCtypeに滞在。
ここは最大4人まで宿泊できるファミリーにもおすすめの間取りで、クローゼットもゆったり。ルーフバルコニーの露天風呂をコの字型に囲むようにリビング、ベッドルーム、洗面や洗い場があり、機能的。客室のどこにいても山の景色が目に入るのにも癒されます。半月型の湯舟は3人でも入浴できる余裕があり、デザインの一環のような手すりや階段など、シニア層でも不安なく入れる設計となっていました。リビングはそのまま寝たくなるような心地よいソファもありますが、畳敷きなので床座もできます。
全客室に露天風呂があり、滞在中いつでも入れるのがうれしい。階段や手すりも完備
お部屋の冷蔵庫にあるクラフトビールやジュースも料金に含まれ、大浴場には自由に食べられるアイスキャンディーやコーヒー牛乳も。滞在中はお財布がいらないのがうれしいですね。
「はつはな」では温泉と同じくらい、食事がお目当てというリピーターが多いそう。地元神奈川の旬の食材を活かしたモダンな日本料理で、味覚でも四季を感じられます。懐石料理の枠にとらわれない洋の要素も取り入れたモダンな和食で、神奈川県南足柄で放牧飼育された「相州牛」のロース炭火焼きなどのフレンチスタイルの肉料理も。近隣港からの魚介、富士山麓で育った富士レタスなど、地場の食材を味わいます。一貫のお寿司(楚蟹とキャビアの握り!)から始まり、秋鮭といくらのご飯まで続く本格懐石。それぞれの盛り付けがアーティスティックで、少しずついただけるので食が進みやすく、母もボリュームたっぷりの相州牛以外はすべて完食。これには驚きました(一番本人が驚いていたかも???)。
美しい前菜に思わず笑みがこぼれる80代。少しずついろんなお料理を味わえ、ほぼ完食
食事は全卓個室のダイニング「はなゑみ」で。周りの目を気にせず、自分たちのペースで食事ができるので家族旅にはぴったり。最大10名ほどまでが利用できる個室もあるので、兄弟家族が集うお祝いの席にも利用できます。絶景が楽しめる窓際のカウンター席など、車いすでも移動しやすい席の設置や動線などへの配慮もあります。ディナー後に飲み足りなければラウンジへ。ナッツなどのつまみとともに、ウィスキーや日本酒を堪能できます。
朝ごはんはカウンター席で和定食を。箱根寄木細工のお膳には一口ずつのお惣菜やご飯のお供が並び、色鮮やか! 富士レタスなどを使用したサラダも美味しかった~~! 手作りのふんわり豆腐や焼き魚など品数は多いのですが、軽やかなので夕べと同じく、母もするりと完食。これには再び驚きました。
奥湯本の泉質は無色透明のアルカリ性単純温泉。濁りや臭いがないせいか、何度入っても疲れない優しいお湯で、湯めぐりにはぴったりです。「はつはな」は自家源泉で、それぞれ趣の違うお風呂がいくつもあるので、それを巡るだけでも大忙し(笑)。
大浴場にはスロープカーと呼ばれる、エレベーターとロープウェーのようなユニークな乗り物で下ります。温泉棟1階「竹の葉」は窓越しに竹林を望むアングルの違う2つの露天それぞれの景色が楽しめる大浴場。夕刻のライトアップも幻想的でした。温泉棟2階の「山の端」にはドライサウナや水風呂を併設。こちらは露天風呂との段差もなく、車いすでもアクセスしやすい設計。それぞれ眺望の良い湯上りどころもあるので、ゆったりと入浴できます。温泉棟1階と2階の大浴場は日替わりで男女入れ替わるので、2日かけて両方を体験できます。
露天風呂にもスムースにアクセスできる大浴場「山の端」は高齢者にも優しい設計
また、「はつはな」の自慢でもあるのが4か所の貸切風呂! 1回45分間、滞在しているすべてのゲストが無料で利用することができるのです。今回はインフィニティスタイルの露天風呂「川音の湯(かわとのゆ)」を選択。せせらぎや鳥の声に癒される、自然と一体化できる露天風呂です。ほかにも幻想的な「明灯の湯(あかりのゆ)」、外気浴できるルーフバルコニーが心地良い「静寂の湯(しじまのゆ)」、車いすでの利用も可能な「水面の湯(みなものゆ)」など、それぞれががらりとちがう表情で、リピーターが多いのもうなづけました。
もちろん、お部屋の露天風呂も満喫。寝る直前など、ふと思いついた時にすぐ入れるのがいいんですよね。母も何度も入浴していました。
このモダン旅館のよいところはくつろぎと機能性を兼ね備えているところ。親子旅としては、一緒に旅しながらも、各温泉や湯上りどころ、ラウンジやライブラリーなど、個の時間も楽しめる居場所が各所にあったのが印象的でした。今回は湯治セラピーを受けられるリラクゼーションサロン「まほろみ」でのトリートメントも受けたのですが、その間、母はお部屋でまったり。お茶を飲んだり(お部屋に備えられたお菓子もおいしかった!)しながらお部屋のお風呂に入って過ごしたようです。寝室には絶景カウンターデスクがあり、PC作業はそこで集中して行えるため、リビングのくつろぎムードを邪魔せずに仕事ができるのもありがたかったです。
ちなみにスパでのトリートメントは、親子二人で並んで施術を受けられる部屋もあるため、一緒に受けてもよさそう。さまざまな滞在ができる宿でした。
朝食は山を眺めながらカウンター席で。11時チェックアウトなのでゆったり過ごせる
夕食・朝食はもちろん、お部屋やラウンジでの飲食や、貸切風呂の使用料などすべてがインクルーシブなので一人50,000円~、平均60,000円という高級旅館でも、不思議とお得感がありました。母のあの喜びようを見ると、ちょっと背伸びをしてでも、年に一度の大盤振る舞いをしてもいいのかな?と思ったり。交通費が安いので、その分予算をすべて宿泊費に集中させることができそう。一世一代の親孝行には最適な箱根旅行でした。
・箱根 はつはな
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著者:MySCUE編集部
MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。