ケアラーの皆さんのご両親はふだん、どんな時間をお過ごしでしょうか? 年齢を重ねても、趣味を持つことは生活に彩りを与え、心身の健康を守るなど、さまざまなメリットをもたらします。今回の記事では、総務省の調査データに基づき、シニア世代に人気の趣味や、新しい趣味を見つけるためのヒントをご紹介します。ぜひ、ご両親やご家族と一緒に「次に挑戦してみたいこと」を話し合うきっかけにしていただけると幸いです。
総務省は5年ごとに「社会生活基本調査」を行っています。この調査では、私たちの生活時間の使い方をはじめ、学習、ボランティア、スポーツ、趣味・娯楽といった年間を通じた活動の様子を調べており、国民の社会生活を知るための貴重なデータとなっています。
最新の「令和3年社会生活基本調査」によると、「一人でいた時間」が2016年と比べて増加しており、70~74歳では6時間51分、65~69歳では6時間49分と、多くの時間を一人で過ごしていることが明らかになりました。趣味を通じて人と交流したり、地域社会に参加したりすることは、このような孤独感を和らげ、心の充実感につながると考えられます。
それでは、「令和3年社会生活基本調査」の結果をもとに、シニアに人気の「趣味・娯楽」を男女別にランキング形式でみていきましょう。まずは、75歳以上の後期高齢者の男性に人気の趣味・娯楽トップ10をご紹介します。
【後期高齢者男性に人気の趣味・娯楽トップ10】
第1位 園芸・庭いじり・ガーデニング (33.7%)
第2位 映画館以外での映画鑑賞(テレビ・DVD・パソコンなど) (23.8%)
第3位 趣味としての読書(マンガを除く) (21.7%)
第4位 日曜大工 (18.4%)
第5位 CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞 (14.4%)
第6位 写真の撮影・プリント (11.4%)
第7位 スポーツ観覧・観戦(テレビ・スマートフォン・パソコンなどは除く) (8.4%)
第8位 美術鑑賞(テレビ・スマートフォン・パソコンなどは除く) (7.2%)
第9位 スマートフォン・家庭用ゲーム機などによるゲーム (6.9%)
第10位 カラオケ (6.4%)
75歳以上の後期高齢者の男性に最も人気のある趣味は「園芸・庭いじり・ガーデニング」で、参加率は33.7%に達しています。次いで多いのが「映画館以外での映画鑑賞」(参加率23.8%)で、さらに、5位の「CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞」(参加率14.4%)と合わせてみると、自宅で手軽にエンターテインメントを楽しむ高齢者が増えていることがうかがえます。
4位の「日曜大工」(参加率18.4%)、6位の「写真の撮影・プリント」(参加率11.4%)、7位の「スポーツ観覧・観戦」(参加率8.4%)は、昔から男性に親しまれてきた趣味です。これらは、年齢を重ねても探求心を満たし、奥深い楽しみを味わえることが人気の理由といえるでしょう。
続いて、75歳以上の後期高齢者の女性に人気の趣味・娯楽トップ10をご紹介します。
【後期高齢者女性に人気の趣味・娯楽トップ10】
第1位 園芸・庭いじり・ガーデニング (37.7%)
第2位 趣味としての読書(マンガを除く) (21.3%)
第3位 映画館以外での映画鑑賞(テレビ・DVD・パソコンなど) (18.1%)
第4位 編み物・手芸 (14.6%)
第5位 CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞 (11.2%)
第6位 和裁・洋裁 (10.5%)
第7位 趣味としての料理・菓子作り (9.2%)
第8位 美術鑑賞(テレビ・スマートフォン・パソコンなどは除く) (6.1%)
第9位 スマートフォン・家庭用ゲーム機などによるゲーム (5.2%)
第10位 カラオケ (4.7%)
※その他を除く
後期高齢者の女性に最も人気のある趣味は、男性と同様に「園芸・庭いじり・ガーデニング」で、参加率は37.7%でした。2位は「趣味としての読書」(参加率21.3%)、3位は「映画館以外での映画鑑賞」(参加率18.1%)、5位は「CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞」(参加率11.2%)と、インドアで楽しめる趣味が上位を占めています。
また、女性ならではの人気の趣味として「編み物・手芸」(参加率14.6%)、「和裁・洋裁」(参加率10.5%)、「趣味としての料理・菓子作り」(参加率9.2%)などがランクインしました。これらは、手を動かして「創り出す」ことで達成感や喜びを得られる、創造的な趣味といえるでしょう。
は、後期高齢者の男性に人気のスポーツについて、ランキング形式でご紹介します。
【後期高齢者男性に人気のスポーツ トップ10】
第1位 ウォーキング・軽い体操 (45.6%)
第2位 ゴルフ(練習場を含む) (8.9%)
第3位 器具を使ったトレーニング (8.6%)
第4位 グラウンドゴルフ (6.3%)
第5位 釣り (5.0%)
第6位 登山・ハイキング (4.1%)
第7位 サイクリング (3.6%)
第8位 ジョギング・マラソン (3.5%)
第9位 卓球 (1.9%)
第10位 ボウリング (1.6%)
後期高齢者の男性に最も人気のあるスポーツは「ウォーキング・軽い体操」で、参加率は45.6%にのぼります。なんと、シニア男性の約半数が日常生活に取り入れていることがわかりました。2位は「ゴルフ(練習場を含む)」で参加率は8.9%。ゴルフブームを牽引した世代が、今もなお現役でゴルフを楽しんでいることがうかがえます。
3位は「器具を使ったトレーニング」(参加率8.6%)で、フィットネスクラブなどを利用して体を鍛えるシニアが多いことを示しています。4位は近年人気の「グラウンドゴルフ」(参加率6.3%)です。高齢者のスポーツの定番だった「ゲートボール」は団体戦が中心でしたが、ルールがシンプルなグラウンドゴルフに人気が移ってきているようです。
5位以降も、「釣り」(参加率5.0%)、「登山・ハイキング」(参加率4.1%)、「卓球」(参加率1.9%)、「ボウリング」(参加率1.6%)と、長年愛されてきたスポーツが続きます。7位の「サイクリング」(参加率3.6%)、8位の「ジョギング・マラソン」(参加率3.5%)といった、近年人気が高まっているスポーツも上位に入っています。
【後期高齢者女性に人気のスポーツ トップ10】
第1位 ウォーキング・軽い体操 (41.1%)
第2位 器具を使ったトレーニング (7.2%)
第3位 グラウンドゴルフ (4.1%)
第4位 ヨガ (2.3%)
第5位 登山・ハイキング (2.2%)
第6位 卓球 (1.6%)
第7位 水泳 (1.6%)
第8位 ジョギング・マラソン (1.4%)
第9位 サイクリング (1.0%)
第10位 ゴルフ(練習場を含む) (0.8%)
後期高齢者の女性に最も人気のあるスポーツは、男性と同様に「ウォーキング・軽い体操」で、参加率は41.1%でした。手軽に始められ、健康維持に直結する点が人気の理由といえます。2位は「器具を使ったトレーニング」(参加率7.2%)で、フィットネスクラブなどを利用して、積極的に体力づくりに取り組む女性が多いことがうかがえます。
3位には「グラウンドゴルフ」(参加率4.1%)がランクイン。年齢を重ねても楽しめ、仲間との交流も生まれる点が魅力です。4位は「ヨガ」(参加率2.3%)で、柔軟性やバランス感覚を養うのに適しており、近年人気が高まっています。5位は「登山・ハイキング」(参加率2.2%)でした。
6位以降は、「卓球」(参加率1.6%)、「水泳」(参加率1.6%)、「ジョギング・マラソン」(参加率1.4%)と、多様なスポーツが続きます。また、9位の「サイクリング」(参加率1.0%)は、近年人気が上昇しているスポーツといえるでしょう。
趣味を始めたいと思ってもなかなか一歩を踏み出せないという方には、サークルへの参加がおすすめです。サークルは以下の方法で探すことができます。また、お住まいの地域の公民館やカルチャースクールでも、さまざまな講座が開催されているので、ぜひ調べてみましょう。
地域の広報誌やウェブサイト:自治体が発行する広報誌や公式ウェブサイトには、地域で開催されている講座やサークルの情報が掲載されています。
・公民館・地域センター:公民館や文化センターには、多種多様なサークル活動の案内が掲示されています。見学や体験会に参加できる場合も多いので、足を運んでみましょう。
・インターネット検索:「(お住まいの地域名) シニア 趣味」や「(お住まいの地域名) (興味のある趣味) サークル」といったキーワードで検索すると、地域の情報が見つかります。
・地域の交流イベント:地域のイベントやお祭りに参加すると、さまざまなサークルが活動紹介をしていることがあります。実際に話を聞いてみる良い機会です。
・友人や知人からの紹介:すでに趣味を楽しんでいる友人や知人に、おすすめのサークルや教室がないか尋ねてみるのも良い方法です。
運動を趣味にする場合、長く続けるためには、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
・無理なく続けられること:体力や健康状態に合わせて、無理なく続けられる運動を選びましょう。まずはウォーキングや軽いストレッチから始めてみるのがおすすめです。
・興味があること:運動そのものに興味が持てるかどうかが継続の鍵となります。自然が好きならハイキング、音楽が好きならダンスなど、他の趣味と組み合わせるのも良いでしょう。
・体験会に参加する:スポーツクラブや地域の運動教室では、無料体験を実施しているところも多くあります。いくつか試して、自分に合うものを見つけましょう。
・専門家への相談:持病がある場合や体力に不安がある場合は、医師や理学療法士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることも検討してください。
一般的に趣味を見つける上で大切なのは、心から「楽しい」「おもしろい」と感じられること、そして興味を持てることです。「周りの人がやっているから」「健康に良いと聞いたから」という理由だけで始めても、興味がなければ長続きせず、かえってストレスになることもあります。
無理に「何か趣味を持たなければ」と気負う必要はありません。まずは、子どもの頃に好きだったこと、昔やってみたかったけど時間がなくてできなかったこと、最近気になっていることなどをいくつか書き出してみてはいかがでしょうか。
人生100年時代と言われる今、趣味は生活に彩りを与え、生きがいや人とのつながりをもたらす大切な要素です。焦らず、ご自身のペースで、心ときめく趣味との出会いを楽しんでください。
・参考:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」
構成:研友企画出版
著者:MySCUE編集部
MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。