脂がのってうま味が増す「秋の戻りがつお」を、揚げずに香ばしく焼き上げたヘルシーな南蛮漬けを紹介します。オクラやえのき、ピーマンなどの野菜をたっぷり使い、食物繊維も豊富。噛みごたえがあり、栄養も満足感もきちんと得られます。南蛮酢のさっぱりとした味わいが、かつおのうま味を引き立て、晩ごはんのおかずにもピッタリです。
食後の血糖値を緩やかな状態に保つカギは、“2種類”の食物繊維をバランスよく食事に取り入れることです。
水溶性食物繊維(オクラなど)は、糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急な上昇を防ぐ働きがあります。一方、不溶性食物繊維(えのきたけ、ピーマンなど)は噛みごたえがあり、自然と噛む回数が増えることで「早食い・大食い」を防ぎます。
今回ご紹介する「かつおの野菜南蛮」は、たっぷりの野菜でこの2種類の食物繊維をバランスよく取り入れた一品です。よく噛むことで満腹感も得やすく、高齢者の“噛む力”の維持にも役立ちます。
また、主役のかつおには、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きを助けるDHAやEPAなどの良質な脂が豊富。
また、南蛮漬けは通常油で揚げて作りますが、今回は揚げずにフライパンで香ばしく焼くため、余分な油を使わず、ヘルシーに作れるのもポイントです。
味の決め手は、唐辛子の辛味と酢の酸味がほどよく効いた南蛮酢。かつおのうま味を引き立て、冷めてもおいしくいただけます。
具だくさんで栄養価も高く、一皿で満足できる“賢いおかず”です。
材料(2人分)
かつお(刺身用)……小1節(180g)
オクラ……4本
ピーマン……2個
赤ピーマン……1個
長ねぎ……1/3本
えのきたけ……1/2パック(50g)
サラダ油……小さじ2
南蛮酢
酢・水……各大さじ2
酒・しょうゆ・砂糖……各大さじ1
赤唐辛子(種を除く)……1/2本
*料理のエネルギー・ 塩分は1人分です。
*野菜類は皮をむくなどの下ごしらえをすませてからの手順を説明しています。
エネルギー157kcal
塩分0.9g
料理撮影:貝塚 純一
レシピ開発・調理:伊藤 晶子
① かつおは1㎝厚さに切る。オクラは塩少々(材料外)をこすりつけて産毛を取り、水洗いしてヘタを薄く削る。
②ピーマン、赤ピーマンは種とヘタを除いてせん切りにし、長ねぎは縦半分に切って斜め薄切りにする。えのきたけは石づきを除いて半分に切り、ほぐす。
③小鍋に南蛮酢の材料を入れて中火で熱し、煮立ったら②を加えて30秒煮る。
④フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、 オクラを転がしながら焼き、バットに取り出す。つづけてかつおを並べて1~2分焼き、両面に焼き色がついたらバットに取り出す。
⑤④が熱いうちに③をかけ、野菜を広げてかつおを覆う。粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やす。
シニアのためのひと工夫:
かつおをあじや生鮭など手軽に買える食材に置き替えると、手軽で味のバリエーションも広がります。野菜もたまねぎやにんじんなど、お好みのものでOK。南蛮酢で少し煮るとやわらかく、食べやすくなります。
著者:伊藤 晶子(いとう・あきこ)
料理研究家・管理栄養士
料理教室FRASCO 主宰(福島県いわき市)
女子栄養短期大学を卒業後、料理研究家アシスタント、料理教室スタッフなど様々な食の
現場を経て、2009年に独立。『栄養と料理』『レタスクラブ』『お料理家計簿』(講談社)などの料理雑誌でのレシピ提案や、料理教室講師、イベント運営、企業のレシピ開発、料理番組の裏方など、多岐にわたって活躍。2020年末にいわきへUターンし、現在は料理教室運営を軸に、東京へも出向き、食の仕事に携わる。確かな調理技術をもとに、作りやすさと美味しさを兼ね備えた、食べて笑顔になる料理を提案し続けている。『フィスラーの料理教室』(KADOKAWA)、『ラプンツェルと学ぶ 料理の基本(料理担当)』(KADOKAWA)、『おいしすぎる糖質オフカレー』(KADOKAWA)、『幼児から小学生まで 食物アレルギー栄養しっかりごはん(料理担当)』(女子栄養大学出版部)など著書多数。