コロッケ作りは手間がかかるイメージがありますが、「スコップコロッケ」なら、トースターで焼くだけで手軽に作れて後片付けもラク。サクサクの衣としっとりした里いもの食感が楽しめ、栄養バランスも◎。日常の食卓にはもちろん、おもてなしの一品にも活躍します。
じゃがいもなどのいも類は「太りやすい」というイメージがあるかもしれませんが、里いもは低エネルギーで糖質が少ないのが特徴です。
ぬめりの正体「ガラクタン」は食物繊維の一種で、中性脂肪を減らして動脈硬化を防ぐ働きがあるといわれています。また、人の消化酵素では分解できないため、たくさん摂取しても脂肪になりにくい性質をもっています。
加えて、余分な食塩を排出するカリウムや、糖質を効率よくエネルギーに変えるビタミンB1も豊富でさらにミネラルの一種であるモリブデンは、鉄の利用を助けて血液の細胞成分を作るのを促すため、貧血の予防にも役立ちます。まさに栄養の宝庫です。
今回は、そんな里いもを使った「スコップコロッケ」をご紹介。タネを丸めたり、卵液にくぐらせて揚げたりといった工程が不要で、下ごしらえも簡単。
合いびき肉や長ねぎを合わせることでうま味とボリュームが増し、主菜としての満足感も十分です。香ばしいパン粉のサクサク感と、里いものやさしいしっとり感が絶妙に引き立ちます。
スプーンを入れるたびに食欲をそそられ、家族みんなで楽しめる一品です。
材料(2人分)
里いも……350g
合いびき肉……100g
長ねぎ……1/2本
牛乳……1/3カップ
サラダ油……大さじ1/2
A
しょうゆ……小さじ2
みりん……小さじ1
B
パン粉……大さじ2
オリーブ油……小さじ2
*料理のエネルギー・ 塩分は1人分です。
*野菜類は皮をむくなどの下ごしらえをすませてからの手順を説明しています。
エネルギー335kcal
塩分 1.0g
料理撮影:貝塚 純一
レシピ開発・調理:伊藤 晶子
①里いもは皮をむき、ひと口大に切ってボウルに入れる。塩(材料外)を振ってよくもみ、水洗いしてぬめりを取る。
②①の水気を切って耐熱皿に並べ、ラップをして電子レンジ(600W)に4分かける。
③長ねぎは粗みじんに切る。Bは混ぜ合わせておく。
④フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、長ねぎを炒める。しんなりしたらひき肉を加え、焼き色がついたらAで調味する。
⑤②に④をかけてならし、牛乳を回しかけてBを散らし、オーブントースターで10~15分焼く。途中でパン粉が焦げるようならアルミホイルで覆う。
シニアのためのひと工夫:
•里いもをじゃがいもに変えて、ホクホク感を楽しむ料理にアレンジしても良いでしょう。
•いもが食べにくい場合は、レンジ加熱後にマッシャーやフォークなどでつぶすと、食べやすくなります。
著者:伊藤 晶子(いとう・あきこ)
料理研究家・管理栄養士
料理教室FRASCO 主宰(福島県いわき市)
女子栄養短期大学を卒業後、料理研究家アシスタント、料理教室スタッフなど様々な食の
現場を経て、2009年に独立。『栄養と料理』『レタスクラブ』『お料理家計簿』(講談社)などの料理雑誌でのレシピ提案や、料理教室講師、イベント運営、企業のレシピ開発、料理番組の裏方など、多岐にわたって活躍。2020年末にいわきへUターンし、現在は料理教室運営を軸に、東京へも出向き、食の仕事に携わる。確かな調理技術をもとに、作りやすさと美味しさを兼ね備えた、食べて笑顔になる料理を提案し続けている。『フィスラーの料理教室』(KADOKAWA)、『ラプンツェルと学ぶ 料理の基本(料理担当)』(KADOKAWA)、『おいしすぎる糖質オフカレー』(KADOKAWA)、『幼児から小学生まで 食物アレルギー栄養しっかりごはん(料理担当)』(女子栄養大学出版部)など著書多数。