東京・品川にあるMySCUEイオンスタイル品川シーサイド店では、心を通わせるコミュニケーションロボットを集めた「ロボット展」が開催されています。
なぜ今、介護の現場や家庭にロボットが必要なのでしょうか。自身も店頭に立つ石森店長に案内していただきながら、ケアラーの暮らしを支えるコミュニケーションロボットについてお話を伺いました。
MySCUEは、ケアラーを支える「ケア活」に関する情報を発信しており、その拠点となるイオンスタイル品川シーサイド店では、現在「ロボット展」が開催されています。
●品川で出会う“未来の家族”。期間限定「ロボット展」開催中
MySCUEイオンスタイル品川シーサイド店は、シニアケアにまつわる最新の製品やサービスを見て、触れて、体験できる「情報発信拠点」です。現在ここで、1月10日までの期間限定で「ロボット展」が開催されています。
「今のロボットたちは本当に賢くて、私たちの想像を超えてくるんです」と目を輝かせて語るのは石森店長。イオンに入社して8年目、26歳という若さでこの新規事業の店長を任されました。今回の展示も、最新ロボットをリサーチし、企業にアプローチして実現したものです。
「ここでしか見られないロボットもいますよ」と語る店長の案内で、その個性豊かなラインナップを見せていただきました。
MySCUE品川シーサイド店の店長、石森さん
●「ケアする人」を支えたい。MySCUEが目指す「ケア活」とは?
なぜ今、店舗でロボットの展示なのでしょうか。石森店長は「シニア本人の孤独解消はもちろんですが、私たちが特に気にしているのは『ケアラー(介護する人)』へのサポートです」と語ります。
これから高齢者が増えていく中で、支える側の負担はますます大きくなります。「介護によってストレスが増えて自分の時間がなくなると、心身ともに疲れ果ててしまいます。そうした課題を解決するために、商品や情報でお手伝いがしたいんです」と石森さん。
そのため、MySCUEのブースは単に商品を並べるのではなく、シニアの孤独解消やケアラーの負担軽減など、「12の課題」に沿って構成されています。
ロボットがお年寄りのよき話し相手になれば、その間、ケアラーは安心して一息つくことができます。ロボットは単なる機械ではなく、ケアラーに「自分の時間」を取り戻してくれるパートナーにもなり得るのです。
MySCUEでは、このように介護が始まる前から情報を集め、自分と家族を守るための準備をすることを「ケア活」と呼び、推奨しています。
展示会場には、それぞれ異なる特技や性格を持ったロボットたちが並んでいます。ここでは特に注目度の高い3点を紹介します。
●PARO(パロ):世界で最もセラピー効果のあるロボットとしてギネス認定されたアザラシ型ロボット
ギネスにも認定されたセラピー効果を持つPARO。あまり馴染みのないアザラシ型のロボットは、なでると喜び、叩くと嫌がる学習機能があります。接し方によって性格も変化するため、まるで本物のペットを育てているような感覚になれます。
●RoBoHoN(ロボホン):歌とダンスで場を明るくする人気者
来場する子どもたちに注目を集めているのが、スマートフォンの機能も備えたロボホンです。会話はもちろん、愛らしいダンスや歌で周囲を笑顔にします。設定した時間に「お薬飲んだ?」と声をかけたり、遠く離れた家族へ「今日はこれだけ話しました」と活動日記を送ったりと、楽しさに加えて、見守り機能も充実した頼れるパートナーです。
●NICOBO(ニコボ):お店で一番人気!「永遠の2歳児」
なでると喜び、ゆらゆら動いて、カタコトで話したり、時にはオナラをしたり。その不完全な「弱さ」が愛おしく、つい世話を焼きたくなる可愛さです。気ままな同居人として思わず笑顔になれるロボットなので、多くの来店客に選ばれています。
ほかにも、次のような多くのロボットが展示されています。
●OriHime(オリヒメ):遠隔操作でその場にいるかのように会話ができる分身ロボット
●ユピ坊:離れて暮らす家族の様子をさりげなく見守る
●だいちゃん:認知症の方との会話に特化し、昔話やクイズで脳を活性化させる
●スマイルメディくん:お薬の時間を声で知らせてくれる
●CoRoMoCo®(コロモコ):独特のゆったりした仕草や声に癒されるロボット
このように、悩みや目的に合わせたロボットたちが勢揃いしています。
このように数多くのロボットが登場している背景には何があるのでしょうか。
「時代とともに高齢者の割合が増えていて、それによって、孤独感を感じる方も増えていると思います。今後、さらに高齢化は進んでいきますので、こうしたロボットたちの需要は今後、確実に伸びていくと思います」と石森店長。
核家族化が進み、一人暮らしの高齢者が増える中、ロボットは単なる「便利な道具」を超え、心の隙間を埋める重要なパートナーになりつつあるようです。
しかし、カタログやネットの情報だけでは、その本当の価値は伝わりにくいものです。「だからこそMySCUEは、お客様が直接見て触れ合える場所を増やしていきたいんです」と力強く語ります。
●スタッフやお子さんの心も癒す存在
ロボットの癒し効果が発揮される対象は高齢者だけにとどまりません。学校に通えないお子さんの話し相手になったり、若い世代がペット感覚で迎え入れたりと、その可能性は全世代に広がっています。
「ロボット展に来てくださる方は、シニア世代だけでなく、子どもも含めた全世代にわたっているんです」と石森さんはうれしそうに語ります。
意外なところでは、介護現場で働くスタッフの癒しにもなっているそうです。
「ある介護施設にロボットをレンタルでお貸ししたときのことです。期間が終わって返却する際、入居者様が寂しがるかなと心配していたところ、入居者様だけでなく、スタッフの方からも『いなくなると寂しい』という声をいただきました」
日々、緊張感を持ってケアにあたるスタッフにとっても、ロボットは肩の力を抜ける安らぎの存在になっているようです。
「うちの親はまだ元気だから」とおっしゃる方でも、転倒や病気によって急に親の介護が必要になることがあります。
「防災と同じで、事前の備えが大切なんです。まずはお店に立ち寄って実際に触れてみてほしいと思います」と石森店長。
MySCUEでは(介護のために必要な)便利な道具や制度、そしてロボットなどの情報を事前に知り、備えておくことを「ケア活」と呼んでいますが、ケア活がいざという時に、自分たちの暮らしを守ってくれるものになるのかもしれません。
ロボット展は、イオンスタイル品川シーサイド店1階のMySCUEの店舗で開催されています。お近くにお越しの際は、ぜひ一度お立ち寄りください。
●MySCUイオンスタイル品川シーサイド店
著者:織田さとる(株式会社物語社)
介護業界で20年以上の実務経験を持つケアマネライター。専門学校卒業後、特別養護老人ホームで介護福祉士、ケアマネジャー、生活相談員として勤務。現在も施設で働きながら、介護・福祉分野の記事を執筆している。
保有資格:ケアマネジャー、介護福祉士、社会福祉士、公認心理師など。