1. 男性用を求める声にこたえて、開発がスタート
今回お話を伺ったのは、ユニ・チャームで長年排泄ケア用品を担当する高阪翔士さん。10年以上、軽失禁対策の商品開発を手がけてきた方です。軽失禁の悩みを抱えているのは、日常生活を送るのに支障がなく、仕事も外出も積極的にしている方々。だからこそ、臭っていないかどうか、シミになっていたりしないかどうかを気にしているといいます。
「男性の尿もれというのは、主に2種類あります。ひとつは前立腺肥大で尿が漏れてしまうというケース。この場合は1回につき100〜200ccほどが出てきます。もう一つは、トイレの際に尿が出切らずに残ってしまうケース。“追っかけモレ”という呼び方が一般的ですね。量にして2〜3ccが平均的です」
ユニ・チャームの男性用パッドの開発は、2012年にスタート。当時も男性用の軽失禁対策アイテムはあったそうですが、その頃流通しているのはパンツ型のみ。男性でも女性向けの尿もれパッドを使用したり、もしくはティッシュペーパーなどで代用していたりという方が多かったようです。
「この頃から『男性専用に作られた商品はないのか』と、お客様センターへの問い合わせが増えてきていたんです。ちょうどその頃に女性用の商品に関するCMがテレビで流れるようになっていたので、その影響もあったと思います。そこから私たちは、製品化に向けてリサーチを始めました」
3. 使い慣れない用品だからこそ、わかりやすさにも最大限に配慮
吸水体は女性用パッドや介護用おむつとほぼ同じ素材。すぐに取り替えられない場面を想定し、抗菌成分や消臭ポリマーを強化したといいます。パッドのラインアップは、尿の量に合わせ10〜200ccまで全7段階。軽いもので2.5mm〜、最大でも5mmという薄さ。
「男性はもともとこういったパッドを使う習慣がないため、なるべく薄型で装着していても違和感がないということが重要でした。そして、1種類の展開ではなく、自身の量に合ったタイプを選べるようにしたのも、それぞれの快適性に合ったチョイスをしていただきたかったからです」
使い方に関しても不慣れな男性目線を大事にし、わかりやすさ第一に。
「不慣れなことに加えて、もうひとつ。この商品を手に取る方々は、自身でこのパッドを装着して使用するはず。そこで、加齢で手の動きや視力が低下している場合もあるだろうと想定して、使い方を大きくプリントすることにしたんです」
個包装の剥離紙に、使用方法が大きく図解で印刷してあります。このガイダンスがあることで、外出先でも不安なく取り扱うことができます。そして、最後にひとつ注意点。使用の際は、ぜひブリーフもしくはボクサータイプの下着に装着してください。トランクスは体から離れてしまう分だけ、どうしてもモレのリスクが上がってしまうそう。体に密着する下着のほうが、パッドもしっかりフィットして安心ですね。
4. 取材を終えて…
尿もれケアが身近なものに変化してきているのを実感していた近年。この「ライフリー 男性用うす型パッド」が年々2ケタ成長を遂げているという高阪さんの言葉にも納得の思いでした。
自然な老化現象とはいえ、まだまだ仕事もお出かけも積極的にできるうちから始まること。だからこそ、しっかりと対策できることが大事だと感じています。ケアさえできれば、前向きに活動することができるのだから。
こうした商品を開発する現場に立ってきた高阪さんご自身も、「失禁が隠しておきたいことから、少しずつオープンになってきていますね」とお話ししていました。「外出したいという気持ちをくじく要因になってしまうと、より悩みは大きくなっていくのではないでしょうか。私たちはそうした問題を解消する商品を提供することで、明るく暮らしていくお手伝いができればと思っています」と教えてくださいました。
ライフリーのサイトには、尿もれに関する情報を集めたコーナーもあるので、ぜひあわせてチェックしてみてください。