1. 相談は無料で。地域住民に寄り添う身近な相談機関
介護生活がいざ始まると、小さな疑問やつまずきが溢れていると感じる方が多いのではないでしょうか。「高齢の家族の元気がなくなってきた」、「今のケアのやり方を何となく違うように感じている…」というような、一体どこへ相談に向かったら良いものか分からない、漠然とした不安や心配も出てきます。そんな時に連絡したいのが、地域包括支援センターなんです。千葉市「あんしんケアセンター」の岡村さんは、取り組みについてこんなふうに教えてくださいました。
「地域包括支援センターは、住民の方々が気軽に相談できる場所。高齢者ご本人や高齢のご家族を持つ方はもちろん、近所に高齢者がお住まいという方などからも連絡を受けることがあるんです。65歳以上の高齢者に関わる内容を対象としていますが、対象外だと話を聞けない、というわけでもないんです。担当の地域に入っていって、住民の方々にとって住みよい環境を作っていくのが私たちの最終目標ですからね」
センターのメンバーは地域そのものとさまざまな形でコミュニケーションを取るよう日々努めているそうで、岡村さんは「本当ならば住民の方すべてを網羅できたら」ともおっしゃいます。
「センターで待っているだけでなく、自分たちからも何かアクションを起こすことも大切と考えて、近年はイベントや体操教室などを開催しています」
2. 具体的にはどんなことをしてくれるところなの?
「相談件数が多い悩みは、介護保険に関することを筆頭に、認知症やその他の病気の兆候について、またそれに伴う医療機関の紹介。施設の紹介などでしょうか」と岡村さん。
スタッフには社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャーが必ず揃っているというのもポイントです。それぞれ専門的な視点から相談内容を分析し、解決策を判断。相談者にとってより適切なサポートを提供できるように、チーム一丸となって働きかけてくれるんですね。上記の悩み以外に、権利問題や虐待の問題などにも対処。相談内容をじっくりとヒアリングして、適切な外部の機関やサービスに繋いでいくそう。
「私たちは問題を解決する機関ではなく、あくまでハブ的な存在。だからこそ、どんなことでも相談していただきたい。まずはお気軽にお電話をかけていただければ。実名で相談することにためらいがあるようでしたら匿名でもOKです」
3. 気おくれせずに、小さなことでも。気軽に利用することがカギに
最初から相談内容が明確なケースがある一方で、自身が何に困っているのかわからないけれど困っていることは自覚している、という方もたくさんいると岡村さんは言います。
「ボンヤリとした相談、モヤモヤしていることでも大歓迎です。問題が深刻になってしまってからだと、その分支援が難しくなる。だから、1人で抱え込まずにとにかく声をかけていただくのがいいんです」
「あとは、高齢者ご本人だけでなく介護を担う家族のケアというのも、大事だと考えているんです。ケアラー側に精神的にも肉体的にも余裕が生まれれば、それだけ高齢者にとってもいい生活環境が守られるということですからね」
「家庭内の困りごとを外に出せない」、「人に迷惑をかけたくない」という考えは、遠い過去のものになりつつあり、今は困ったことがあれば積極的にSOSを出すのがベターなのかもしれません。
「よく、相談者の方から『こんな相談をしてしまって、いいのかしら?』と言われるのですが、全く問題ありません。支援につながるためには、まずSOSを出すことが何より大事。ぜひ勇気を出して、最初の一歩を踏み出してください」
4. 取材を終えて…
「昨年に比べて、電話相談件数が2倍近くになっています」と岡村さんはおっしゃっていました。
近隣住民など周囲とのつながりが希薄な都市部や、ひとり暮らしの高齢者の増加など、地域社会のあり方はどんどん姿を変えています。それに伴い、地域包括支援センターの役割は、これからますます重要になっていくように感じます。
「相談者おひとりおひとりが、何に困っていて、どういう生活を望んでいるのか。そこを把握して支援していくのが重要だと思っています。だから、相談後にケアマネジャーを紹介して解決するケースもあれば、その後長く支援をしながらお付き合いすることになる方もいらっしゃいます。2年前に対応した方が、またいらっしゃる場合も。よく、“地域との繋がりの中で、本当の意味で終わりというものはないんだな”と感じますね」
刻々と変化していく、地域の形やライフスタイル。その中で、誰ひとり取り残されないことを目指しているのだと、岡村さんの言葉から感じられました。