1. 介護保険制度とは何?
介護保険制度とは、介護が必要となった人とその家族を支える公的な仕組みです。少子高齢化や介護離職問題などを背景に創設されたもので、介護を社会全体で支えることを目的としています。
介護が必要となった時に費用の一部を負担することで、さまざまな介護サービスを利用することができるありがたい制度です。
2. 介護保険の基本的な仕組み
介護保険制度の基本的な仕組みとして「被保険者・介護サービス事業者・保険者」の三者の関係をおさえておきましょう。
【ポイント】
介護保険のサービスを利用した場合、かかった費用の1〜3割(※)を利用者が支払います。残りの7〜9割は、保険者が介護サービス事業者へ支払います。
介護保険のサービスを利用している間も、加入者は保険料を支払い続けます。
※自己負担額は所得によって異なり、1〜3割のいずれかになります。
3. 介護保険の被保険者
介護保険加入の対象者は、65歳以上の方(第1号被保険者)と、40〜64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分けられます。
第1号被保険者は、要介護認定または要支援認定を受けた時に原因を問わず介護サービスを利用することができます。
一方、第2号被保険者は、加齢に起因する「特定疾病」が原因で要介護(または要支援)認定を受けられれば、介護サービスを利用することができます。
【介護保険に加入できない人もいる】
40歳以上65歳未満の医療保険に加入していない生活保護受給者の方は、介護保険の被保険者となりません。介護が必要となった場合は、生活保護費の介護扶助費用としてまかなわれ、自己負担なく介護サービスを利用することができます。
4. 介護サービスを受けるには?
では、実際に介護サービスを利用したい場合には、どうすればよいのでしょうか。以下は、介護サービスを利用したい場合の基本的な流れです。
1. 市区町村の窓口で申請する
介護保険の申請は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で行います。
申請に必要なものは下記の通りです。市区町村によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
◾️申請に必要なもの
・介護保険被保険者証
・申請書
・基本チェックリスト(必要ない場合もある)
・マイナンバー確認書類(必要ない場合もある)
64歳以下の方は、介護保険被保険証がないため、健康保険証で申請します。
2. 要介護の認定調査を受ける
認定調査は、基本的に自宅に調査員が訪問して行います。入院中の場合は、病院で受けることも可能です。
3. 要介護度が決定
要介護度は、非該当と、要支援1・2、要介護1〜5の8段階があり、申請からおよそ30日以内に郵送で通知されます。
要介護度が記された結果通知書とともに、申請時に提出した介護保険被保険者証も戻ってきますので、通知書と保険証の内容が同じかどうか確認しましょう。
なお、介護保険を利用して介護サービスを受けられるのは、要支援1・2、要介護1〜5の認定を受けた方です。非該当の方は、市区町村が実施する「介護予防・生活支援サービス事業」のサービスが利用できる場合があります。
4. ケアマネジャーを決める
要介護認定を受けると、担当のケアマネジャーがつき、介護について相談できるようになります。
要支援に認定された方は地域包括支援センターのケアマネジャー、要介護に認定された方で自宅で介護サービスを利用する場合は、居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)のケアマネジャーが担当になります。
それぞれに問い合わせをすると、担当可能なケアマネジャーを紹介してもらえます。
5. ケアプランを作る
介護サービスを利用するには、ケアプランの作成が必須です。
ケアマネジャーが被保険者本人の状況を聞き取って作成していきます。
6. 契約後、サービス開始
利用するサービスごとに、介護サービス事業者と契約を結びます。
介護保険の申請手続きは、代行してもらうことも可能です。
本人や家族が申請に行けない場合や、自分一人での手続きに不安がある場合は、地域包括支援センターもしくは、ケアプランセンターに相談に行くと、在籍するケアマネジャーが手続きを代行してくれます。
入院中の方は、病院の医療ソーシャルワーカーに、介護サービスの利用を希望していることを相談してみましょう。申請代行をしてくれるケアマネジャーを紹介してもらえることがあります。
ケアマネジャーに代行してもらうメリットとして、申請後の相談も合わせてできることが挙げられます。要介護度の決定後からサービス開始までの流れがスムーズに進みます。
5. 突然の介護に困らないように
介護保険は、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的に創設された制度です。
介護保険制度の知識を身につけておくと、実際にサービスを利用したいと思った時に役立ちます。
介護は長期にわたる場合もありますので、制度の仕組みを理解して上手に活用していきましょう。
