岩手県でひとり暮らしを続けるアルツハイマー型認知症の母。介護施設を利用せず、東京から通いで在宅介護をする道を選びました。離ればなれのまま、息子が家族3人の介護をする10年の物語です。
祖母が救急車で運ばれたとき、実は母も認知症らしき症状が出ていました。祖母が入院するために必要な大事な書類の記入をすっかり忘れ、白紙のまま居間のコタツの上に置いてあったのです。 あれから10年が経過し、母の認知症は軽度から重度まで進行。最近はわたしの顔を見て「あんた誰だっけ?」なんて言うほどです。 ずっと笑いながら介護できたらいいのにと思いますが、正直なところ簡単ではありません。時にはケンカをして、激しく自己嫌悪に陥る日もあります。 それでもケンカしたことをすっかり忘れた母が「気を付けて帰ってや~」と言いながら、いつまでも笑顔で手を振ってわたしを見送る姿を、東京へ向かう新幹線の中でつい思い出してしまいます。 母の介護の話を中心に、これから綴っていきます。
この記事の続き
・【離ればなれ介護vol.2】親が元気なうちにやるべきこと
・【離ればなれ介護vol.3 】離れて暮らす親の見守りはどうする?
著者:工藤 広伸
介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。2012年より岩手で暮らす認知症の母を、東京から通いで遠距離在宅介護を続けている。途中、認知症の祖母や悪性リンパ腫の父も介護し看取る。介護に関する書籍の執筆や、企業や全国自治体での講演活動も行っている。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。著書に『親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること』(翔泳社)、『親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと』(翔泳社)ほか
介護ブログ『40歳からの遠距離介護』https://40kaigo.net/
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