1. どんな場面で介護が必要になる?
はじめに、実際に親の介護や日常生活の支援が必要となったケースをご紹介します。
①突然の入院
急なケガや病気で入院したことをきっかけに、介護が始まるケースはよくあります。
高齢者が入院して、体を動かさない時間が長くなると、体力や認知機能が低下していきます。治療が終わっても回復するまでに時間がかかるため、何らかの介護が必要となる可能性が高くなります。
②配偶者との死別
夫婦二人で暮らしていた場合、どちらかが亡くなってしまうことが介護のきっかけになることもあります。
配偶者との死別は、大きなショックをもたらします。気分が落ち込み、食欲低下などの症状が現れたり、家に引きこもりがちとなったりする場合もあるでしょう。こうした場合には、精神面のサポートと同時に、日常生活の支援も必要となります。
③認知症の症状
認知症も、介護のきっかけになります。認知症が進行すると、一例として以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
・排せつの失敗が増える
・ゴミの分別ができない
・ガスや電気を消し忘れる
・お金の管理ができなくなる
・薬を飲み忘れる
・外出先から戻れなくなる
・詐欺の被害に遭う
認知症が初期の頃は、見守り程度のサポートで問題ありませんが、認知症が進行すると、本人の安全や健康を守るために、介護や支援が必要となります。
2. 介護に備えて今からできる4つのこと
ここまで紹介してきたように、突然親の介護が必要となることは十分あり得ます。そのため、親が元気なうちから介護について家族間で話し合い「もしも」に備えてほしいと思います。ここでは、親の介護に備えて今からできる4つのことをご紹介します。
①家族で介護方針を話し合う
介護が始まる前にできる準備として、家族の間で介護方針を話し合い、以下の3点について共有しておきましょう。
・親の希望を聞く
・キーパーソンを決める
・家族の役割分担を決める
介護状態になったら、自宅で暮らしたいのか介護施設に入居したいのか、施設に入居するならどんな施設がいいのかなど、本人の希望を確認して家族間で共有しておきましょう。
また、介護生活が始まると、ケアマネジャーや介護サービスの責任者と連絡を取り合うことが多くなります。こうした場合の連絡窓口として家族の中で「キーパーソン」を決めておきましょう。
そのほか、家族の状況に合わせて、お金の管理をする人や病院に連れて行く人、平日に介護を担当する人、週末に担当する人などを決めておくことをおすすめします。
②親の経済的状況を把握する
親の介護費用は、親自身の年金や預貯金から支払うのが一般的な考えです。そのため、親の経済状況を家族間で共有しておくことも介護への備えとなります。
どのくらいの資産があるかで、選択する介護方針も変わってきますので、親の経済状況を把握して、家族間で共有しておきましょう。
③介護の相談窓口を把握する
介護の悩みを相談できる場所も把握しておきましょう。高齢者の生活や介護に関する総合的な相談窓口は「地域包括支援センター」です。
すべての市町村に設置されており、その数は、2022年4月末現在、全国で約5,404箇所(ブランチ・サブセンターを含めると7,409箇所)あります。住所ごとに管轄が分かれているので、最寄りのセンターの場所を確認しておきましょう。
そのほかに、自治体の介護保険担当窓口や社会福祉協議会も、介護の困りごとに対応してもらえる窓口です。
④介護保険について知る
親が元気なうちに介護保険の基礎知識だけでも知っておくと、いざというときに慌てることなく対応できます。中でも、介護保険の申請方法や介護サービスの使い方は、最低限知っておきたい知識です。
また、会社勤めをしながら介護をする予定の方は、勤め先独自の支援制度の有無や、介護休業制度について事前に調べておくと良いでしょう。
3. 介護の準備もワンチームで
介護は家族がワンチームで行うものと言われますが、介護の準備もぜひ、介護される本人を含めたワンチームで進めていただきたいと思います。とはいえ、親がまだ元気なうちに、介護の話をするのは気が進まない人もいるかもしれません。そのような場合には、まずは、本人がどこでどのような介護を受けたいのか、話を聞くところから始めましょう。
そうすることで、必要な情報の収集や家族の役割分担、お金のことなど具体的に介護の準備を進めていくことができます。早いうちから準備を進めて備えていれば、もしものときにスムーズに介護を始めることができるでしょう。