1. 「介護」は実は身近な問題
「2025年問題」という言葉を耳にしたことはありますか。戦後のベビーブームで生まれたいわゆる団塊の世代が75歳を迎え、総人口の5人に1人が後期高齢者になるといわれているのが2025年です。超高齢社会が進行する一方で総人口は減少傾向にあるので、当然介護を抱える可能性は増大します。仕事をしながら家族等の介護を担う「ビジネスケアラー」は2025年には307万人、2030年には318万人になるという推計もあります(経済産業省、「新しい健康社会の実現」2023年)。これまで介護について考えたことがなかった、という方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、介護問題は身近に迫っているのです。今回は介護が始まるきっかけについてご紹介します。
2. 介護はある日突然始まることもある ①
75歳以上の方を後期高齢者と呼びますが、その後期高齢者のうち、介護が必要な方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。
介護保険制度において要介護・要支援認定を受けた方を「要介護者」と定義した時、75歳以上人口におけるその割合は約3割を占めます。3割と聞くと、中には少なく感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、年代によって要介護者の割合は大きく異なります。
図をご覧になるとお分かりいただけるように、75歳を契機に介護認定率は急上昇していきます。85~89歳では半分近くの方、90歳以上では76%の方がなにかしらの介護を受けている状態になっています。親御様が後期高齢者になったら、いつ介護が始まってもおかしくない状態であるといえるのです。
3. 介護はある日突然始まることもある ②
では実際にはどのようなきっかけで介護が始まるのでしょう。令和元年度国民生活基礎調査(厚生労働省)によれば、介護が必要となった主な原因で最も多かったのは「認知症」でした。次いで「脳血管疾患(脳卒中)」、高齢による「衰弱(フレイル)」と続きます。
「脳血管疾患」とは脳梗塞や脳出血などの脳の疾患を指します。脳血管疾患になると脳の一部が損傷することがあり、損傷した場所によっては半身まひ、失語症・構音障害などの言語障害、認知機能の低下といった後遺症が残ってしまうこともあります。脳血管疾患は多くの場合、意識障害や頭痛などを訴えて発見されます。今まで元気だった高齢者がある日突然脳血管疾患を発症して入院し、そこから介護が始まってしまう、というケースは多くみられます。
3位にある「衰弱」はフレイルと呼ばれることもあります。フレイルは英語で虚弱や漏水を意味するFrailty(フレイルティ)が語源となっており、健康状態と要介護・寝たきり状態の中間にある心身状態を指します。つまり「加齢によって徐々に心身が老い衰え、社会とのつながりが減少した要介護一歩手前の状態」といえます。
このように介護は、ある日突然始まるケースもあれば、ゆるやかに進行し気づいたら支援の手が必要になっているケースもあります。
4. 介護が始まったら「地域包括支援センター」へ
いざ介護が必要になったときは、はじめに何をすればいいのでしょうか。
公的な手助けを受けるためには、介護保険の申請が必要です。しかし、初めての介護だとどこでどんな手続きをしたらよいのか、わからないこともたくさんあるはず。そんな時は、介護されるご本人のお住いの地域にある「地域包括支援センター」を訪ねて相談してみましょう。地域によって、「高齢者なんでも相談センター」、「あんしんセンター」など独自の名前がついていることもあるので、自治体のホームページで調べたり、市区町村の役所に問い合わせたりしてみてください。
地域包括支援センターは、その地域に住む高齢者の生活の中での困り事や心配事など、さまざまな相談に総合的に対応してくれる「高齢者の総合相談窓口」です。主任ケアマネジャーや保健師、社会福祉士など様々な専門職がそろっています。中学校区に1センターを目安に設置されており、気軽に行けるようになっていますが、「介護で手が離せない!」「仕事でなかなか行けない」といった方は電話での相談も可能ですのでご安心ください。
介護のなによりも大きな特徴は「いつまで続くかがわからない」ということです。長ければ10年以上介護を担う場合もあります。先が見えない介護が始まると誰でも混乱するものです。だからこそ、日ごろから情報を集めて備えていくことが重要です。元気なうちにご家族の健康状態を知り、日頃からコミュニケーションをとりましょう。そして、生活習慣の改善、簡単な運動など、ご本人が日頃から介護予防に努めることができるよう、声をかけていくことが大切です。
※この記事は2023年4月時点の情報をもとに作成されており、制度内容等は変わる場合があります。