1. 認知症ってどんなこと?
2025年には、日本の認知症高齢者数は700万人を突破するといわれています。これは65歳以上人口の5人に1人という計算になり、自分や身近な人が認知症になる可能性は誰にでもあります。
認知症になったら「何もできなくなる」「自分自身がわからなくなる」などと思われがちですが、適切なケアがあれば生涯「その人らしく」生活を送ることが可能です。認知症への理解を深め、社会全体で認知症の人や介護をしている人への支援の方法を考え、実践していくことが求められています。
2. 主な認知症は4タイプ①
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が損傷を受けたり、働きが悪くなったりしたために認知機能が低下し、「日常生活に支障をきたすようになった状態」をいいます。たとえば、「ひどい物忘れ(記憶障害)」で同じものばかりいくつも買ってきてしまう、「自分が今いる場所がわからなくなり(見当識障害)」迷子になるなど、さまざまな症状が現れます。
3. 主な認知症は4タイプ②
◎アルツハイマー型認知症
認知症患者の約7割近くを占めます。脳に「βアミロイド」というたんぱく質が蓄積し神経細胞の働きが衰え、脳が委縮し、特に海馬という記憶をコントロールする部分のダメージが大きいのが特徴です。代表的な症状が「物忘れ」。体験した記憶そのものが欠落してしまうため、後から指摘されても思い出すことができません。病気が進行するにつれ、時間や場所がわかりにくくなる、着替えができない、ものの名前がわからないなどの症状があらわれます。
◎レビー小体型認知症
レビー小体という特殊な物質が脳の大脳皮質に広がり、神経細胞の働きを阻害して起こります。視覚を司る後頭葉の血流が低下して、実際にはないものが見える「幻視」があらわれます。また、手の震えや小幅歩行、身体が固くなるなどパーキンソン病に似た運動障害(パーキンソン症状)がみられることが特徴的です。
◎脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血によって、その部分の脳の働きが低下したために起こります。小さな脳梗塞が何度も繰り返すうちに段階的に症状が悪化します。アルツハイマー型認知症が徐々に進行するのに対し、よくなったり悪くなったりを繰り返して進行していくのが特徴です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動などを適切に治療・管理することで、進行を遅らせたり改善させたりすることも不可能ではありません。
◎前頭側頭型認知症
脳の前頭葉、側頭葉の委縮によって起こる認知症です。理性や意欲など、その人らしさを司る前頭葉が損傷を受けることから、性格や人格に変化が起こり、反社会的行動が目立つなどの症状があらわれます。50代~60代の若年期に発症することが多いのも特徴です。
4. 早期発見・早期診断のすすめ
認知症は正しい診断を受け、適切な対応をすれば、進行を遅らせることができます。また、治療をすることでこれまでどおりの社会生活を続けることができる場合もあります。
認知症の症状とよく似た他の疾患の可能性もありますので、「あれ?なにか変だな」と思うことがあれば、迷わず早めに医師に相談しましょう。
※この記事は2023年4月時点の情報をもとに作成されており、制度内容等は変わる場合があります。