在宅介護をされている方の中には、腰痛に悩まされている介護者も多いのではないでしょうか?
 
力まかせや自己流の介護をしていると、あっという間に腰痛になってしまうことがあります。
 
そこで今回は、介護で腰痛になりやすい姿勢や動作、腰痛を予防するポイント、腰痛になったときの対処法について紹介していきます。

1. 介護で腰痛になりやすい姿勢・動作

介護の場面では、腰を痛める原因となる姿勢や動作が多くあります。
 
腰痛になりやすい代表的な姿勢や動作は、次の3つです。
 
・中腰の姿勢(両膝を伸ばした前かがみの姿勢)
・腰をひねる動作
・重いものを持ち上げる
 
以下では、具体的な介護の場面を挙げて解説します。
 
 
・中腰の姿勢
中腰の姿勢は、寝返り(体位交換)介助やおむつ交換、トイレ介助、入浴介助といった作業中に多くみられる姿勢です。中腰の姿勢を続けると、腰の筋肉が疲労して、腰痛を引き起こす原因となります。
 
 
・腰をひねる動作
腰をひねる動作も、腰に負担をかけるため腰痛を引き起こす原因となります。
 
人間の背骨(脊椎)の椎骨と椎骨の間にはクッションの役割をする椎間板があり、体の曲げ伸ばしをスムーズにする役割を果たしています。しかし、椎間板はねじれに弱いため、過剰なねじれが加えられると断裂し、痛みが生じることがあるのです。
 
介護の場面において腰をひねる動作は、食事介助や要介護者の体を持ち上げてベッドと車いす間の移乗介助をするときに多くみられます。


・重いものを持ち上げる
重いものを持つと、当然腰には大きな負荷が加わるため、腰痛につながりやすくなります。
 
介護の場面では、トイレ介助やベッドから起き上がる際の介助、ベッドと車いす間の移乗介助などで、要介護者の体を持ち上げる動作をするときには注意が必要です。
介護で腰痛になりやすい姿勢・動作

2. 在宅介護で腰痛を予防する4つのポイント

では、介護で腰痛を引き起こさないためには、どうすればいいのでしょうか? ここでは、介護による腰痛を予防するポイントを4つ紹介します。
 
1.介護環境を整える 
介護の環境を整えることは、腰痛予防に有効です。ポイントを2つ挙げます。
 
・ベッドの高さを調整する
低すぎるベッドでの介助は、無理な姿勢を長く続けることになるため腰に負担がかかります。とくにベッド上でのおむつ交換や寝返りの介助(体位交換)を行う際には、ベッドの高さを調整してから介助を始めましょう。
 
 
・介護を行うスペースは広く取る
狭い場所での介護は、無理な姿勢をとってしまうため、腰を痛める原因になります。部屋の中を整理整頓したり、家具の配置を変えたりして十分な介護スペースを確保することが大切です。
 
 
2.安定した姿勢をとる
安定した姿勢で介助を行うことも、腰痛予防のポイントです。
 
例えば、食事介助をする際は、要介護者の横に座って介助を行いましょう。
 
立ったまま食事介助をすると、中腰姿勢を長く続けることになるため、腰に負担がかかってしまいます。
 
また、要介護者の横に座るときには、介護者の身体の向きをあらかじめ要介護者の方に向けておくと、体をひねることなく食事介助が行えます。
 
 
3.福祉用具や機器を活用する
福祉用具や機器の活用も、介護者の腰痛予防につながります。
 
福祉用具には、さまざまな種類がありますが、腰痛予防に効果的なものは、スライディングボードやスライディングシート、移動用リフトです。
 
スライディングボードは、プラスチックでできた滑りやすい板状のもので、ベッドと車いす間の移乗介助を行う時に役立ちます。
 
ベッドと車いすの橋渡しになるような形に配置し、ボードの上に座った要介護者の体を滑らせて移動させると、少ない力で移乗介助を行えるため、介護者の負担を軽減できます。
 
スライディングシートは、移乗介助や寝返り(体位交換)の介助のときに使用する福祉用具です。滑りやすい布状のシートで、要介護者の体の下に敷いて使用します。
 
また、移動用リフトも腰痛予防につながる福祉用具です。要介護者をリフトで持ち上げて移動させるため、介護者の負担を軽減できます。
 
なお、これらの福祉用具は、介護保険を使ってレンタルすることが可能です。ただし、要介護度によって介護保険の範囲内でレンタルできる品目が異なるため、詳しくは担当ケアマネジャーや福祉用具事業者に相談しましょう。
 
4.ストレッチや運動を行う
ストレッチや運動も腰痛予防に効果的です。
腰の筋肉の疲労や硬さが腰痛の原因となります。ストレッチや運動をすると、筋肉の柔軟性が高まるため、腰痛予防につながります。

3. 介護で腰痛になったときの対処法

腰痛の起こり方や痛みの程度は人それぞれです。どんな腰痛でも痛み出したら、慌てず冷静に対処することを心掛けましょう。
 
ここでは、腰痛になった時の対処法を紹介します。
 
●ゆっくり始まった痛みの場合
 
・無理な姿勢・行動は控える
腰痛の原因となる無理な姿勢や行動は避けましょう。重い物を持ったり、腰を大きく曲げたりする姿勢は避け、立ち作業も控えましょう。無理をせず、休息をとることが大切です。また、腰痛ベルトやコルセットは腰部の保護に有効です。
 
・腰の筋肉をほぐす
痛みが軽い場合は、ストレッチやマッサージで腰の筋肉をほぐしましょう。湯上がりに行うと筋肉があたたまり、血行が良くなるため効果的です。
 
・十分な休養をとる
腰痛になってしまったら、無理をせずに休養しましょう。仰向けに寝ると痛い場合は、横に向き、両ひざの間に枕やクッションを挟んで、脚を曲げて寝ると痛みが軽くなります。
 
●急に始まった痛みの場合

・病院を受診する
腰痛がひどい場合は、整形外科を受診しましょう。ストレッチは、症状が悪化する可能性がありますのでやめておきましょう。

4. さいごに

多くの自治体では、高齢者を介護しているご家族や身近な人が、介護に関する知識や技術、介護者の健康管理などについて学べる介護教室が開催されています。
 
介護教室では、実際に介護福祉士などから、腰に負担のかからない正しい介護技術を学ぶことができます。また、介護者同士の交流や情報交換の機会にもなります。
 
介護教室の開催情報は、お住まいの市区町村のホームページや広報誌で確認することができます。
この記事の提供元
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著者:中谷 ミホ

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級

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