① 相談窓口が分かりにくい
・どこに相談したらよいか分からない
・子どもと介護のことで役所の窓口が違うから大変
・介護と子どもについてのプロはいるけど、ダブルケアの話になると相談出来る相手がいないというようなお悩みを話される方が多いです。子育てや介護について、相談出来る場所を3つ紹介します。
A.地域包括支援センター
市区町村が設置している高齢者の介護、医療、福祉など総合的なことを相談出来る窓口です。2022年4月時点で支所を含め、全国で7,409か所設置されています。
「高齢の親が1人暮らしをしていて不安がある」というような相談でも大丈夫です。地域包括支援センターはケアマネージャー、保健師、社会福祉士など介護や医療の専門家が在籍しています。必要であれば関係機関と情報共有をして、必要なケアにつなげてくれます。
B.保健センター
地域住民の健康のために保健サービスを提供してくれる施設です。サービスの種類は乳幼児健診、新生児訪問、保健相談、成人病検診などがあります。保健センターには保健師、助産師、管理栄養士などが在籍しています。子どものことから大人、高齢者のことまで幅広く対応してくれます。また必要時は地域包括支援センターなどと連携・協力しながら対応してくれることもあります。
市区町村に設置されていますが、自治体によっては保健所が複数の機能を兼ねていたり、名称が異なっていたりすることがあるため利用する際は注意が必要です。
C.男女共同参画センター
老若男女問わず、その人がその人らしく自分の力を発揮することの出来る社会を作るために都道府県、市町村等が自主的に設置している総合施設です。施設によって提供されているサービスは様々さまざまです。仕事やキャリアの相談から、子育ての相談、心に関する相談などの相談をすることが出来る施設もあれば、ダブルケアなど様々さまざまな講座を開催している施設もあります。サポートグループの情報もあるため、同じ境遇の仲間を見つけることが出来るかもしれません。
② 優先順位をつける難しさ
ダブルケアの難しさの1つに「ケアが同時進行している」ということがあります。例えば、朝に寝たきりの祖母のオムツ替え、子どもにご飯を用意して学校へ送りだしをしなければならないという場面で、もし皆さまだったらどちらを優先して行いますか?
ダブルケアをしていると、自分の身体は1つであるにも関わらず、同じ時間に違うケアをしなければならないということが発生します。このような「どちらを優先してやるか」という選択をする必要があります。
③介護と子育てと仕事の両立
ダブルケアをしている人は30~40歳代が多く、仕事も働き盛りで子育ても行っている世代です。仕事をしながら子育てと介護のケアを行うことは身体的・精神的にも厳しいため、仕事を辞めるという選択肢を選ぶ方もいます。
仕事を続けながらダブルケアをしていくのか、ダブルケアに専念するため仕事を辞めるのか。どちらを選んでも葛藤される方が多いです。
④経済的な負担
介護にも子育てにもお金はかかります。介護費用を年金や貯金で賄えなかった場合、経済的援助が必要になることもあります。さらに子どもは成長すればするほど教育費や養育費がかかってきます。またダブルケアに専念するために仕事を辞めることを選択した場合、収入は減っているためさらに経済的に苦しく感じやすくなります。
⑤ダブルケアラーの疲弊
A.身体的な疲弊
介護と子育てが重なると毎日が分刻みのスケジュールになっていきます。状況によっては睡眠も十分にとれないこともあり、疲労は身体に蓄積されていきます。実際にダブルケア経験者の方でほぼ毎日徹夜状態が続いくことがあり「その当時は体がもう1つ欲しかった!」と話される方もいました。
B.精神的な疲弊
介護や子育てをしている時、イライラしたり落ち込んだりすることもあるかと思います。それに加えて主介護者として重要なことを決めなければならないというプレッシャーがあったり、相談出来る人がいなくて孤立してしまったりすると、精神的に疲弊しやすくなります。
C.社会的規範
・介護は家族がした方がいい
・介護は嫁がした方が良い
・長男・長女だから介護は自分がした方が良いい
・子どもが小さいうちは母親が面倒をみた方がいい
日本には以上のような社会的規範がみられる時ことがあります。そういった社会的規範が強いと介護や子育てを家族や専門家に分散させることが出来ず、誰か1人に負担が集中することがあります。多くの場合、30~40代女性に負担が集中しやすくなります。
著者:山本みどり
大学病院のNICU(新生児集中治療室)で勤務後、精神科、訪問看護を経験。
現在は小児発達ケア専門訪問看護ステーションで発達障がいと診断された子どもやそのご家族へ小児発達ケアを行っている。
食から身体のことを整えたいと思い、プライベートでは中医学・薬膳を学んでいる。
【経歴】
看護師/Webライター
看護師歴6年 NICU、精神科、訪問看護(成人・精神特化・小児発達ケア)
家政婦やベビーシッターとしても働いている。