シニアと行きたい旅行先を、トラベルライター間庭典子がご紹介! 今回は四季折々に 訪れたくなる東北の温泉旅を特集。駅からのアクセスよし、ヘルシーでちょうどいい量の食事、歴史ある湯治場でありながら浴槽が安全など、シニアとの旅に最適な3名湯を厳選。

1. 仙台から電車で1時間、泉質のデパート宮城県・鳴子温泉

親世代に一番引きのあるキーワードは温泉。奮発し、せっかくいいリゾートに誘っても「でもここに温泉はないから残念」と言われてがっくりした経験があります。やはりあの世代には旅=温泉というイメージは強いようです。ならば湯治気分でついつい長逗留したくなる東北の温泉街をご提案。今回は中でも高齢者との旅におすすめしたい名湯3つを選んでみました。


まずは宮城県の鳴子温泉郷。仙台駅から電車で約1時間。そしてなによりも駅前が温泉街という鳴子温泉は、アクセスのよさがポイントです。風情ある温泉街には駅からバスで数時間、という場所も多く、たどりつくまでにへとへとになってしまうことも。けれど鳴子温泉は駅から歩いて行ける宿が多く、温泉街もちょうどいい規模。移動にストレスがないのです。すぐ近くには紅葉で有名な鳴子峡もあるような山深いロケーションであるのに、この好アクセス!


泉質の豊富さもすごいんです。日本に11種類ある泉質の中で鳴子温泉郷だけで8種類があるということから温泉のデパートなんていうニックネームが。ユニークな共同浴場も多く、日帰り湯を歓迎する宿も多いことから、湯めぐりも楽しい。


私が親子で訪れたのはその隣、鳴子御殿湯駅(鳴子温泉駅からでも歩ける距離)にある旅館大沼。ここは薬師千人風呂など8つのお湯がある120年の歴史を誇る老舗の温泉旅館。なかでも宿の裏山にある「母里の湯」は宿泊者だけが予約できる貸切露天風呂で、新緑、紅葉、雪景色と季節折々の美しい風景のなかで入浴できるんです。


そしてもう一つの特徴がヘルシーな食事。自家製薬膳鍋をメインに、玄米も選べる一汁五菜の夕食をはじめ、菜食を中心としたヘルシーなプランもあります。旅館の豪勢すぎる会席料理を食べきれず、罪悪感があることもあるので、この食べきれる量、体に優しい野菜中心の献立がうれしいんです。もちろん、お腹いっぱい食べたいなら仙台牛の陶板焼きや極厚霜降り牛たんなどのお料理がつく一汁九菜のようなコースも。


ちなみに旅館大沼ではファスティングプランという、2泊3日で医師が監修し、断食マイスターが指導するファスティング(断食)に挑戦するプランも企画。老舗旅館でありながらリモートワーク用のスペースを設けるなど、常に新しいことを取り入れる宿でもあります。
 
旅館大沼
宮城県大崎市鳴子温泉字赤湯34
0229-83-3052
 
【公式】旅館大沼 東鳴子温泉湯治

写真下:東鳴子温泉の旅館大沼のヘルシーな夜の御膳。
仙台から電車で1時間、泉質のデパート宮城県・鳴子温泉

2. 送迎バスで青森駅からラクに八甲田山へ。青森県・酸ヶ湯温泉

親と一緒のみちのく温泉旅におすすめの温泉・その2は、青森県の酸ヶ湯(すかゆ)温泉です。ものすごく山奥(実際そう!)、と敬遠されると思いますが、実は1日に2本、宿泊者向けの無料送迎バスが青森駅から出ていて、電車だけでもアクセス可能。JRバスも運行しているので、便の選択肢もあるし、湯治目的で籠るのならおすすめの宿です。


国民保養温泉地第一号であり、その卓越した効能と温泉の湧出量で他を圧倒しています。版画家・棟方志功も  愛した名湯で、滞在しながら創作活動をしていたことから、今も各所に作品が飾られているのも見どころ。


圧巻は総ヒバ造りの「ヒバ千人風呂」! なんと160畳もの浴室に柱一本ない大空間。自然と一体化できそうな大浴場なのです。そして今でも混浴文化を守っています。早朝と夜のそれぞれ1時間は女性専用の入浴時間もあり、希望すれば湯浴み着の着用も可能なので(売店にて販売)、仕切りのない混浴はハードルが高い!……と体験するまでは私も思っていました。けれど、女性用の更衣室から濁り湯に入るまで、大浴場から見えないようについたてが配置され、水深10㎝くらいまではもう見えない濁り湯なので、肩までつかれば視線は気になりません。家族そろって混浴というユニークな想い出もできますよ。この大浴場は浴槽内側のふちがぐるりとベンチのような段差になっているので、入るときもラクだし、腰掛けながら入浴できるのもいい。古い温泉の中には手すりが無かったり、段差が激しい場合も多いのですが、ここは景観をまもりつつ、安心できる設計だと感じました。男女別の小浴場も同じく工夫された設計でした。


夕食も旅館食と健康的な献立の湯治食から選べ、朝食もヘルシーメニュー中心のビュッフェなので、体の内側から浄化されるような気分になります。ランチには自慢の蕎麦、おやつには売店のこんにゃくの味噌おでんをどうぞ。


山岳温泉地だけに、周辺をトレッキングするツアーなども開催されています。徒歩圏内には山岳リゾート八甲田ホテルも。シック な喫茶兼バーもあるので、お風呂上りに散歩がてら訪れてみるのもいいかもしれません。
 
青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50
017₋738₋6400


写真下:酸ヶ湯温泉名物は160畳の広さの混浴温泉「ヒバ千人風呂」。
送迎バスで青森駅からラクに八甲田山へ。青森県・酸ヶ湯温泉

3. 大地のパワーを享受する天然岩盤浴と強烈な湯、秋田県・玉川温泉

みちのくならではのおすすめ温泉地、その3は秋田県の玉川温泉。秋田新幹線の田沢湖駅からバスで行けます。本州最北端の国立公園である十和田八幡平国立公園内にあり、4 月から11月下旬のみの営業です。


日本で一番酸性の強いお湯としても有名で、源泉100%では粘膜が刺激され、痛くて浴槽に浸かれない人もいるくらい。そのため、源泉50%、弱酸性など、希釈した湯船もたくさんあります。ここはさまざまな病を癒すパワフルな温泉であることから、闘病中であったり、自分の身体と本気で向き合う湯治客が多い施設。介助のしやすい広いスペースの洗い場などのユニバーサルデザインや、歩行が困難でもビュッフェを楽しめるようワゴンを用意するなどの心配りでもそれが伝わります。


本格的な湯治宿なので、共有のキッチンやダイニングを自由に使える自炊部もあります。中には3週間くらい滞在して湯治に励む人も。湯ただれといわれる温泉皮膚炎を起こすこともある強い温泉だけに、それぞれの症状や体調によって注意する必要があるのです看護婦さんが常駐する相談室で、無理ない入浴法のアドバイスも受けられます。行楽気分で気楽に立ち寄る温泉ではないのですが、温泉好きならいつかは訪れたい聖地でもあります。


そして玉川温泉の一番の特徴は、地球のエネルギーを取り込む天然岩盤浴! 玉川温泉園地自然研究路という散策路があり、全長1kmほどの道をウォーキングするのもよし。散策路内の小屋や地熱の高いところにゴザを敷き、身体を温める岩盤浴が屋外でできるのです。外に寝転ぶのはちょっと……と抵抗があるなら、室内の岩盤浴をどうぞ。噴火のような蒸気を眺めながらの足湯もあり、数泊の滞在でも本格的な湯治体験ができます。


「玉川温泉」は2024年の4月まで休業だが、その近くの姉妹館「新玉川温泉」は冬季も引き続き営業。もちろん源泉100%のお湯も体験できる本格的な温泉だから、ぜひとも訪れてみては?

 
秋田県仙北市田沢湖玉川字黒沢
0187₋58₋3000
※玉川温泉は2023年12月現在冬季休業中で、営業開始2024年4月16日とのことです。


写真下:アウトドアで岩盤浴ができる玉川温泉園地自然研究路の小屋。
大地のパワーを享受する天然岩盤浴と強烈な湯、秋田県・玉川温泉

4. さいごに

夏は新緑、秋は紅葉、そして冬は一面の銀世界と、四季折々の絶景にであえる東北の温泉。。自然に囲まれ、湯治にはぴったりのこれらの地で、みちのく温泉旅を企画してみてはいかがでしょう。
この記事の提供元
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著者:間庭典子(まにわのりこ)

中央線沿線の築30年以上の一軒家に後期高齢者の両親と同居する50代独身フリーランス女子。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「mc Sister」編集者として勤務後、渡米。フリーライターとして独立し、女性誌など各メディアにNY情報を発信し、「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」(講談社)などを発行。2006年に帰国し、現在は日本を拠点に、旅、グルメ、インテリア、ウェルネスなど幅広いテーマの記事を各メディアへ発信。旅芸人並みのフットワークを売りとし、出張ついでに「研修旅行」と称したリサーチ取材や、さびれた沿線のローカル列車で進む各駅停車の旅を楽しむ。全国各地の肴を味わえる地元の居酒屋やスナックなどの名店を探すソロ活動も大好き。

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