1. 介護と育児の両立をダブルケアという
厚生労働省の調査によると、1995年の平均結婚年齢(初婚)は夫28.5歳、妻26.3歳で、2021年は夫31歳、妻29.5歳でした。結婚年齢が遅くなるにつれ、出産の時期も遅くなる晩産化が進みます。
また35歳以上で初めて出産する高齢出産の割合が、1990年は4%だったのに対し、2021年は約30%まで上昇しています。
結婚や出産した年齢が若いと、親の介護が始まったとしても、育児は一段落しているケースが多くなります。ところが晩婚化や晩産化が進むと、育児が終わらないうちに、親の介護まで始まってしまうのです。この状態を、「ダブルケア」と言います。
介護と育児の両立にはどんな悩みがあって、どのように対処したらいいのでしょう?
2. ダブルケアラーが抱える悩みとは?
ダブルケアラーのある1日をご紹介します。
子どもの食事の準備をして、学校へ送り出したあと、今度は親が行くデイサービスの荷物の準備と朝食の介助をして、お薬の準備をする。デイサービスから帰ってきた親を迎えたあと、子どもが学校から帰ってきて、今度は塾の準備に追われる。
このように、常に親も子も見ていないといけない状態が続きます。できることなら、子は保育園や学童保育に預け、親はデイサービスやショートステイを利用するなど、少しでもプロの力を借りるべきだと思います。
しかし待機児童がいるなどの理由で、保育園や学童保育に預けられなかったり、親からデイサービスに行きたくないと言われてしまったりして、プロに頼れないケースもあります。
また家族の仕事の状況などによっては思うような協力が得られずに、介護も育児もひとりで抱えてしまって、疲弊するのです。
介護や育児の時間が足りなくなってくると、どちらかを犠牲にしなければならない場面も出てきます。親の介護を優先するか、育児を優先するかで悩むのです。どちらも大切で優先順位をつけられるものではないため、親や子を疎かにしてしまうと、罪悪感を抱えてしまいます。
お金の面でも、未来ある子どものために使いたいのに、急に親が倒れたらそちらを優先しなければならなくなるなど、ダブルケアならではの葛藤が生まれます。
3. わたしの妹はダブルケアラー
わたしは子どもがいないので、ダブルケアの経験はありません。しかし広義のダブルケアには、2人同時の介護も含まれます。母と父、母と祖母を同時に介護した経験があるので、わたしもダブルケアラーといえるのです。
なので、時間が足りない悩みやどちらを優先するかの葛藤は、理解できます。また、ダブルケアラーの方から相談を受けた経験もあります。
身近なところにダブルケアラーがいます。わたしの妹です。
認知症の祖母と母のダブル介護をしていたとき、妹には2人の小学生の子どもがいました。わたしは時間的余裕があったので、介護はわたし中心で行い、妹はわたしが帰京した時や、育児に余裕がある時にサポートしてもらう形を取りました。
子どもたちが大きくなって、次第に手が掛からなくなってきてからは、妹の介護への参加度合いは増えました。母の認知症も進行していったので、きょうだいで力を合わせて、今も母の介護をしています。
育児は、あと何年で小学校を卒業するとか、高校入学のための準備で忙しいなど、ある程度手のかかる時期を予測できます。ですので、育児の大変な時期は、きょうだいがいる方はきょうだい間で介護の役割を分担したり、介護保険サービスの利用や介護施設の利用を検討をしたりすることをおすすめします。
一方介護については、親の体調や症状が急に悪化するなど予測が難しいため、まずは育児を中心に考えてから、そのあとで考えるといいでしょう。介護は急に終わりが来る場合もあれば、10年以上にわたって介護が必要になる場合もあります。
4. ダブルケアラーはどこへ相談に行けばいい?
介護は地域包括支援センターに、育児は子ども家庭センターに行くと、専門職が相談に応じてくれます。
しかし介護と育児の窓口が別々なので、ダブルケアの対応ができていない自治体のほうが多いのが現状です。一方でダブルケアの対策に積極的な自治体もあって、ワンストップで介護と育児の相談に乗ってくれるところもあります。
またダブルケアラーが集まるカフェが、全国にあります。リアルの場で開催されているところもあれば、時間の取れない方のためにオンラインで開催するケースもあります。ダブルケアラー同士で、介護や育児の悩みを打ち明けています。
そして2月2日は、
ダブルケアの日です。それに合わせて2月はダブルケアの啓発を行う、ダブルケア月間でもあります。リアルやオンラインでの交流会が多く開催されるほか、ダブルケアカフェの開催やパネル展示などが各地で行われます。
介護と育児、それぞれの専門職はたくさんいますが、ダブルケアに詳しい専門職はそれほど多くありません。むしろダブルケアラー経験者のほうがあなたの力になるはずなので、こうしたイベントに参加してみてください。