「食事を噛んで食べられること」「口から食べると、味わって楽しんで食事をすることができる」そのようなアタリマエを、年をとっても長く続けるために「口腔ケア」はとても大切な役割をもっています。本コラムでご一緒に考えてみましょう。

1. 口腔の粘膜免疫システム

「疫から免れる」と書くように、「免疫」の大きな役割は、体内に侵入するウイルスや細菌、がん細胞など、体にとって異物となるものから身を守ることです。口はこうした異物の侵入口でもあり、侵入を防ぐバリアでもあります。
 
近年の研究で、口腔のような粘膜組織には独自の免疫システムがあることがわかってきています。体内のリンパ球などの免疫細胞による免疫システム(全身系免疫)とは独立したシステムで、粘膜そのものが免疫組織であり、粘膜免疫システムと言われています。
 
しかし、せっかくの優れた口腔内の免疫システムも、口の中が汚れていてはその効果が十分に発揮できません。
 
65歳の高齢者を対象に、普通に歯磨きをしたグループと歯間ブラシなどを使って念入りに口腔ケアを行ったグループを比較した研究では、念入りケアのグループのほうがインフルエンザの罹患率が10分の1以下だったという報告があります。
 
さらに、別の研究では、1日2回以上歯磨きをする人は、1日1回の人に比べると、口の中や食道のがんになるリスクが3割低いことが報告されています。 

免疫力アップやがん予防のためにも、口腔ケアをしっかり行いましょう。
口腔の粘膜免疫システム

2. 笑いの効果

「笑い」は、コミュニケーションから生まれますが、その場を和ませるだけでなく、心身ともにさまざまな効果があることが知られています。
 
■笑うと免疫力がアップする
笑うことで脳が刺激されて、免疫機能ホルモンが分泌されます。がん細胞を死滅させるリンパ球の一種、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)が増加したり、働きが活発化して免疫力が高まると報告されています。
 
■痛みが和らぐ
脳への刺激によって、鎮静作用と快感作用があるβエンドルフィンが分泌され、痛みや炎症を和らげる効果があるともいわれています。

■自律神経を整える
大きく笑えば横隔膜が上下し、腹式呼吸になりますが、腹式呼吸には副交感神経の働きを助けて、自律神経を整える役割もあります。

■腹筋のトレーニング
お腹の底から笑えば腹筋も大きく動くので、腹筋のトレーニングにもなります。
※作り笑いでなく、リラックスして自然に笑いましょう。
笑いの効果

3. どうする? 口腔ケアを拒否して暴れるときは?

●介護の現場ではよく聞く話
口腔ケアをいやがって暴れる人がいます。押さえつけてでも行った方がいいのでしょうか? 介護の現場ではよく聞く話です。対応されている方は、いろいろと悩んでいらっしゃるでしょう。

認知症など意思疎通が困難な方の場合、口腔ケアを嫌がって暴れてしまうことがあります。このような場合は、押さえつけるなどして、無理に口腔ケアを行ってはいけません。仮に、そのときはなんとかケアを行えたとしても、先のことを考えると、まったく喜べません。

押さえつけられてケアを受けた方は、その後も決して口腔ケアを好きにはならないでしょう。だから、口腔ケアでは無理強いは禁物です。
 
●いつまでたっても口腔ケアはできない?
しかしそのまま拒絶され続けると、いつまでたっても口腔ケアができませんよね? という声もあるでしょう。もっともな疑問です。
 
口腔ケアの拒否があるときは、まずはその方が拒否をする理由を探ってみましょう。例えば、いきなり口に触られるのが嫌で、口腔ケアを拒否しているのかもしれません。そんな方に対しては、まずは手に触れるなどして、触られることに慣れてもらうのがいいと思います。

最初は口腔ケアを行わず、手のマッサージだけで終わります。次の日には肩のマッサージをしてあげます。そして、3日目に初めて口もとに触れてみる、というように徐々にスキンシップになれてもらうのです。

もしくは、自分がケアされているところを人に見られるのが嫌で、口腔ケアを拒否しているのかもしれません。そんなときは、仕切りを使うなどして、ほかの人に見えないようにしてあげると、口腔ケアをスムーズに受けてくれることがあります。

このように口腔ケアを嫌がる方には、遠回りを厭わずに、段階を踏んで受け入れてもらうようにするのが大切です。

動画で確認しよう!
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より詳しい情報は こちらをご覧ください。
記事の監修:一般社団法人 日本訪問歯科協会
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著者:一般社団法人 日本訪問歯科協会

医療、福祉

2000年4月にスタートした介護保険法の施行に伴い、在宅介護や在宅診療も注目を浴びるようになりました。歯科界も例外ではなく、全国に歯科往診に取り組む歯科医師が増えてきている状況において、多くの行政的課題や社会的な存立に関する課題が生まれることが予想されます。そこで、そのような課題を解決し訪問歯科診療を発展させていくために、平成12年4月に日本訪問歯科協会を設立いたしました。
現在、医療費の削減が社会的に注目されている中、高齢者医療は転換期を迎えています。要介護者の口腔状態が良くなれば、間違いなく社会的な医療コストは軽減されます。歯科往診に対する社会的なニーズの高まりというだけではなく、社会貢献あるいは社会的責任という側面からみても、訪問歯科診療の普及は歯科関係者にとって急務となっております。
本会では、訪問し歯科診療を行なうだけで満足せず、ご家族や介護事業者、ヘルパー、医師などが密に連絡をとることにより訪問歯科診療および口腔ケアを求められる方の立場に立って、身体だけではなく精神的な健康も視野においた質の高い訪問診療を目指していきます。

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