1. 歯周病と全身の病気
いまや「国民病」とも言われる歯周病。進行すると歯を失ってしまうことはよく知られていますが、その影響は口の中だけにとどまりません。歯周病の原因となる歯周病菌は、酸素を苦手とする嫌気性の細菌で、歯と歯のすき間や歯と歯肉のすき間の歯周ポケットなどで増殖します。
歯周病菌が増えると歯肉に炎症を起こすだけでなく、歯肉の奥に逃げ込むと血液中に入ってしまうこともあります。歯周病菌が血流に乗って全身をめぐると、動脈硬化を起こしやすくなります。心臓の動脈で動脈硬化が起こって血管が詰まればば、心筋梗塞などのリスクが15〜24%ほど高まると指摘されています。脳の血管が詰まれば脳梗塞のリスクも高まります。
また、歯周病は糖尿病の合併症の一つとも言われます。糖尿病の人は歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いというデータが報告され、歯周病があると血糖コントロールが悪くなることもわかっています。
さらに、歯周病菌などの雑菌を多く含む唾液が気管に入ってしまうことで、誤嚥性肺炎を起こすリスクも生じます。そうならないためにも、口腔ケアをしっかりと行いましょう。
2. 心筋梗塞と歯周病の関係
日本人の死因の第2位に挙げられる心臓病の中で、代表的なものが心筋梗塞です。冠動脈が血栓(血液の固まり)によって詰まることで、心臓に血液が送られなくなり、心筋が壊死する病気で、治療が遅れると死に至る恐ろしい病気です。
動脈硬化が進んだ中高年に多くみられ、高血圧や糖尿病、高コレステロール血症、肥満、喫煙、運動不足、ストレスなどが危険因子に挙げられていますが、最近では、重度の歯周病にかかっていると心筋梗塞のリスクが高まるという研究発表が報告されています。死後に解剖した結果、心臓の血管内から本来あるはずのない歯周病菌が発見され、歯周病が原因の心筋梗塞が見つかったケースもあります。
心臓の病気と歯周病は一見まったく関係がないように思えますが、歯周病が進行して歯周病菌の一部が口腔内の傷から血液中に入りこむと、血管壁を傷つけたり、血小板に異常を来して血栓ができやすくなったりすることがわかっています。
むし歯や歯周病などのお口のトラブルは、全身の健康にも大きな影響を及ぼし、命取りになることもあるのです。心筋梗塞予防のためにも、日頃の口腔ケアをしっかりと行いましょう。
3. 「唾液が臭い?」その原因
●くしゃみのあとに「臭い!」
ハクッション! くしゃみをしたあと「アレ? 自分の唾液が臭うな」と思ったこと、ありませんか?
実は唾液も臭くなることがあるのです。唾液は口の中の環境の変化を反映して、臭いが強くなることがあります。今回は唾液の臭いの原因を探ってみましょう。
●唾液が臭う原因4つ
唾液が臭う原因は、主に4つあります。
原因1が食べたものの臭いです。例えばニラやニンニクのような臭いの強い食べ物を食べると、その臭い成分が唾液に溶け込んでしまい、唾液の臭いが強くなります。
原因2は唾液の分泌量の低下です。口の中の唾液量が少なくなることで、唾液の抗菌作用や洗浄作用が衰えてしまいます。その結果、口の中に雑菌が繁殖しやすくなり、どんどん不衛生になっていきます。こうして唾液の臭いが強くなるのです。
原因3は舌苔(ぜったい)の臭いです。舌苔とは舌に苔のようについているもので、食べかすや細菌の塊です。舌苔が厚くなると、その汚れが唾液にまで溶け込んでしまいます。こうして唾液の臭いも強くなるのです。
原因4がむし歯や歯周病の臭いです。むし歯や歯周病によって生じた出血や膿が唾液に混ざることで、臭いが強くなります。
原因1は、一時的なものですから、時間がたつと解消します。原因2は唾液の分泌を促すことで改善できます。しかし、原因3と4は放っておいては悪化してしまいます。
適切な口腔ケア、または歯科医院での治療を行い、口臭の解決につなげましょう。
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記事の監修:一般社団法人 日本訪問歯科協会