1. 特別養護老人ホームの待機者が多い理由
特別養護老人ホーム(特養)の待機者数は、ほかの介護施設や老人ホームに比べて多い傾向にあります。
その理由として、主に以下の3点が挙げられます。
①費用が安く抑えられる
特養は、自治体や社会福祉法人などが運営する公的な施設です。そのため、民間運営の施設と比べると、入所にかかる費用が安く抑えられています。
具体的には、入居一時金が不要で月額利用料が安いことや、低所得の方に対する費用の減免制度があります。
そのため、特養は比較的費用負担の少ない施設として人気が高く、待機者が多い理由のひとつとなっています。
②終身利用できる
特養は「終の棲家」とも呼ばれるように、看取りを含む長期的な入所が可能です。
そのため、特養入所者の在所期間は平均3. 5年とほかの介護施設と比べて長く、空室が出にくいことも待機者が多い要因となっています。
③24時間体制の介護が受けられる
中度〜重度の要介護者が多く入所する特養では、介護職員が24時間体制で常駐し、夜間や早朝も排せつ介助や体位交換などの介護が行われます。
必要な介護を24時間体制で受けられる安心感があることも、特養が人気である理由のひとつです。
2. 入所待機中の過ごし方
特養の入所がすぐにできない場合、在宅介護の負担が大きくなることがあります。その場合、次の方法を検討するとよいでしょう。
①ショートステイを利用する
介護保険のサービスには、介護施設に短期間宿泊できる「ショートステイ」というサービスがあります。ショートステイは、最短1泊2日から最長30日間利用できるので、その間、介護者は介護から離れることができます。
なかでも、連続で30日間施設に宿泊できる「ロング・ショートステイ」は、31日目に1日だけ自宅に戻れば、翌日から再び30日間のショートステイが利用できます。(32日目は新たに1日目と数えます)
ショートステイの費用はかかりますが、ロング・ショートステイを利用しながら、特養の空きを待つという選択肢も検討できるでしょう。
②在宅介護サービスを積極的に活用する
家族が無理をしないで生活するためにも、在宅介護サービスを積極的に活用して、介護負担を少なくすることを検討しましょう。
在宅介護サービスには、ホームヘルパーが自宅に訪問して身体介護や生活の援助を行う「訪問介護」や日中の介護を代わりに行う「通所介護(デイサービス)」、施設に宿泊する「ショートステイ」、「小規模多機能型居宅介護」などがあります。
これらを組み合わせて利用すれば、昼夜問わず必要なときに介護を受けられるので、家族の介護負担を軽減できるでしょう。
③他の施設に入居して待つ
特養の空きが出るまで、他の施設に一時的に入居するという方法もあります。具体的には「介護付き有料老人ホーム」や「住宅型有料老人ホーム」「グループホーム」が挙げられます。
「介護付き有料老人ホーム」は、施設数が特養と比べて多いので、比較的入居しやすい施設です。認知症や要介護5の方の入所も受け入れています。
行政から特定施設の指定を受けているため、施設の介護職員から24時間体制で手厚い介護を受けられます。
昼間の時間帯には看護師も常駐しているため、健康面に不安のある方も安心して入居できるでしょう。また、多くの施設では看取りまで対応しており、特養と同様に終身で利用可能です。
入所にかかる費用は特養より高めの設定ですが、施設で受ける介護サービスは介護保険による定額サービスです。
なお、一時的に他の施設に入居する場合、本人がその施設での生活に馴染むと、特養への転居を受け入れないこともあるかもしれません。そのため、本人の意思を尊重しながら、転居のタイミングを検討しましょう。