1. 訪問介護とは?
「訪問介護」とは、介護福祉士や訪問介護員が、利用者の自宅を訪問し、「身体介護」や「生活援助」などの介護を行い、利用者が自宅で生活しながら自立した日常生活を送れるようにするためのサービスのことです。
この記事では、これから訪問介護を始めたいと考えている人へ、サービスを受けられる人や手続き方法についての解説をします。
2. サービスを受けられる人
訪問介護は、自宅で暮らし、「要介護認定」を受けている人が利用対象者となります。ですので、要介護認定を受けていない人は、まず市区町村の窓口で要介護認定の申請が必要となります。
介護保険サービスを利用できる人は、「65歳以上で要介護1〜5の認定を受けている人」、もしくは「40〜64歳でがん、関節リウマチなどの16の特定疾病による要介護の認定を受けた人」です。
要支援1・2の認定を受けている人は、介護保険の「介護予防サービス」や市区町村が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業」を利用できます。
また、ここでいう「自宅」には、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など介護サービスを提供していない施設も含まれます。
3. サービス利用までの流れ
訪問介護サービスを受けるには、まず、要介護(支援)認定の申請を行い、どの程度の介護が必要かを判定してもらいます。申請から利用までの流れを確認しましょう。
1. 申請
住んでいる市区町村の窓口に要介護(支援)認定の申請書を提出します。申請は認定を受けようとする本人が行うのが原則ですが、家族が代理で行うこともできます。また、家族に頼ることが難しい場合は、「地域包括支援センター」や「居宅介護支援事業者」「介護保険施設」の職員に代行してもらえます。
2. 認定調査・主治医の意見書
調査員が自宅や入院中の病院などを訪問し、全国共通の「認定調査票」に基づき、本人の心身の状態や生活の様子についての聞き取り調査が行われます。「主治医意見書」は、申請書の情報をもとに市区町村が主治医に依頼します。主治医がいない場合は市区町村の指定医が診察、意見書を作成します。
3. 審査判定
訪問調査の内容と主治医の意見書をもとにコンピューター処理がなされ、全国一律の判定方法で要介護度の判定が行われます(一次判定)。保健・医療・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」が一次判定の結果と主治医の意見書をもとに要介護度の判定を行います(二次判定)。
4. 認定・通知
市区町村は、介護認定審査会の判定結果にもとづき、要介護度の決定を行い、申請者に結果を通知します。申請から認定の通知までは原則30日以内に行われます。認定結果に納得できない場合は、各都道府県にある「介護保険審査会」に不服の申し立てを行うことも可能です(認定の通知を受けた日の翌日から3か月以内)。
5. サービス計画書の作成
要介護1以上の人は、居宅介護支援事業所のケアマネージャーなどと相談し、本人の希望や状態に応じた介護サービス計画書(ケアプラン)を作成してもらいます。要支援1・2の人は、地域包括支援センターに相談しましょう。
6. サービス利用開始
ケアプランをもとに、訪問介護サービス提供事業者と契約。サービスの内容や費用について確認し、サービス利用を開始します。
4. まとめ
要支援と要介護は全部で7段階に分かれ、要介護度によって受けられるサービスの種類と使用できる回数が異なります。介護認定調査のとき、利用者の普段の様子が正しく伝わらないと、実際の介護状況より軽く判定され、必要な介護サービスを受けられない場合があります。
本人以外に家族や介護者も同席するようにして、日々どのような介護を行っているかを調査員にありのまま伝える努力が必要でしょう。