要介護認定が下りたら、ケアマネジャーと相談しながら介護プランを決めていきます。訪問介護を希望した場合、どんなサービスが受けられ、利用料はどのくらいなのか、ご説明します。

1. 利用者の自宅を訪れてサービスを提供するホームヘルパー

ホームヘルパーは、訪問介護サービスの利用契約を結んだ事業者から派遣されます。介護・福祉系の学校や介護事業所で学び、「介護福祉士」もしくは「介護職員初任者研修修了者」、「実務者研修修了者」いずれかの資格を取得。身体介護や生活支援に必要な知識や技術を身につけたヘルパーが自宅を訪問します。
 
利用者の中には、「人を自宅に入れなくてはならないので抵抗がある」と思う人もいるかもしれません。ヘルパーと一対一で過ごす時間が長いため、相性が合わないと感じる場合は大きなストレスにもなります。その場合は事業者に相談し、ヘルパーを変えてもらうこともできますし、どうしても合わないときは、ケアマネジャーに話して事業者自体を変更することも可能です。
 
まずは、ケアマネジャーに相談して、利用者の希望にしっかり応えてくれる事業者を選びましょう。

2. 受けられるサービス

介護保険で受けられる訪問介護サービスは、「身体介護」「生活援助」「通院時の乗車・降車介助」に区別されています。
 
身体介護は、利用者の体に直接触れて行われるサービスのことをいい、具体的には、次のようなサービスがあります。
 
・食事介助:食事を摂る際の手伝い、見守り
・入浴介助:入浴の準備、全身または部分的な洗浄
・清拭:入浴ができない場合にタオルなどで身体を拭く
・排泄介助:トイレの介助やおむつの交換
・更衣介助:衣類の着脱や着替えの介助
・身体整容:洗顔、歯磨き、整髪、髭剃りなどの日常的な行為
・体位変換:寝返りの介助、床ずれ予防のための姿勢交換
・移乗介助:ベッドから車椅子に移す際の介助
・その他:起床・就寝の介助、服薬介助、ベッドまわりの整頓など
 
 
生活援助は、身体介護以外で、利用者が日常生活を営むことを支援するサービスのことをいいます。
 
・掃除:利用者の部屋やトイレの掃除、ゴミ出しなど
・洗濯:衣類を洗う、干す、たたむ、収納するまで
・食事準備:食材の買い出し、調理、配膳、片付けまで
・買い物:日用品の買い出し
・その他:服の補修、部屋の片付け、病院や薬局での薬の受け取りなど
 
 
通院等乗降介助は、利用者が通院などの際にホームヘルパーが運転する車両への乗降車の介助をいいます。乗車前、降車後の屋内外の移動介助、通院先での受診の手続きや薬の受け取りなども行います。
 
介護認定において要介護1以上の利用者のみ利用できますが、要支援1・2の人は、地区町村の「介護予防・日常支援総合事業」の中で通院等乗降介助に代わる支援を利用できます。
 

3. ケアプランは変更できる

ホームヘルパーは、ケアマネジャーが作成したケアプランに沿ってサービスを提供します。逆をいえば、利用者は計画書に書かれていること以外のサービスは受けられません。
 
ヘルパーは利用者や家族のニーズ、利用者の生活・健康状況の変化に応じてサービス内容が適切であるかの評価を行います。さらに変更が必要な場合は、ケアマネージャーに報告・相談し、計画書を見直してもらいます。
 
ケアプラン決定前にはケアマネージャー、利用者、家族、介護サービス事業者が参加する「サービス担当者会議」が行われ、利用者の現状や課題、介護方針などが共有されます。サービス内容に不満があれば見直しや変更も可能ですので、利用者や家族の希望や目標などをしっかりと伝えましょう。

4. 利用料金について

介護保険の自己負担額は基本的に1割です(一定以上の所得がある場合は2〜3割負担になります)。サービス種類別料金、その他の料金については、市区町村や事業者によって異なるため、以下の利用料は、訪問介護の費用相場の目安です。
利用料金について

5. まとめ

ケアマネジャーはケアプランの作成、利用者とサービス事業者の調整役を担うなど、訪問介護サービスを受けるうえで欠かせない存在です。ケアプランを作成するにあたって、利用者の性格や生い立ち、人にはいいづらい家庭の経済的なことなどを話すこともあり、ケアマネジャーへの信頼感がとても重要になります。
 
ケアマネジャーとうまくやっていくためには、「任せていれば大丈夫」という考えではなく、自分の希望を具体的に伝えることが大切です。また、利用者が連絡を取るのが難しい場合は、家族がケアマネジャーとこまめに連絡を取り合うように心がけましょう。介護のスペシャリストであるケアマネジャーの意見にしっかり耳を傾けることで快適な介護生活を送ることができます。
 
この記事の提供元
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著者:服部広子

服部 弘子(はっとり ひろこ)
<略歴>
FPサテライト所属ファイナンシャルプランナー
栃木県出身、東京都在住。大学卒業後、出版社に記者として勤務。主にエンターテイメントに関連の取材活動、原稿執筆を行うかたわらFPの勉強を始め、2007年にAFP資格を取得。2011年には介護事業所を運営する会社を設立し、訪問介護の事業所を経営している。現在はライター業と介護の仕事に従事しながら、FPとしても活動中。

<所有資格>
日本FP協会 AFP認定者

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