介護には思いのほかお金がかかります。介護のお金のやりくりに悩んでいる人も多いのではないでしょうか?介護にかかわるお金のご相談に、ファイナンシャルプランナーが答えます!

1. 相談内容

「同居する父親が倒れ、介護が必要になりました。母親はすでに他界しているため、自分一人で介護をしなければならず、仕事を辞めて介護に専念すべきか迷っています」
 
介護に直面すると、「仕事を辞めるべきかどうか」を思い悩む方が多くいます。介護は先行きを見通すことが難しいため、「仕事を続けられるかどうか」で不安になりがちです。しかし、安易に離職を選ぶと、収入やキャリアが途絶え、その後の人生に大きな支障が出てきます。

このような難しい問題に直面した時でも、どちらか一つの選択をするのではなく、制度を活用しながら仕事と介護を両立するための方法を考えてみましょう。
 

2. 介護離職の実態

介護のために仕事を辞めてしまうことを「介護離職」といいます。
 
総務省の「就業構造基本調査」(2022年)によると、2022年10月1日現在、過去1年間に介護離職した人は10.6万人です。近年、介護離職者の数はほとんど横ばいで推移しており、毎年約10万人もの人が介護離職しています。  
 
介護離職の一番のデメリットは、仕事を辞めることで収入が減少し、その後の生活が立ち行かなくなる可能性があるということです。介護中の生活費や介護費用の負担はもちろんのこと、人生100年時代、介護後も自分の人生は長く続きます。再就職しても、前職より収入が減る場合が多く、自身の老後生活に金銭面で大きな支障が出ます。
 
また、仕事をしながらの介護は各方面の負担が大きいという理由で離職を選ぶ方もいますが、離職することでその負担が軽減されるとは限りません。厚生労働省の委託調査によると、離職後に「精神面」「肉体面」「経済面」の負担が増したと考える人が、6~7割弱に達しています。  仕事を辞めることによる経済的負担の増加は想定できるかと思いますが、社会とのつながりが薄くなり、介護を1人で抱え込もうとして、精神的・肉体的な負担も増すという実状があるのです。
 
介護にはそれぞれの事情があるため、介護離職を一概には否定できませんが、こうした実態を踏まえたうえで、慎重に検討するようにしましょう。
介護離職の実態

3. 介護で仕事を休める制度

では、仕事と介護の両立をはかるとき、どのような制度が利用できるのでしょうか。
 
いざ介護が始まるとなると、要介護認定の申請やケアマネージャーとの相談、介護施設の見学など、介護の体制を整える期間が必要です。そうした期間の確保には「介護休業」を利用しましょう。
 
「介護休業」は、要介護状態にある家族を介護するため、一定の期間、仕事を休むことができる制度です。対象家族1人につき3回まで、通算93日を上限に介護休業を取得することができます。上限いっぱいまでまとめて取ることもできますし、2、3回に分けて取ることも可能です。
パートやアルバイトなど有期雇用者が取得するには一定の要件がありますが、2022年4月から「入社1年以上」という要件がなくなり、利用しやすくなりました。 
 
また、介護や通院の付き添いなど、1日または時間単位で休みを取得したい場合は、「介護休暇」があります。対象家族1人につき年5日(2人以上の場合は年10日)まで取得でき、突発的な休みにも対応することができます。必要に応じて、介護休業と使い分けるとよいでしょう。

4. 介護休業中の経済的支援

介護休業を取得した場合は、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。介護休業給付金の額は、原則として、休業開始時の賃金月額の67%です。対象となるのは、「介護休業の開始日前の2年間に、12か月以上雇用保険に加入している人」です。ただし、介護休業中に賃金の支払いを受けている場合は、その分が減額されたり、給付金自体が受けられないこともあります。
 
介護休業中の収入が一定程度確保されるのは安心ですが、給付金が受け取れるのは、介護休業が終わってからです。介護休業中に受け取ることはできませんので、その間の生活資金は準備しておく必要があります。
 
なお、介護休業給付金の対象は「介護休業」で、「介護休暇」には給付金はありません。介護休暇を取った場合に給与が支払われるかどうかは、会社の規定によりますので、勤務先に確認しておきましょう。

5. 独自の支援を行っている企業も

介護休業や介護休暇は法律に基づく公的な支援制度ですが、これ以外に、独自の支援を行っている企業もあります。介護離職は、働き盛りの40歳代から50歳代に多く、職場で中心となって働いている人材がいなくなることは、企業にとっても大きな損失になるからです。
 
例えば、介護休業や介護休暇の内容を、法定のもの以上に充実させている企業があります。介護休業の法定取得日数は93日が上限ですが、これを最大1年間取得可能にしているケースや、介護休暇の年5日間を10日間に拡充しているケースなどがあります。  
 
また、フレックスタイム制度や在宅勤務で働き方を柔軟にしたり、福利厚生として介護サービスを無料で利用できる企業  もあります。
 
ほかにも、介護に関するセミナーの開催や相談窓口の設置など、従業員の仕事と介護の両立支援に取り組む企業は増えてきています。

6. 働きながらの介護が当たり前に

現役で介護に直面する人は、今後ますます増えることでしょう。不本意な介護離職を避けるためにも、まずは仕事と介護を両立するための制度を知ることから始めましょう。
 
そして、介護を1人で抱え込まないことも大切です。仕事と介護の両立で悩んだら、勤務先や自治体の相談窓口に相談してみましょう。
 
働きながらの介護が当たり前に
この記事の提供元
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著者:原 絢子

原 絢子(はら あやこ)
<略歴>
FPサテライト所属ファイナンシャルプランナー
自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。
モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。ひとりでも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。

<所有資格>
日本FP協会 AFP認定者
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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