本記事では認知症のサポートシステムをご紹介します。認知症の介護期間は平均10年と言われています。大切なことは孤立しないことです。心身ともに疲弊する前に、サポート制度を活用しましょう。認知症の進行に合わせて必要なサービスをお伝えします。

1. 認知症を疑った時に相談に行く場所

最初に気づくのはご家族様であることが多いです。いつもと違う、なんとなく忘れっぽくなっている、何回も同じことを聞いてくる、そんな様子が見られたら、まず以下のところに相談に行ってみてください。
 
 
1. 認知症ケアパス
相談場所ではありませんが、各自治体が認知症を疑った場合の全体的な流れを作成されています。いつ、何をすればいいのか、どういうサービスが受けられるのかについて書かれています。厚生労働省の「認知症政策推進5か年計画(オレンジプラン)」の1つとして作成されています。一連の流れが分かります。各自治体によって少々異なりますので、お住まいの自治体の認知症ケアパスをぜひ検索してみてください。
 
2.かかりつけ医
他のご病気でかかりつけの病院やクリニックがあれば、受診時に相談してみるのがいいでしょう。認知症検査は、CTやMRIなどの画像検査や長谷川式簡易知能評価スケールなどがあります。認知症の検査はなるべく家族の立ち会いのもとで受けることがよいと思います。ご本人様もショックを受けられると思いますので、一緒に診断を聞いてあげることが大切です。
 
ご本人様はご自身が認知症であることを認めたくない、他の人に知られたくない、そう思われ、病院受診を拒否する場合も見られます。また、かかりつけ医の受診間隔が3か月に1回などかなり先であれば、次に挙げるところへ相談をしてみましょう。
 
3. 地域包括支援センター
地域包括支援センターは高齢者の生活をサポートしてくれる施設で、よろず相談のようなところです。全国に約5,000箇所設置されています。場所はインターネットで検索するか、自治体に確認して教えてもらうこともできます。医療機関に繋いでくれたり、介護保険導入の手続きを教えてくれます。代理のご家族様が相談に行かれても対応してくれます。

名称は地域包括支援センターの他に、高齢者相談センターやシニアサポートセンターと呼ばれているところもあります。
 
4. 認知症疾患医療センター
認知症の医療相談から診察まで、幅広く応じる専門の医療機関です。物忘れ相談、認知症診断、治療、介護保険申請相談まで、認知症に関する支援を包括的に行ってくれます。都道府県や政令指定都市が指定する病院に設置され、全国に477箇所あります。認知症疾患医療センターとして指定される病院は人員や入院設備など基準を満たした医療機関のみになります。また、かかりつけ医や介護施設、行政などと連携して包括的に認知症の治療やケアを行います。認知症専門医には相談窓口があります。地域包括支援センターに問い合わせると場所などを教えてくれます。
認知症を疑った時に相談に行く場所

2. 早期の受診

まずは早期の診断や適切な医療を受け、進行を緩やかにすることが必要です。しかし、認知症と認めたくない、診断されることが怖いと思われる方もおられるでしょう。無理やり連れて行こうとすると抵抗を感じる方がほとんどであり、ご家族様との信頼関係の悪化にもつながります。認知症は長く付き合っていくご病気であり、またご家族様の協力が必須です。まずはゆっくりと話し合いましょう。ご家族様によっては、健康診断に一緒に行こうと誘ったり、最初から専門医へは行かずに既に関係性ができているかかりつけ医院へ相談し、受診された方もおられます。
早期の受診

3. 公的サポート制度

1. 介護保険利用
介護保険のサービスを利用するには、手続きが必要になります。手続きをして認定区分が決定するまでに約1か月かかりますので、早めに手続きをしておくとよいでしょう。
 
手続きの流れとして、
①ご本人様が居住されている市町村の自治体に申請する(代理の家族様でも可能)
②地域包括支援センターへ、ケアマネージャーについてもらうよう相談する
③自治体申請後約1週間で認定調査が行われる
④約2週間程度で認定区分がおりる(要支援1〜2、要介護1〜5)
⑤ご本人、ご家族の介護状況などを考慮しケアマネージャーと必要なサポートや福祉用具を選定
 ・居宅サービス:訪問看護や訪問介護、訪問入浴など
 ・施設サービス:特別養護老人ホーム、介護老人保険施設、グループホームなど
※要支援の方は居宅サービスが受けられません。介護予防サービスとなります。介護が必要とならないようなサービス内容となっています。日帰りのデイサービスや、介護予防訪問介護などいくつかサービスがあります。地域包括支援センターに相談に行かれるとプランを作成してくれます。
 
介護保険を利用して上記の居宅サービス、施設入所などが受けられます。ご本人様の状況(物忘れがどの程度か、内服管理ができているのか、食事摂取状況や排泄状況、また歩行や着替えなど日常生活動作などを考慮)を確認し、ケアマネージャーと必要なサービスや福祉用具を導入(ベッド、車椅子、ポータブルトイレなど)することとなります。
 
2.成年後見制度
成年後見制度は認知症などで判断能力が低下した方の財産を守る制度です。家族など代理人(後見人)となり、財産管理や身上監護(契約締結など生活、治療、療養、介護などに関する法律行為)を行います。高額商品の詐欺にひっかからないように防止したりするためです。

また、銀行など金融機関の手続きや、不動産などの資産管理ができないなどの事態が発生します。親が認知症になり、本人の代理で定期預金の解約手続きをしようとしても、成年後見人を立てるように要求されます。手続きは地方裁判所で本人や家族が行います。代理人として弁護士などが行うことも可能です。成年後見制度はいったん手続きをするとやめることができないので、慎重に行う必要があります。
 
3. 医療費負担を減らす4つの制度
 
①自立支援医療制度
精神科の医療機関に入院せず外来、投薬、訪問診療などを受けると自己負担額が軽減されます。ただし、どの認知症の方も適応されるわけではなく、厚生労働省が定めるところでは「精神遅滞及び認知症については、易怒性、気分変動などの情動の障害や暴力、衝動行為、食行動異常等の行動の障害等を伴い、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合に、精神通院医療の対象となる」と定めています。

基本的には1割負担ですが、収入による自己負担額の上限は設けられています。そして、「指定自立支援医療機関」でしか利用できません。薬局や訪問看護事業所も、指定登録された機関のみの利用となります。
 
②高額療養費制度
公的な健康保険制度に加入していれば誰でも使えます。入院はもちろん、外来通院、院外処方でも使えます。自己負担額が一定額を超えると給付を受けられます。一定金額はご本人の収入や年齢で異なってきます。

手続きは国民健康保険であれば支払いをした3〜4か月後に申請書が郵送されます。つまり一時的に負担を行い、後で返ってくる制度です。支払いをした領収書は念のため保管しておきましょう。
 
③限度額適用認定証
医療費が高額になりそうなとき、あらかじめ限度額適用認定証を手続きしていれば、医療機関でのお支払い料金は保険適用内の医療費の支払いですみ、自己負担限度額までにおさえることができます。手続き方法は国民健康保健であれは、最初に自治体の保健年金窓口で、限度額認定証の交付を受けておきます。
 
④高額介護サービス費用
1か月単位で負担した介護サービス費用の自己負担額が一定額を超えた場合、後日返金されます。市町村の介護保険窓口で申請できます。限度額は前年度の所得などから決まります。また、公的介護保険の利用から2年以内に申請をする必要があります。
公的サポート制度

4. 民間サポート体制

①認知症カフェ
認知症ご本人様やご家族様の情報共有する場です。皆が同じような状況なので、情報も共有しやすいでしょう。参加費も100円ほどです。社会福祉や医療法人、NPOが主催されています。認知症カフェには看護師や介護福祉士が参加していることもあり、アドバイスを聞けることもあります。また、クイズや脳トレ、手芸、パソコンなどの活動も行われています。まずはこういった気軽に参加できるところに参加されてもいいかもしれません。他者との交流を続けておくことが重要です。


②公益社団法人 認知症の人と家族の会
本人や家族が集まり、自由に話をしながら情報交換、介護相談などを行っています。支部は全国展開されており、勉強会も定期的にされています。また電話相談も行っています。

③見守りサービス
高齢者の見守りサービスを提供している民間の警備会社があります。会社によってサービスはさまざまですが、ストラップ型のGPS探知機や緊急ボタンを押せばすぐにかけつけてくれるサービスなどもあります。費用は月々1,000円程度となっています(オプションで価格は変動します)。

④保険外訪問看護
保険内の訪問看護は訪問時間(30分、1時間など)や1週間の訪問回数に上限があります。保険外の訪問看護には専門の資格・知識をもった看護師が訪問するサービスがあります。私も登録しており、訪問に行かせていただいています。受診同行サービスもあります。毎回家族が受診同行するとなると、仕事や育児などもあり、困難な場合があります。かといってご本人様1人では医師との話の内容が伝わらない、内服が変更になっても理由がわからないなどの時に、付き添い看護師が代理で医師の話を聞き、正確な情報をご家族様に報告いたします。

民間サポート体制

5. まとめ

公的、民間のサポート体制をお伝えしました。まずは孤立しないことが重要です。認知症は恥ずかしいことではありませんので、サポート体制を整え、介護されているご自身の人生も大切にしてもらいたいと思います。
この記事の提供元
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著者:山川さちえ

看護師歴16年です。外科・内科・ICU、訪問看護の経験、また認知科学を学び看護師としての経験・認知科学を知識より、セミナーや相談・メディカル記事の執筆を6名のWellness ナースとともに⾏なっています。また⺟の介護経験から介護保険の導⼊をわかりやすく解説した「いざという時のために知っておきたい、介護保険導⼊の流れ」解説動
画を作成し提供しています。

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