薬局でBOXを買わなくても、100円ショップに売っている仕切り付きの収納ボックスや、趣味で釣りをされる方ならお手持ちのルアーケースなど、身近なもので代用してお薬を飲むタイミングごとに整理することも可能です。
ただし、このようにお薬を整理する場合には、箱の中に移す前に、お薬の袋で「飲むタイミング」と「1回あたりの錠数」をていねいに確認し、服用のタイミングや種類、錠数を間違えないよう、注意するようにしましょう。
●薬局でお薬を「一包化」してもらう
お薬の種類が多く、飲むタイミングや錠数がばらばらで管理ができない場合には、「一包化」といって、薬局でお薬を飲むタイミングごとにまとめて一つの袋に入れてもらえるサービスもあります。
飲み間違いや錠剤の紛失がなくなりますし、手が不自由で薬を取り出すことが難しいという方にも便利です。日付を入れたり、お名前を入れたりすることも可能なので、ぜひふだんお薬をもらっている薬局へ相談してみてください。
●お薬カレンダーを利用する
お薬カレンダーを使用することも効果的な対策の一つです。カレンダーに服用予定のお薬をセットし、その日の分をカレンダーから取り出して服用すれば、お薬を確実に服用できます。お薬カレンダーは、薬局やインターネットで数百円程度で購入できます。
また、訪問薬局のサービスを利用していただくことで、薬剤師に週に一度自宅へ来てもらい、一週間分のお薬をカレンダーへ正しくセットしてもらうことも可能です(訪問頻度については相談可能)。
●ご家族が電話をし、飲み忘れがないかを確認する
お薬カレンダーを使用していても、今日が何曜日かわからなかったり、お薬を飲むこと自体を忘れてしまう方の場合、ご家族が毎日決まった時間に電話をかけ、「〇曜日の朝のカレンダーを見て。お薬入ってる? そこから取り出して、今飲んでね。このまま電話繋げておくから飲んできてね……飲めた? もう一回〇曜日の朝のカレンダーを見て。お薬入ってない?」などと声掛けをすることで飲み忘れが大幅に減少したという方もいらっしゃいます。他にも、ご近所の方に定期的な声掛けをお願いすることも効果的です。
●お薬の置き場所を工夫する
お薬やカレンダーを置く場所を、お食事をされる机の上に変えたところ、お食事の際に必ず目に入るようになり、飲み忘れがなくなったという例もあります。他にも、寝る前の薬はベッドサイドに置くようにしたり、お風呂上りに塗る薬は浴室の着替えを置いておく棚に置くようにしたりと、置き場所についても工夫してみると良いでしょう。
ただし、目につきやすい場所に置くことで、お薬カレンダーの中に入っているお薬をご自分で入れ替えてしまい、逆に正しく飲めなくなってしまう例もありますので、必ず薬剤師などと相談しながら様子を見てください。
●お薬ロボットを使用する
設定した時刻にお薬を出してくれる「服薬支援ロボット」もあります。
このロボットは、センサーでの見守り機能や生活をサポートする声かけ機能も備えています。利用するには、購入するかレンタルする方法があります。上記の方法を試しても難しい場合には、選択肢の一つとして検討してみてください。
著者:山本 咲希(株式会社レインフラワー)
薬剤師/日本薬剤師会認定薬剤師。
北里大学薬学部首席表彰を受けて卒業後、薬局薬剤師として活動。
大学病院の門前薬局、内科、小児科、耳鼻科、皮膚科など、さまざまな薬局で調剤を学び、現在は薬剤師・起業家として活躍している。
地域医療研究、全国薬剤師・在宅療養支援連絡会J-HOPでの研究発表、OTC薬のアプリケーション開発、日本薬学会での論文発表を行っている。
「医療・教育・美容を武器に、元気に・迷いなく・美しく生きていける社会を作る」という理念のもと、クリニック・薬局向けのシステム開発・提供、区民講演会での講演を行うほか、自身もボディメイクの全国大会「ベスト・ボディジャパン」に出場、関東最大規模の大会でグランプリを獲得した。教育業界にも力を注ぎ、顧問を務める個別指導塾「生徒派」を入塾1年待ちの全国屈指の人気塾にしたほか、全国の塾・予備校のシステム開発を行う。自身の経営する化学専門予備校「花塾」も盛況で、仕事が生きがいの日々を走り続けている。
著書に『プランブロック式 ゼロから理系難関大学に合格できる戦略的学習計画法』(KADOKAWA)がある