1. 寝汗の原因
一般的な寝汗の原因は、暑さによるものです。
暑い環境で眠ると体温が高くなり、自律神経が体を冷やして体温調整を促すために汗が出ます。
しかし、寝汗は暑さ以外の理由でも出てくることもあります。寝汗の理由として考えらえるものを、次に解説しましょう。
・ストレス
ストレスを溜め込みすぎると自律神経が乱れ、交感神経と副交感神経をうまく切り替えられなくなります。
就寝中は副交感神経が優位になり、体が休まるタイミングですが、ストレスにより自律神経が乱れると、副交感神経ではなく交感神経が活性化してしまいます。それによって汗腺が刺激され、寝汗をかいてしまう場合があります。
ストレスを原因とする寝汗の場合、改善にはストレスの軽減と、自律神経の調整が必要です。自力での回復が困難である場合には、医療機関を受診して、専門家の指示を仰ぎましょう。
・ホルモンバランスの乱れ
加齢によるホルモンバランスの乱れも、寝汗の原因となる場合があります。寝汗を含む、加齢に伴うホルモンバランスの乱れからくる症状のことを一般的に更年期障害と呼びます。
更年期障害といえば女性のイメージがあるかもしれません。しかし男性においても、加齢とともにホルモンバランスが大きく変化するため、倦怠感や気力の低下、イライラや不安などの症状が現れることがあります。
ホルモンバランスの乱れは自律神経の調整を困難にするため、寝汗をはじめとした、ほてりや動悸などの症状が見られることもあります。
・疾患や薬の影響
自律神経の乱れによるものではない場合、別の疾患を原因としているケースも考えられます。
甲状腺機能亢進症や膠原病などの内分泌疾患のほか、がんや感染症が原因で寝汗をかくこともあるようです。
また、解熱鎮痛剤や抗うつ薬、糖尿病の治療薬などの影響により寝汗をかく場合もあります。
寝汗に悩んでいる方で薬を服用している場合、寝汗との関連性がないか、担当の医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
・PMS
生理前になるといつも寝汗をかいてしまうという場合は、PMS(月経前症候群)の症状の1つである可能性が考えられます。
月経のある女性の体温は、月経周期にともない、変動しています。排卵後にはプロゲステロンというホルモンの増加にともない、体温が0.3~0.5度ほど上昇します。
体温が高い状態が月経の開始まで続くことになるため、寝汗をかきやすい状態となります。
2. なぜ放置すべきではないのか
寝汗は睡眠中の生理現象であるため、寝汗をかくこと自体は悪いものではありません。しかし、放置していると次のようなデメリットを生じる場合があります。
・寝汗によって体を冷やし、かぜを引きやすくなる
・あせもや痒みが生じる
・発汗の不快感により、寝苦しさや寝不足を引き起こす
・大量の汗による寝具の臭いのトラブルが生じる
このようなトラブルを回避するためには、空調を活用し体温調節に努める、夜中に目が覚めたときは着替えるようにするなどの工夫が必要です。
3. ひどい寝汗は体のトラブルの表れかも?
寝汗がひどい場合は、体が何らかのトラブルや疾患を起こしている可能性があります。考えられるトラブルについて、具体的に解説します。
・多汗症
多汗症とは、その名の通り汗の量が多くなってしまう症状です。原因がはっきりとしていない原発性多汗症と、感染症や神経疾患といった病気や外傷などが原因で発生する続発性多汗症があります。
また、同じ多汗症でも全身の汗が増えるケースもあれば、手のひらや足の裏など特定の部位の汗のみが増えるケースもあります。
・更年期障害
更年期障害によって寝汗が増えることもあります。とくに女性の場合は、閉経による卵巣の働きの低下に伴い、エストロゲンと呼ばれる物質の分泌が急激に減少します。
閉経にともなうホルモンバランスの乱れにより、寝汗をはじめとしたさまざまな症状が引き起こされます。閉経の時期と寝汗の時期とが重なるようであれば、更年期障害を疑ってみてもいいかもしれません。
・自律神経の乱れ
自律神経は、交感神経と副交感神経から構成されていますが、この2つの神経のバランスが崩れることで寝汗をかきやすくなることがあります。
通常なら昼間に活発に働く交感神経と夜間などに活発に働く副交感神経がうまく切り替わることで、体の各器官の調整を行っていますが、切り替えがうまくいかずに自律神経が乱れると、夜間に交感神経が活発に働き、寝汗をかきやすくなってしまいます。
・甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンの過剰分泌により代謝異常を引き起こす病気です。甲状腺機能亢進症の代表例としては、バセドウ病が挙げられます。
甲状腺ホルモンは、全身の代謝をコントロールするホルモンであり、エネルギーの生成や新陳代謝の維持には欠かせません。
しかし、甲状腺機能亢進症により甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるため、必要以上の新陳代謝により発汗量が増え、寝汗を引き起こすと考えられています。
4. 寝汗対策
寝汗に悩み、改善したいと考えている方も多いことと思います。本項では寝汗への対策として、取り組みやすいものをいくつか紹介します。ぜひ、次のポイントを参考に実践してみましょう。
・ストレスを溜め込まない
ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、寝汗の原因となるため、できるだけストレスを溜め込まないようにすることが大切です。
疲れによるストレスの解消には、十分な睡眠が欠かせません。また、心身ともにリラックスするため、温かいお風呂につかることも有効に働くでしょう。また、気晴らしとして運動や軽いウォーキングをしたり、意識して趣味の時間を作るのもストレス解消に効果的です。
心身を労わる習慣を意識して取り入れ、自律神経を整えましょう。
・規則正しい生活を心がける
就寝時刻や起床時刻が不規則、食事の時間がいつも違う、休みの日に寝だめをするなどの生活をしていませんか?
このような生活リズムの乱れは、自律神経に大きな負担をかけるため、寝汗の原因となってしまいます。生活リズムの基盤は、起床と就床、そして食事のタイミングを整えることから始まります。
休日もできるだけ平日と同じ時間に起き、食事を摂る時間も揃えるようにしましょう。
欠食も自律神経を乱す原因となるため、毎朝朝食を摂れるよう、朝は余裕をもって早起きすることも重要です。
・吸水性や吸湿性を備えた寝具を使う
寝具選びも寝汗対策をするうえでは非常に重要です。たとえばパジャマが汗を吸収したままだと不快感の原因となるため、寝付きが悪くなってしまいます。
最近の寝具の中には、吸水性や吸湿性に優れたものがあるため、寝汗による不快感が気になる方は積極的に活用してみましょう。
例えば綿や麻、シルクは吸湿性、放湿性に優れているため、おすすめです。また、寝汗が多い場合、布団の湿度もこもりやすくなるため、除湿マットも活用すると良いでしょう。
・冷房の温度を見直す
寝る際の環境を整えるため、寝具のみならず室内温度の調節も意識的に行う必要があります。
過剰な発汗を防ぐため、また熱中症の予防のためにも、エアコンの冷房機能を活用して部屋を涼しく保ちましょう。
夏場はタイマー設定ではなく、朝までエアコンをつけっぱなしにしておくことをおすすめします。朝まで涼しい状態を保つことで、寝汗の量を抑えやすくなるでしょう。
・除湿器の活用
温度のみならず、湿度のコントロールも寝汗対策には効果的です。
暑さが原因で寝汗をかいている場合は、冷房や扇風機と一緒に除湿機も活用してみましょう。
これらの機器を一緒に使うことで、空気の循環を促進するだけでなく、湿度を下げる効果も得られるため、快適な睡眠環境を作り出すことができます。
5. 寝汗がひどい時は医療機関へ
室内の環境を整え、涼しい環境で寝ているにもかかわらず大量の寝汗をかく、寝汗をかきはじめてからせきや下痢などの症状がみられる、心当たりのない体重減少がある場合は、一度医療機関を受診してみてください。
基本的には内科を受診し、相談することで対応してもらえるでしょう。
女性でPMSや更年期障害が疑われる場合には、婦人科への受診でより適切な対応を受けられる場合もあります。