1. 小さな「困りごと」を何でもサポートしてくれるサービス
ふだん介護をされている皆様が悩んでいらっしゃることはどんなことでしょうか? もちろん、食事のこと、お薬のこと、制度の活用のこと、介護保険制度のことなど、介護の軸になる部分においてお困りになっている方も多いかと思います。
しかしその一方で、例えば、リハビリとは関係のない散歩、旅行、墓参りの付き添いなどの援助、電球の交換、家具の移動、お手洗いの掃除など、日常生活の「ちょっとした」「些細な」場面で「手伝ってくれる人がいたらなあ」と困っていらっしゃる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
こんな小さなお困りごとのひとつひとつに、真摯に向き合ってくださる「便利屋」サービスがあります。庭のお掃除、手が届かないカーテンレールのお掃除など、日常の中での「ちょっと困った」や「あったらいいのになぁ」な事柄のお手伝いしてくれます。
全国的に店舗や営業所がある企業もあるので、遠方の家族を直接介護をすることが難しい場合の生活援助、お食事の配食サービス、安否確認などをお願いすることが可能です。
家事代行サービスの利用も選択肢の一つです。介護を受けている人が受けるサービスとしてご検討いただくことももちろんですが、介護者が介護を受ける方と別居している場合、介護者側が家事代行サービスを利用するという選択肢もあるのです。このサービスは、介護者自身の負担を軽減して、より介護をしやすい生活環境を整えることに繋がります。
介護保険で全てがカバーできない場合はこのようなサービスの利用も検討していただき、ご自分で全てを抱え込んで無理をされず、少しでもご自身のお身体を大切になさってくださいね。
ご注意いただきたいのは、このサービスは介護保険とは別のサービスとなり、費用負担は介護保険とは異なるということです。費用とサービスのバランスを考慮した上で、検討することが重要です。具体的な費用やサービスの詳細に関しましては、利用を検討している会社に確認ご確認ください。
2. 認知症の方の「徘徊」対策に特化【靴に装着できる!? GPSサービス】
認知症の方を介護されている方の中には、徘徊で自宅に戻れなくなった、警察に保護された、帰宅に時間がかかりすぎて心配、物忘れが多くなってきた、外出が心配など、徘徊についてのご不安を抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
徘徊に悩まれている方にご紹介させていただきたいのが、「ここココ」というGPSを活用した位置情報サービスです。
徘徊の際にGPS端末を活用するためには、GPS端末を徘徊時に持ち出していただく必要がありますが、「ここココ」では、徘徊時の服装や普段身に着けるもの・持ち出すものを想定し、その方に合わせた方法でGPS端末を持ち出していただけるような工夫がなされています。
例えば、一番人気なのは「GPS端末機がぴったり入る専用シューズ」です。持ち運び簡単で超軽量のため、つけていても苦痛を感じません。
玄関に「専用シューズ」の1足のみを置くようにして「心配だから転びにくい靴を買ったよ」「夜にライトで光る反射板が入っているから安心だよ」「〇〇(孫等)がプレゼントしてくれたよ」等の声掛けをするなど、ご本人にあった工夫をすることで、徘徊の際に確実にGPS端末を身につけてもらえるので安心できますね。
3. GPS位置情報サービス「ここココ」の活用例
また、「ここココ」では、今どこにいるかという位置情報だけではなく、移動経路を確認し、行動パターンを把握することができるため、徘徊をしている高齢者の方に落ち着いて柔軟な対応をすることが可能になります。以下に実際の活用例を2つご紹介します。
●実際のご活用例①(老々介護で、歩くペースの違いがある場合)
老々介護をされているご夫婦の事例です。認知症のご主人は歩くスピードが早く、一緒に歩いていてもどんどん進んでしまい、奥様はどれだけ頑張ってもご主人と比べると歩くペースが遅くなってしまっていました。
そのため奥様が気づいたときにはご主人は見当たらず、どこにいるかも分からず気を揉みながら自宅で待つことも多々あったそうです。しかし、ご主人の靴に「ここココ」を付けることによって、今ご主人がどこにいるのかを確認でき、もし迷子になったとしても迎えに行くことができるため、安心して外出できるようになったそうです。
●実際のご活用例②(徘徊を何度もされている方の場合)
すでに徘徊を複数回されている方のご家族が、その方の靴に「ここココ」を取り付けた際の事例です。
「ここココ」を取り付けた数日後の夜、その方が徘徊をされ、ご家族が気付いた時にはいなくなってしまっていました。ふだんなら行き先がわからず、警察に連絡をしたうえで、不安な思いをして帰宅を待ちますが、そのときには「ここココ」から現在地を確認することができたため、その方が山を登っていることがわかりました。
移動経路を確認すると、昔自宅があった場所に向かっているようだとわかり、急いで救助に向かい、無事保護されたということです。
夜間は、特にご家族がずっとそばにいて見守るということは難しく、ご家族が眠っていて気が付かない間に自宅を出てしまうケースも多いですが、「ここココ」などのサービスを利用していただくことで、介護者の精神的な負担を軽減することができると良いですね。
他にも、ネックストラップ形にして「ここココ」を首からかけてもらったり、防犯ブザーやドリンクボトルカバーに装着したり、スプリングストラップを通して直接ポケットやカバン等に入れ持ち出している方もいらっしゃいます。実際の持ち出し方や徘徊されている方の事例なども紹介されていますので、お悩みの方はぜひ下記のホームページをご覧ください。
4. 介護施設に頼ることもまた、愛 施設にお花を贈るサービス
個々の状況により、ご家族のみでの介護が難しく感じられる時もあると思います。そのようなときには、どうかご自身やご家族だけで抱え込むのではなく、介護施設の利用も検討してみてください。
介護施設を利用するにあたって、ご家族からのフォローやあたたかさを感じてもらえなくなってしまうのではないか、という理由で施設の利用をためらわれている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
そのような悩みを持たれている方や、施設までの物理的距離やお仕事の都合があり、なかなか施設に頻繁に会いに行くことができない方には、施設にお花を贈るサービスも利用できます。
お花は介護施設のお部屋を明るく彩ってくれますし、介護スタッフから「ご家族からお花が届きましたよ」と声をかけてもらえることもあり、施設にいても家族の存在やあたたかさを感じることができます。
介護施設の居室は少し味気のないお部屋になってしまうことが多いので、定期的にお花を飾ることでお部屋が華やぎます。また、施設に入ると自由に外出するのは難しくなるため、季節感のあるお花は四季の移ろいを感じることができ、心安らぐ時間を作り出してくれるかもしれません。
もちろん定期的にではなく、お誕生日や記念日にお花を贈ることも素敵ですね。施設に介護をお願いすることを、愛があるからこその選択肢として前向きに検討いただくきっかけとなれば幸いです。
施設にお花を贈るサービスについて、詳しくは
こちらをご覧ください。
5. さいごに
いかがでしたか? ふだん介護をされている中で、悩むことや、負担を感じてしまうこともあるかと思いますが、「こんな選択肢もあるんだな」と知っていただくことで、少しでも精神的な負担を減らせたらと、いくつかのサービスを紹介させていただきました。
どうか辛い時にはお一人で抱え込むことなく、利用できるサービスを積極的に活用し、ご自身の心身を大切にしてくださいね。
監修:水野彩香薬剤師・事業構想修士(専門職) 株式会社ブルペン執行役員(
イロドリ薬局千年店 薬剤師)
大手調剤薬局を退社後、株式会社ブルペンに入社し、生まれ育った川崎市でイロドリ薬局千年店の運営を行っている。現在は地元の地域医療に貢献すべく、在宅医療にも積極的に取り組んでおり、プライベートでも介護が必要な祖父母のため、介護に関する提案やフォローを行っている。