「スロージョギング(※)のすすめ」2回目はステップアップ編と題して、コース選びのポイントや習慣化するためのコツ、スロージョギングにまつわるQ&Aなどを紹介します。スロージョギングは体力がない人や、運動経験が少ない人でも気軽に実践でき、効率よく健康づくりが行える運動です。ウオーキング以上に、太ももやお尻の筋肉、上半身と下半身をつなぐ筋肉などが鍛えられるので、日常生活に上手に取り入れて丈夫な足腰をつくりましょう。
 
※スロージョギングは(一社)日本スロージョギング協会の登録商標です。

1. 慣れてきたら、楽しく走れるコースを探してみましょう

入門編では、スロージョギングの目標頻度を「1日合計30分」と紹介しましたが、これを2~3週間続けられれば、徐々に体が運動に慣れてきます。体の変化は少しずつなので実感はないかもしれませんが、確実に心肺機能が高まり、持久力や筋力も強化されているはず。知らず知らずのうちに効果は出ているので、ここで焦ったり無理をしたりしないようにしてください。
 
さて、運動することにある程度慣れてきたら、新しいコースを探してみるのも一案です。たとえば、少し遠くにある好きなお店までスロージョギングしてみたり、電車やバスで景色のよい場所まで遠征してから走ったりするのもよいでしょう。
 
「走る距離の目安は、2~4km程度がよいでしょう。コースの途中、ベンチがあって休憩できそうな公園などを見つけておくと、そこを目標にして走れたり、水分補給ができたりと便利です」と教えてくれたのは、一般社団法人日本スロージョギング協会理事の佐藤紀子先生です。
 
春はお花見、秋は紅葉狩りといった具合に、スロージョギングに季節のレジャーを取り入れるのも楽しそう! 以下に、コース探しのヒントを紹介しておくので、ぜひ参考にしてください。
 
<スロージョギングのコース例>
●海岸沿い、川沿い、森の道路など景色のよいコース
●春なら桜並木のきれいなコース、夏は木陰を走るコースなど季節に応じたコース
●観光地まで遠征して、スロージョギングで観光名所を回るコース
●往路はスロージョギングで行って、復路はバスや電車で帰ってくる遠出コース
 
ただし、知らないコースを走るときは、目標となる道路や建物を覚えておくなど、きちんと下調べをしておきましょう。事前にスマホのマップアプリでコースを作っておくのもおすすめです。コースに坂道や階段を入れると運動効果が高まりますよ。
慣れてきたら、楽しく走れるコースを探してみましょう

2. 自分なりの目標を設定することが、継続への近道!?

スロージョギングが習慣化してきたら、少しペースを上げたり、距離を延ばしたりするのもおすすめです。スロージョギングが習慣化してくると、筋力や持久力、心肺機能が高まるので、ジョギングのペースを上げても疲れにくくなります。また、体力がつくと自然と歩幅が広がるので、今までよりも速く走れるでしょう。
 
「スロージョギングを続けているうちに、『走るのがこんなに楽しくて気持ちがよいとは知らなかった』と感じる人も少なくありません。徐々に距離を延ばして、フルマラソンの大会に出場するようになった人もいるんですよ」(佐藤先生)
 
もちろん、無理に距離を延ばしたり、ペースを上げたりする必要はありません。何より大切なのは、継続して習慣化することです。家族あるいは友だちと一緒に楽しみながら、無理なくスロージョギングを習慣化していってください。
 
習慣化してきたら、マンネリにならないように新しい目標を見つけたり、仲間をつくって互いに励まし合ったりするのもよい方法です。次のような目標を設定してみて、ステップアップを目指してみてはいかがでしょうか。
 
<ステップアップに向けた目標例>
●少しずつ歩幅を広げて走ってみる
●走る距離を延ばしてみる
●普通のペースのジョギングで走ってみる
●身近なマラソン大会にチャレンジする
自分なりの目標を設定することが、継続への近道!?

3. スロージョギングを習慣化するための「3つのコツ」

スロージョギングを習慣化するためには、自分なりの楽しみを見いだしたり、運動効果が実感できるような工夫をしたりすることが重要です。ここでは、スロージョギングを習慣化するためのコツを3つ紹介するので、自分に合うものを見つけて上手に取り入れてください。
 
①服やシューズは動きやすいものでOK
スロージョギングは、本格的なスポーツウエアでなくても、動きやすい服装やシューズで行うことができます。とはいえ、スポーツ店などで、かっこよくておしゃれなスポーツウエアやジョギングシューズをそろえれば、「このウエアとシューズで走りたい!」というモチベーションにつながることも確かです。好みのものが見つかったときは、思い切って購入してみるのもよいでしょう。
 
なお、シューズはフォアフット着地が実感しやすい、薄めのソールがおすすめです。夏は日よけ対策のための帽子、冬場は寒さ対策の手袋を用意すると、より快適に走れますよ。
 
②スマホやスマートウォッチで運動記録をマネジメント
スマホアプリやスマートウォッチのなかには、走った総距離や歩数だけでなく、心拍数やピッチ(1分間の歩数)、ストライド(歩幅)、歩行の安定度などを記録できるものもあります。そうしたアイテムを活用して、「自分の成長ぶり」を可視化すれば、習慣化の意欲がぐんと高まるでしょう。また、心拍数を調べることは、自分に適した運動強度を知ることにもつながります。
 
ちなみに、スロージョギングに適した心拍数は「1分間の心拍数=138-(年齢÷2)」です。これより数字が小さいなら少し速度を上げ、大きいなら速度を落とすようにしましょう。心拍数は、手の親指のつけ根あたりを反対側の3本の指で軽く押さえて脈を数えることでもチェックできます。
 
③運動効果を高めるには栄養バランスも大切
運動効果を高めるには、食事に気を配ることも大切です。筋肉の材料となるたんぱく質や、エネルギー代謝をスムーズにするビタミンB群などを積極的にとりましょう。
 
<たんぱく質がとれるもの>
●卵、肉類、魚介類、大豆製品、乳製品 など
 
<ビタミンB群がとれるもの>
●豚肉、大豆製品、ナッツ類、緑黄色野菜 など
 
走るときには、こまめな水分補給も忘れずに行ってください。運動の前後はもちろん、運動中にも水分補給ができるように、水筒を持参したり、自動販売機用の小銭を持っていったりするとよいでしょう。
スロージョギングを習慣化するための「3つのコツ」

4. スロージョギングに関する素朴なギモンに答えます!

最後に、スロージョギングについての素朴なギモンにQ&A方式で回答します。しっかりチェックして、より楽しく、より効率的にスロージョギングを実践してください。
 
Q.スロージョギングは室内でも実践できますか?
 
正しい姿勢やフォアフット着地を意識すれば、室内でも行えます。「うちにはそんなに広い場所がない」という声も聞こえてきそうですが、基本的には1〜2畳のスペースがあれば大丈夫。「6歩進んで3歩でターン」をくり返しながら(上から見ると8の字を描くような形)ゆっくりと走りましょう。好きな音楽を聴いたり、テレビを見たりしながらでOKなので、リラックスした状態で行ってください。足音が気になるマンションなどの場合は、床にマットなどを敷いて行うとよいでしょう。
 
雨の日や気温の高い日、介護などで外に出られないときにも気軽に行えるので、ちょっとしたリフレッシュやストレス解消にもなりますよ。
 
 
Q.食後すぐにスロージョギングしても大丈夫?
 
遠くまで走る際は、スロージョギングの合間にランチをすることがあるかもしれません。そんなときに気になるのは「食後すぐに走ってよいか?」ということではないでしょうか。
 
「一般に、食事の後はすぐに運動しないほうがよいといわれますが、これは激しい運動をすると、筋肉に多量の血液が必要になり、消化器の血液が不足する恐れがあるためです。しかし、ゆっくりペースのスロージョギングなら、そういった心配はほとんどなく、食後すぐに行っても問題ありません」(佐藤先生)
 
つまり、「行ってみたいランチの店を走るコースに組み込んで、運動のモチベーションを上げる」という楽しみ方ができるのも、スロージョギングの魅力なのです。
 
Q.慣れてきてもペースは変えないほうがよい?
 
スロージョギングのペースは「歩行と同じくらいの速さ」ですが、体力がついてくると自然に歩幅が広がり、スピードも上がってくるものです。そのときに、「スピードを上げてもよいのだろうか」と不安になる人がいるかもしれませんが、基本的には問題ありません。スピードが上がっても「ニコニコペース」を保つことができるなら、疲れずに長く走り続けられて、運動効果もアップするでしょう。
 
習慣化することで、自分の「ニコニコペース」が変化していることが実感できますので、楽しみながらスロージョギングを継続してください。

5. まとめ

スロージョギングは、隣の人と会話できるくらいのペースで走るため、年齢を問わず誰でも無理なく始められます。走ることに「きつい」「苦しい」というイメージをもっている人でも、「ラクに走る」という感覚を知れば、少しずつ「走るって楽しい」「気持ちがよい」と思えるでしょう。
 
また、焦らずじっくり続ければ、確実に持久力や下半身の筋力が強化されていくのも、スロージョギングのよさです。買い物に出かけるときや駅やバス停に向かうとき、あるいは電子レンジの温め待ちをするとき——。日常のさまざまな場面にスロージョギングを取り入れて、健康維持に努めましょう。
 
記事監修:佐藤紀子先生

佐藤紀子(さとう・のりこ) ※写真下
一般社団法人日本スロージョギング協会理事。健康運動指導士、日本スロージョギング協会認定アドバンスインストラクターとして、全国で行われるスロージョギング講習会などの講師活動を行い、スロージョギングの普及に努める。またマラソンランナーでもあり、東京マラソン2014に夫婦で出場し「夫婦で走った最も速いフルマラソン(合計タイム5時間28分23秒)」として当時のギネス世界記録に認定された。
まとめ
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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