最近は、運動不足対策や健康対策としてウォーキングを始める人が増えています。しかし、そうしたなかには「始めたのはいいけれど、普通に歩くだけで大丈夫?」「自己流のせいか、あまり運動効果を感じない」と、不安や疑問を感じている方も少なくありません。せっかくウォーキングを始めたのに、効果が実感できないのはもったいないですよね。そこで今回は、フィジカルトレーナーとして活躍する中野ジェームズ修一先生にご指導いただき、運動効果を高めるウォーキングの方法や長続きさせるためのポイントを紹介していきます。

1. ウォーキングで大事なのは「歩幅」「スピード」「コース」の3つ

ウォーキングは、老弱男女を問わず誰でも手軽にできる運動で、脂肪燃焼によるダイエット効果や生活習慣病の予防・改善効果、リフレッシュ効果などさまざまな効果があるといわれています。また、「1駅手前で降りて歩く」「あえて遠くのスーパーまで歩く」など、毎日の生活に取り入れやすいのもウォーキングの魅力です。
 
しかし、手軽にできる一方で、「毎日歩いているのに、全然効果が出ない」と感じている人が多いのも事実。効果が実感できないことからモチベーションが下がり、すぐにやめてしまう人もみられます。一体どうすれば、効果的なウォーキングができるのでしょうか。
 
中野ジェームズ修一先生は、その点について「ウォーキングをしているのに効果が実感できない方の場合、運動の強度が低すぎるのかもしれません」と話します。運動習慣がない人は、どうしても筋肉量が落ちてしまうもの。筋肉は体の中で最もエネルギーを消費する器官なので、筋肉量の少ない人が強度の低い運動=散歩程度のウォーキングをしても、わずかなエネルギーしか消費されず、成果が表れにくいというのです。
 
「ウォーキングではただ歩くだけではなく、運動強度を意識しながら歩くことが大事になります。ウォーキングの強度を上げるカギは、歩幅・スピード・コースの3つ。これをクリアできれば、確実に強度は上がりますよ」(中野先生)
 
とはいえ、強度にこだわりすぎて、歩くことが「つらい」「イヤだ」と感じるようでは本末転倒。まずは自分にあった強度を見つけて、30分×10日以上継続することを目指しましょう。いきなり毎日行うのが難しければ、週3日程度から始めて、徐々に日数を増やしていってください。
 
ここからは、ウォーキングの強度を高めるための「歩幅」「スピード」「コース」について、具体的なポイントを紹介していきます。
ウォーキングで大事なのは「歩幅」「スピード」「コース」の3つ

2. 歩幅〜やや広めにして「身長の45~50%」をキープ

歩幅は身長の45~50%程度が目安です。その数値をキープすることで、使われる筋肉の活動量が上がり、運動効果は確実にアップします。自分に適した歩幅をメジャーで測ったうえで実践してみましょう。ただし、筋力が弱い人や柔軟性に乏しい人は無理をせず、徐々に歩幅を広げていくことが大事です。フォームについては、次の点を意識してください。
 
・前傾姿勢を意識する:やや前傾ぎみに歩くことで、自然と歩幅が広がります。
・腕を大きく後ろに引く:腕を振ることで推進力が生まれ、スピードがアップします。
 
慣れないうちは、あまり細かいことまで気にする必要はありません。まずは前傾姿勢を意識することから始めてみましょう。前傾姿勢だと太ももの裏側の筋肉が使われるので、長時間歩いても疲れにくくなるはずです。
 
歩幅〜やや広めにして「身長の45~50%」をキープ

3. スピード〜慣れないうちは時速5.4 kmから6.6kmを目標に!

初心者の場合、スピードは時速5.4~6.6km(1分間で90~110m進む速さ)を目標にしてください。ランニングではスピードを上げても酸素摂取量に大きな変化はありませんが、ウォーキングはスピードを上げるほど酸素摂取量が増えるので、有酸素運動効果が高まります。体力がついてきたら、少しずつスピードを上げましょう。
 
なお、ウォーキングのときは、心拍数をチェックすることも大事です。運動すると心拍数が上がりますが、目的に適した心拍数を維持することで高い運動効果が得られます。自分にとっての適正な心拍数(目標心拍数)は、以下の計算式で求めることができるので、ウォーキングの前に計算してみてください。
 
<目標心拍数の計算方法>
目標心拍数=(220-年齢-安静時心拍数)×目標運動強度(%)+安静時心拍数
※安定時心拍数とは、起床後、安静時の心拍数です。
 
「運動強度」というのは最大心拍数(運動時に上がる心拍数の最大値)に対するパーセンテージのことで、持久力向上や脂肪燃焼が目的の場合は60~80%が目標の目安です。ウォーキングの途中で心拍数を測り、目標心拍数に達しているか確認しましょう。スマートウオッチを持っている人はそれを利用して、確認しながら歩くのがおすすめです。
スピード〜慣れないうちは時速5.4 kmから6.6kmを目標に!

4. コース〜階段や上り坂を利用するとより効果がアップ

最初は平たんなコースを設定し、タイムが短縮してきたら、コースを変更しましょう。その際、距離を伸ばすだけでなく、階段や上り坂を組み入れるのもおすすめ。「とくに階段を有効利用すると、運動としての質が飛躍的に上がります」とは中野先生の言葉です。
 
平たんな道だけをウォーキングしても、なかなか筋肉量は増えませんが、階段を使うことで負荷がかかり、下半身の筋肉量がアップします。筋肉が1㎏増えると基礎代謝量が50kcal上がるといわれているため、太りにくい体をつくることにもつながるでしょう。
 
運動不足な人や運動が苦手な人は、以下のように段階を踏みながら、少しずつ負荷を上げていってください。

5. ステップ1:平たんなコースからスタート

運動不足の人は、1回30分程度で歩ける平たんなコースからスタートしましょう。無理のない範囲で徐々に歩幅を広げ、スピードも少しずつ上げていきます。
ステップ1:平たんなコースからスタート

6. ステップ2:階段や上り坂をコースに入れる

ステップ1のコースでタイムが縮まってきたら、距離を少し伸ばしつつ、コース内に階段や上り坂を組み入れましょう。最初はきつく感じるかもしれませんが、続けていくうちに息が上がりにくくなるはずです。
ステップ2:階段や上り坂をコースに入れる

7. ステップ3:階段や上り坂の数を増やす

ステップ2のコースを楽にクリアできるようになったら、階段や上り坂の数を増やします。近くに地下鉄があるなら、ぜひコースに組み入れてください。地下鉄の駅は、階段を下りて構内を通り、別の出口の階段を上って出てくるという使い方ができるので、運動の質を上げるのにとても効果的です。
 
「ただし、体によいからと長時間やりすぎると、関節に負荷が集中して故障のリスクが高くなります。もともと筋肉量の少ない人は、とくに気をつけてください」と中野先生。ウォーキングは1日30分~1時間を目安に行いましょう。
 
また、ウォーキングの前後には、必ず準備運動やストレッチを行うようにしてください。関節や筋肉をほぐすことで、けがのリスクや疲労を軽減できます。
 
ステップ3:階段や上り坂の数を増やす

8. ウォーキングを習慣化するための5つのポイント

ここまではウォーキングのやり方や効果について解説してきましたが、十分な運動効果を得るためには、長く継続して習慣化する必要があります。成果が出る前に挫折することのないように、ポイントをおさえて取り組みましょう。
 
習慣化しやすくするためのポイントは次の5つです。
 
●POINT 1:毎日のスケジュールに組み込む
漠然と「週2~3回のペースで、仕事終わりに歩けばいいかな」と考えているだけだと、つい怠け癖が出て、挫折することになりかねません。そうならないためには、仕事やプライベートの予定を立てるのと同様に、日々のスケジュールにウォーキングの時間を組み込んでしまうことが大事です。
 
「その際、ハードルが高いコースとハードルが低いコースの2つを用意するのがポイントです。そうすれば、帰宅が遅くなってしまっても、『30分は厳しいけれど、15分コースなら歩けそう』という選択ができるはず。失敗体験を増やさないことが、習慣化への近道ですよ」(中野先生)
 
●POINT 2:「ながらウォーキング」を楽しむ
ウォーキングと並行してできる楽しみや目的をプラスすると、飽きずに続けることができます。好きな音楽を聞いたり、WEB ラジオを楽しんだりするほか、オーディオブックを使って耳で読書を楽しむのもよいでしょう。また、英語などのリスニング教材を活用すれば、歩きながら語学を学ぶこともできます。
 
ただし、車の多い道路を歩く際は、周囲の音が遮断されないように気をつけてください。
 
●POINT 3:アプリを使ってがんばりを実感!
最近はさまざまな種類のウォーキングアプリがあるので、それらを活用するのもおすすめです。歩数や距離などを記録するだけでなく、自分に合ったウォーキングプランを作成してくれるものや、ゲーム感覚で楽しめるものもあるので、目的に合ったアプリを選びましょう。
 
ウォーキングの記録を具体的な数字で確認できると、がんばりが実感できて継続しやすくなりますよ。
 
●POINT 4:お気に入りのシューズやウェアを見つける
ウォーキングをはじめる際に、シューズやウェアを購入して「形から入る」のも1つの方法です。「せっかく買ったのだから、無駄にしたらもったいない」という気持ちが背中を押してくれるので、三日坊主の可能性が低くなるでしょう。シューズは機能的なランニング用のもの、ウェアは吸汗性・速乾性に優れたものを選ぶのがおすすめです。
 
●POINT 5:ウォーキングイベントなどに参加する
全国各地で趣向を凝らしたウォーキングイベントが開催されているので、そうしたイベントへの参加を目標にすると、日々のモチベーションがアップします。小旅行をかねて家族と一緒に歩いたり、参加者との交流を通じて新しい友だちができたりすると、ウォーキングの楽しみも倍増するはずです!
 
ウォーキングを習慣化するための5つのポイント

9. 継続は力なり!雨の日も踏み台昇降でしっかり運動

最後に雨の日の対策も紹介しておきましょう。雨が降って外でウォーキングできないときにおすすめなのが、室内でもできる踏み台昇降です。踏み台昇降は、下半身の筋肉が鍛えられるだけでなく、ランニングに匹敵するエネルギーが消費できるんですよ。
 
踏み台昇降を行うときのポイントは、次の通りです。
 
・高さ10~20㎝程度の台を使用
・1秒で上り、1秒で下りるペースでリズミカルに行う
・台に上る1歩めの足を途中で左右入れ替える
・最初は短時間行い、慣れてきたら20分を目標に!
 
ウォーキングによる運動効果を得るためには、継続することが何より大事です。この機会にウォーキング習慣を身につけて、生活習慣の改善と健康な体づくりを目指しましょう。


監修:中野ジェームズ修一先生

中野ジェームズ修一 ※写真下
PIT認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとして活躍している。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、多くのトップアスリートから絶大な支持を得る。自身が技術責任者を務める東京都・神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」は、無理なく楽しく運動を続けられる施設として、幅広い層から支持されている。『ミドルエイジからのがんばりすぎないランニング』(扶桑社)など著書多数。
継続は力なり!雨の日も踏み台昇降でしっかり運動
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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