1. 1日で終わらせようとしなければ、大掃除も怖くない!
何かと慌ただしくなる年末。江戸時代から続く風習とはいえ、忙しい合間をぬって家中をキレイにするのは意外に大変です。大掃除を効率よくすすめるコツがあれば、知りたいと思いませんか?
「余裕を持って大掃除に取り組むためのポイントは、年末の忙しい時期に1日で終わらせようとしないことです」と教えてくれたのは、家事テクに詳しいフードスタイリストの江口恵子さんです。いわれてみれば、大掃除に特別な決まりがあるわけではありません。年末の1日だけで終わらせようとするから、ヘトヘトになったり、途中で投げ出したくなったりするのかも!
江口さんによれば、大掃除はスケジュールを決めて、1箇所ずつ取り組むのがよいのだとか。そして、「最初に掃除するのは水回りがおすすめ」だといいます。
水回りは毎日使う場所なので汚れやすく、ガンコな汚れも多いので掃除には大きな労力が必要です。だからこそ、後回しにするとやる気や効率が下がってしまうことに……。そうした事態を避けるためにも、水回りの掃除は最初に済ませてしまいましょう。
ここからは、水回りの中でも特に大変なキッチンにスポットを当て、江口さんに教えてもらった「効率的に掃除を進めるためのコツ」を紹介していきます。
2. 汚れに合った洗剤を使うのが、キッチン掃除のコツ
キッチン回りは、気をつけているつもりでも油汚れがつきやすいですよね。そして、こびりついてしまった油汚れは、とにかくしつこい! 台所用の洗剤を使って、一生懸命にこすっても、なかなか落ちてくれません。
「キッチン掃除を効率化するコツは、汚れにあった洗剤や道具を効果的に使うこと。油汚れは酸性なので、重曹やセスキなどのアルカリ性の洗剤で中和させて落としましょう」とは江口さんの言葉です。酸性とアルカリ性のように逆の性質のものを混ぜ合わせると、お互いの性質を打ち消し合って、こびりついた汚れも簡単に落とせるのだそうですよ。
キッチンの油汚れに対処するための洗剤・グッズは次のとおりです。
・重曹:弱アルカリ性の重曹は、油汚れ対策の代表格。粒子が細かく、水に溶けにくいのでクレンザーとしても使えます。
・セスキ炭酸ソーダ(粉末タイプ):重曹よりもアルカリ度が高く、しつこい油汚れを落とすのに向いています。ただし、二度拭きが必要。
・アルコール水(※):油を溶かす作用のほか、除菌・消臭作用もあるのでキッチン掃除にはぴったりです。
・メラミンスポンジ:水だけで汚れが落ちるメラミン素材のスポンジも揃えておくと便利です。
※消毒用エタノール90mLと水110mL、ハッカ油3滴をアルコール耐性のあるスプレーボトルに入れて使いましょう。ハッカ油を入れることで、香りがついて除菌効果もアップします。
ちなみに、油汚れは酸性、水アカ汚れはアルカリ性、ホコリ汚れは中性なので、覚えておいてくださいね。それでは、さっそくコンロや五徳、換気扇フィルターなどの掃除方法を解説していきましょう
場所別キッチン掃除のコツ・その1
①コンロ(本体)
本体の取り外せる部品はすべて外し、重曹水かアルコール水をスプレーして、乾いたマイクロファイバークロスで拭いてください。付着してから日が浅い軽度な汚れなら、これだけでキレイになります。コンロ回りの壁も同じ要領で掃除しましょう。
「油汚れがこびり付いてしまったときは、適量のセスキ炭酸ソーダをふりかけ、お湯をかけて、しばらくおいてください。その後にメラミンスポンジでこするとキレイに取れますよ」(江口先生)
②コンロ(五徳)
五徳の焦げつき汚れや固くなった油汚れには、「つけおき」が効果的。まずは、全体にお湯をかけてから、セスキ炭酸ソーダをまんべんなくふりかけ、15~20分程度放置してください。その後、歯ブラシなどでこすって、お湯で洗い流せばOKです。
3. 場所別キッチン掃除のコツ・その2
③オーブン
重曹をお湯で溶かし(お湯500mLに重曹小さじ1の割合)、マイクロファイバークロスを浸して絞り、オーブンの内側と外側を拭きます。
④グリル
重曹を多め(大さじ2)に溶かし、つけおきしてから洗います。「重曹が少し残るとクレンザー代わりになるので、メラミンスポンジでこするだけでキレイになりますよ」とは江口先生の言葉です。
4. 場所別キッチン掃除のコツ・その3
⑤換気扇のフィルター
油でベタベタになった換気扇のフィルターも、浸けおきで対応しましょう。五徳と同様、お湯をかけて、セスキ炭酸ソーダをまんべんなくふりかけたら、15~20分程度おきます。その後は歯ブラシなどで目に沿ってこすり、お湯で洗い流してください。
換気扇の本体は、重曹を溶かしたお湯にマイクロファイバークロスを浸して、汚れを拭き取りましょう(オーブンと同じ要領です)。
5. 排水口のぬめりや臭いは酸素系漂白剤で撃退しましょう
キッチン掃除の大敵は油汚れだけではありません。キッチンのシンクは、食品カスや油などの汚れがたまりやすいため、放っておくと嫌な臭いのもとになってしまいます。また、ときどき洗浄しているつもりでも、いつのまにか水垢が付いていたりもしますよね。大掃除のときはいつもより念入りに掃除して、清潔な環境をキープしましょう。
先に紹介したように、酸性の油汚れにはアルカリ性の洗剤、アルカリ性の水アカ汚れには酸性の洗剤が効果的です。キッチンシンクの掃除には、次の洗剤・グッズを用意してください。
・重曹:弱アルカリ性の重曹は、油汚れ対策の代表格。粒子が細かく、水に溶けにくいのでクレンザーとしても使えます。
・クエン酸水:かんきつ類や梅干しなどに含まれる酸味成分。アルカリ性の水垢、石けんカスなどを落とす洗剤としても使われています。
・酸素系漂白剤:除菌・漂白・消臭ができる台所用漂白剤です。
・マイクロファイバークロス:マイクロレベルの極細繊維を使ったクロス。吸水性が高く、細かい汚れが取れます。
・メラミンスポンジ:水だけで汚れが落ちるメラミン素材のスポンジも揃えておくと便利です。
掃除に使うスポンジや布は、柔らかいものを用意するのが基本です。硬いタワシや研磨効果の強い洗剤を使うと、シンクに細かい傷が付いてしまうこともあるので注意しましょう。
キッチンシンクや排水口回りの効果的な掃除方法・その1
①キッチンシンク
軽い汚れの場合は、食器洗い用の中性洗剤を使って、シンク全体をスポンジで洗い流しましょう。「実は、油汚れの掃除に使った重曹もシンク掃除に活用できます。水に溶けにくくて粒子も細かいので、研磨剤がわりに使ってもシンクを傷つける心配がないんですよ」と話すのは江口先生。汚れが気になる箇所に重曹の粉末(適量)をまいて、水にぬらしたメラミンスポンジでやさしく磨くのがコツだとか。
なお、シンク回りに水垢が目立つようならクエン酸の出番です。水200mLにクエン酸小さじ1杯を混ぜ、スプレー容器に入れて使用しましょう。汚れがひどい場合は、キッチンペーパーの上からクエン酸水をスプレーし、しばらく置いてからメラミンスポンジで磨いてください。
6. キッチンシンクや排水口回りの効果的な掃除方法・その2
②排水口
フタとゴミ受けを外したら、排水口と一緒に中性洗剤と歯ブラシでこすり洗いします。これだけで十分キレイになりますが、排水口のぬめりや臭いをしっかりと撃退したい場合は、酸素系漂白剤を活用するのもよい方法です。
「酸素系漂白剤(小さじ2)をふりかけ、40~50℃くらいのお湯(カップ1~2杯分ほど)をゆっくり注いだら、翌朝まで浸けおきしてください。酸素系漂白剤の発泡作用が汚れを浮かせるので、軽くこするだけで簡単に汚れが落ち、排水口の嫌な臭いもなくなります」(江口先生)
酸素系漂白剤は、ふきんを煮沸消毒する際にも役立ちます。大きめの鍋(写真はホーロー鍋)に、ふきんを入れて水を張ったら、酸素系漂白剤(大さじ1)を入れて、火にかけましょう。小さな泡が立ちはじめたら火を止めて(60℃くらい)、お湯が冷めるまで浸けおきした後、洗濯機で洗ってください。
7. まとめ
「あっちもこっちも全部キレイにしないと!」と考えると、途端に気が重くなりますが、1箇所ずつ進めていくようなやり方なら、モチベーションも保てそうですよね。では、最後に江口先生のこんな言葉を紹介しておきましょう。
「油汚れや水垢汚れを防ぐには、毎日の使用後に軽く掃除するのがいちばんです。早めに落とすことで清潔さがキープできるので、大掃除を機にこまめな拭き掃除を心がけてください」
特に油汚れは、ホコリなどが付着しやすく、放置すると固まって取り除きにくくなります。汚れをためない生活を心がけて、キッチン環境をより快適にしましょう。
次回は、「トイレ編」をお届けするので、ぜひ年末の大掃除にお役立てください。
写真撮影:山田 英博
監修:江口 恵子さん
江口恵子(えぐち・けいこ) ※写真下
フードスタイリスト・料理家。雑誌やWEB、広告でのレシピ提案やスタイリング、企業やメーカーのレシピ開発など、幅広く活躍。さらに、料理教室「ナチュラルフードクッキング」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナーとして、シンプルでおいしい、野菜たっぷりのごはんを多くの人に届けるべく奮闘中。著書に『作って伝える郷土ほっこりおやつ』(赤ちゃんとママ社)『子どもと一緒に季節の食しごと』(マイナビ出版)『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)がある。