キッチン編では、「年末の大掃除は江戸時代からはじまった」とお話しましたが、この豆知識には続きがあります。実をいうと当時は、大掃除(すす払い)が終わったあとに、みんなで「胴上げ」をしたり、そばや鯨汁をふるまったりする習わしがあったというのです。しかも、大奥の女性たちまでもが、誰かれ構わず胴上げしていたというから驚きです。胴上げの由来は定かではありませんが、江戸時代の大掃除は、暮れの楽しいイベントだったのかもしれませんね。私たちも江戸の人たちに習って、楽しく大掃除を終わらせたいものです。では、今回も年末の大掃除を効率よく進める方法について、解説していきましょう。

1. トイレの臭いや汚れは尿はねによるもの

家事テクに詳しいフードスタイリストの江口恵子さんにご協力いただき、水回りの代表格であるキッチンの「掃除のコツ」をお伝えしました。大掃除に取り組む際の心構えを簡単におさらいしておくと、押さえておきたいのは次の2点でしたよね!
 
・大掃除は、年末の忙しい時期に1日で終わらせようとしない
・ガンコな汚れが多い水回りを最初に片づける
 
さて、今回も江口さん監修のもと、同じ水回りのトイレの掃除術を紹介していきます。トイレは利用する頻度が高いうえに、尿はねによる臭いや汚れが付きやすい場所。年末の大掃除で汚れをリセットして、気持ちよく新年を迎えましょう!
 
トイレは、放っておくと汚れが落としきれなくなったり、イヤな臭いが発生したりしてしまいます。そのため、「日々こまめに掃除している」という人も、意外に多いのではないでしょうか。
 
とはいえ、便器や便座に比べて、壁や床は掃除の頻度が低くなりがち。大掃除のときは、ふだん力を入れていない部分の汚れもしっかり落としましょう。

2. トイレ掃除も「汚れの性質に合った洗剤を使う」のが鉄則

江口先生いわく、「トイレ掃除を効率的に行うポイントは、キッチンと同様に汚れに合った洗剤や道具を効果的に使うこと」だとか。トイレ掃除に取りかかる前に、【酸性の汚れはアルカリ性の洗剤、アルカリ性の汚れは酸性の洗剤で中和する】という法則を思い出しておいてください。
 
トイレ掃除のときにあると便利な洗剤・グッズは次のとおりです。
 
・アルコール水(※1):高い殺菌効果があるので、カビ予防にもなります。
・クエン酸水(※2):酸性なので、アルカリ性の汚れを中和します。
・酸素系漂白剤(粉末タイプ):弱アルカリ性で、強い洗浄力を発揮します。
・トイレ用掃除シート:使ってそのままトイレに流せるので衛生的です。
※1 消毒用エタノール90mLと水110mL、ハッカ油3滴をアルコール耐性のあるスプレーボトルに入れて使いましょう。ハッカ油を入れることで、香りがついて除菌効果もアップします。
※2 水200mLにクエン酸小さじ1杯を混ぜ、スプレー容器に入れて使用しましょう。
 
トイレの汚れや臭いは主に尿はねによるものです。尿はね汚れはもともと酸性ですが、時間がたつとアルカリ性に変わるので、アルカリ性の汚れを中和する酸性の洗剤を使うと、汚れと一緒に臭いもとれますよ。
トイレ掃除も「汚れの性質に合った洗剤を使う」のが鉄則

3. 汚れをためないトイレ掃除術

ここからは場所ごとにわけて、トイレの掃除方法を解説していきます。

場所別トイレの掃除方法・その1
 
①便器
軽い汚れの場合は、トイレ用の中性洗剤適量を便器の中にふりかけ、トイレ用ブラシで汚れをこすり落としてください。水面付近に輪っか状の輪じみ(掃除をさぼるとあらわれることから、「さぼったリング」とも呼ばれます)が付いてしまった場合は、酸素系漂白剤を活用しましょう。
 
「便器の輪じみは、尿石と水垢がたまったもの。就寝前や外出前などに、酸素系漂白剤を大さじ1杯ふりかけて、浸けおきすると汚れがゆるみます」とは江口先生のアドバイスです。浸けおきの時間は30分〜6時間、その後はトイレ用ブラシで軽くこすり、水で流しましょう。
 
1週間に1回これをやると、輪じみができにくくなるのでおすすめです。ただし、その間トイレが使えなくなるので、江口先生の言葉にあるように、就寝前や外出前に行ってください。
汚れをためないトイレ掃除術

4. 場所別トイレの掃除方法・その2

②ふた・便座
ふたや便座の表側はアルコール水を使って拭き掃除をしましょう。便座裏の汚れは、はねた尿が原因でできた尿石(アルカリ性)なので、クエン酸で中和してください。クエン酸水を吹きかけたトイレットペーパーでパックし、さらに上からクエン酸水をスプレーしたら、しばらく放置しましょう。それだけで、汚れが格段に落ちやすくなります。
場所別トイレの掃除方法・その2

5. 場所別トイレの掃除方法・その3

③壁
トイレの壁には、飛び散った尿汚れが付着していることがあります。ホコリを落とした後に、クエン酸水を直接スプレーして、トイレ用掃除シートで拭きましょう。壁の汚れは臭いの原因になりやすいので、腰の高さの位置まで念入りに拭いてください。
 
④床
こちらも尿はね汚れがつきやすい場所です。壁と同じように、クエン酸水を直接スプレーして、トイレ用掃除シートで拭いてください。
 
⑤収納
洗剤類はまとめて収納ケースに入れておくと、掃除するときに使いやすくて便利です。またトイレブラシと柄は、サイズを合わせたケースに入れておくと、ホコリがたまりにくく衛生的ですよ。
場所別トイレの掃除方法・その3

6. まとめ

トイレはそれほど大きな空間ではないので、コツを押さえて手早く終わらせましょう。
 
江口さんいわく、「トイレマットや便座カバーを使わないと、すぐに拭けるので、一気に掃除がしやすくなります。こまめに拭くことで、臭いも取れるので、消臭剤も不要になるというメリットもありますよ」とのこと。こまめに掃除をしているのに、トイレの臭いが気になる場合は、床や壁に飛び散った尿はねが原因かもしれません。便座以外にも壁や床も、しっかり拭くようにしましょう。
 
次回は、「浴室・洗面所編」をお届けするので、ぜひ年末の大掃除にお役立てください。
 
 
写真撮影:山田 英博
監修:江口 恵子さん
 
江口恵子(えぐち・けいこ) ※写真下
フードスタイリスト・料理家。雑誌やWEB、広告でのレシピ提案やスタイリング、企業やメーカーのレシピ開発など、幅広く活躍。さらに、料理教室「ナチュラルフードクッキング」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナーとして、シンプルでおいしい、野菜たっぷりのごはんを多くの人に届けるべく奮闘中。著書に『作って伝える郷土ほっこりおやつ』(赤ちゃんとママ社)『子どもと一緒に季節の食しごと』(マイナビ出版)『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)がある。
まとめ
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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