1. 整理収納は大掃除を効率よく進めるための重要ポイント
前回まで、「大掃除の効率をアップするラク家事講座」と題して、効率よく大掃除を進めるための方法を紹介してきました。今回はそのしめくくりとして「大掃除の前にやっておくべきこと」についてお伝えします。
大掃除は毎年のことなのに、きまって「やらなきゃいけないのはわかるけど面倒だな」「物が増えたから去年より大変そう」などとネガティブに考えてしまいますよね。
では、大掃除を「面倒」「大変」と感じてしまうのはなぜだと思いますか? ぱっと思いつくのは「ふだん、掃除しないところも掃除するから」や「いつもの掃除より念入りにするから」などの理由ですが、実はもうひとつ大きな理由があります。
それは、「家の中が片付いていないから」です。いざ掃除を始めようと思ったら、ごちゃごちゃとものが置いてあって、掃いたり拭いたりができない……。そんな状況だと、棚やキャビネットに物をしまい込むところから始めることになり、必要以上の時間と労力を使ってしまいますよね。
つまり、「事前に整理収納を行うこと」も、大掃除を効率よく進めるための大きなポイントになるわけです。
ここからは、家事テクに詳しいフードスタイリストの江口恵子さんに監修していただき、冷蔵庫・キッチン・玄関の整理収納のコツを解説します。ぜひ最後までご覧ください!
2. 冷蔵庫の収納には、「中身が見える容器」を使うのが◎
整理というのは、「要・不要を判断して、不要なものを処分すること」でもあります。大掃除前の整理収納では、要・不要の判断がしやすい冷蔵庫から始めて、整理のコツをつかんでみましょう。
冷蔵庫を整理する場合は、まず冷蔵室、ドアポケット、チルド室に入っていたものを全部出したうえで、消費期限や賞味期限を見ながら要・不要の仕分け作業を行います。その際、肉や魚も一時的に外に出すことになるので、クーラーボックスを用意してから行うと安心でしょう。
「ついでに掃除もやっちゃおう」という人は、冷蔵庫の外側・内側にアルコール水をスプレーしてから、硬く絞ったクロスで拭いてください。アルコール水(※)を使うことで、除菌&臭い防止にもなりますよ。
※アルコール水:消毒用エタノール90mLと水110mL、ハッカ油3滴をアルコール耐性のあるスプレーボトルに入れて使ってください。
さて、整理が終わったら次は収納です。冷蔵庫内は、詰め込みすぎると庫内の温度が上がり、食中毒を引きおこす細菌が増殖しやすくなるので要注意! 少しゆとりをもたせると、冷気の流れがよくなって冷却効率が上がるので、節電にもなります。
「冷蔵庫の収納は、中身が見える保存容器や収納ケースを使うのがポイント。どこに何を入れているかが一目でわかれば、賞味期限切れが防げるはずです。サイズに合わせた容器やケースを使って、種類ごとにひとまとめにしましょう」(江口さん)
よく使うものについては、定位置を決めておくとより使いやすくなるとか。ただし、家族構成や生活スタイルによって「使いやすさ」の定義が異なるので、家族と相談しながら「わが家の収納ルール」を決めておくのがおすすめです。
3. キッチンは、「立てる収納」を使ってスペースの有効活用を!
キッチンは、とにかく物が多い場所。整理や収納がいい加減だと、どこに入れたか忘れてしまったり、出し入れがしにくくなったりしていまいます。「ストックしていたことを忘れて、同じ食材を買ってしまった」「出し入れが不便なので、つい調理器具を出しっぱなしにしてしまう」などの行動が常態化すると、掃除も大変になるので、きちんと整理収納を行って使いやすいキッチンを目指してください。
鍋やフライパン、包丁、カトラリー、食器などを整理するコツは、「いま使っているもの」と「使っていないもの」に分類することです。その際、使用頻度の低いアイテムやまったく使わなくなったアイテムは、できるだけ処分しましょう。増えすぎた保存容器やすぐに使わない紙皿なども同様に取捨選択を! ストック食材については、冷蔵庫の整理と同様、賞味期限・消費期限をチェックしてから、仕分けを行ってください。
以下では、キッチンに置いてあるアイテム別に、収納のポイントを紹介していきます。
アイテム別収納ポイント・その1
●調理用小物
「包丁や計量スプーンなどのキッチングッズ、輪ゴムやコーヒーフィルターなどの小物類は、トレーを使って引き出しに収納しましょう。それぞれのサイズに合わせてスペースを区切ると、分類や片付けが楽になりますよ」(江口さん)
さまざまな大きさの小物に対応できるように、トレーは仕切りを細かく動かせるタイプがおすすめです。
4. アイテム別収納ポイント・その2
●フライパン&鍋
シンク下のスペースは、フライパンや鍋の定位置。鍋は重ねて収納し、フライパンはファイルボックスを使って立てて収納するとよいでしょう。「ファイルボックスを使うと、スペースが有効活用できるうえに、出し入れもしやすくなります」とは江口さんの言葉です。
●食器
食器棚に並べる食器類は、素材や色ごとに並べるとすっきり見えます。ふだん、使うものは手前に、それ以外は奥に収納しましょう。ただし、棚いっぱいに食器を並べるのはNG。7~8分目くらいの量にとどめて、棚にゆとりをもたせると、出し入れがしやすくなります。
6. 玄関の靴は、クリアケースやトレーで見やすく&出しやすく収納
玄関は家の顔。宅配便を受け取ったり来客があったりしたときに、真っ先に見られる場所でもあるので、いつもキレイに整えておきたいものです。
玄関を整理するときは、下駄箱にある靴を見直すことから始めましょう。もし、1年以上履いていない靴やかかとがすり減った靴などがあれば、手放すことを検討してみてください。「お気に入りだから捨てにくい」という靴については、修理代をかけても履き続けたいかどうかを考えてみるとよいでしょう。
靴の収納にはクリアケースやトレーを使うと、見やすく、出しやすくなります。本来の使い方ではありませんが、書類用のファイルボックスやキッチン用の収納ラックなどを活用してもよいでしょう。棚を二段に使えるようになるので、いままで入りきらなかった靴もきちんと収納できますよ。
なお、靴が多い人は、箱やケースに入れてクローゼットなどに収納し、季節ごとに“衣替え(入れ替え)”をするのがおすすめです。
7. まとめ
ここまで、整理収納のコツについて紹介してきましたが、年末の大掃除は不要なものを処分する絶好のタイミングでもあります。「今の生活で使っている・使っていない」でしっかり仕分けをして、家の中をすっきりさせてはいかがでしょうか? ちなみに「いる・いらない」で考えると迷いが生じやすいので、仕分けの際は「使っている・使っていない」で考えるようにしましょう。
では最後に、家をごちゃつかせないためのコツをもうひとつ紹介しておきます。それは、不要なダイレクトメールやチラシを室内に持ち込まないこと。玄関まわりにごみ箱を置き、すぐに捨てられるようにすると、余計なものをため込まずにすみますよ。
それでは、効率よく大掃除を片付けて、楽しい新年をお迎えください!
写真撮影:山田 英博
監修:江口 恵子さん
江口恵子(えぐち・けいこ) ※写真下
フードスタイリスト・料理家。雑誌やWEB、広告でのレシピ提案やスタイリング、企業やメーカーのレシピ開発など、幅広く活躍。さらに、料理教室「ナチュラルフードクッキング」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナーとして、シンプルでおいしい、野菜たっぷりのごはんを多くの人に届けるべく奮闘中。著書に『作って伝える郷土ほっこりおやつ』(赤ちゃんとママ社)『子どもと一緒に季節の食しごと』(マイナビ出版)『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)がある。