1. 大海原の絶景を、朝に夕に。静岡県・熱川温泉「熱川プリンスホテル」
「全室オーシャンビューの絶景です。朝は昇ってくる朝日を眺め、満月の夜は月の光が海面を照らすムーンロードを見られることも。バリアフリー客室 は、和洋室の最上階 ジュニアスイート、和ベッドツイン があり、観光庁の宿泊施設バリアフリー化促進事業計画において国土交通大臣より認定された、 お墨付きの完全バリアフリー客室です。バリアフリー客室以外にも利用しやすいお部屋があって、さまざまな望みに 耳を傾けてくれるホテルです。施設の充実だけでなく、トラベルヘルパーセンター東伊豆 との連携で、 トラベルヘルパー®の資格を持つホテルスタッフの育成にも力を入れていて、ホスピタリティの高さがうかがえます。入浴介助はもちろん、希望があれば大浴場に一緒に入ってもらうこともできます。また、屋上露天風呂は車いすの方は難しいですが、ご家族はぜひ行ってみてください。空と海との一体感を味わえます」
東伊豆・箱根地域一帯は、トラベルヘルパーセンター東伊豆と連携しているホテルが多く、地域全体でバリアフリー対応が非常に進んでいます。熱川プリンスホテルはトラベルヘルパーセンター東伊豆はもちろん、介護タクシー会社とも提携しているので、駅からの移動や観光名所巡りにも対応してくれます。
【宿名】熱川プリンスホテル
【電話】0120-120-707
【住所】静岡県賀茂郡 東伊豆町奈良本1248-3
【チェックイン/チェックアウト】15:00/10:00
【アクセス】東名自動車道 厚木IC より国道135号線を経由し、 車で約120分
【駐車場】あり
【泉質】ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉
<施設>
【車いす使用者の駐車場】1 台分(要予約)
【車いす送迎の有無】なし
【バリアフリー客室・ユニバーサルタイプ客室】和洋室2室と和ベッドツイン3室(車いす対応のトイレ完備)
【車いすでの宿泊可能客室数】和 洋室2室と和ベッドツイン3室
<入浴>車いす使用者におすすめのお風呂
【貸切風呂】2つ「月明り」「星明り」、バリアフリー客室からスロープ、1段の段差あり。脱衣所 …車いすのままで入れる
【大浴場】バリアフリー客室から大浴場までエレベーター、1段の段差あり。脱衣所 …車いすのままで入れる、1段の段差あり
【入浴用の貸出備品】シャワーチェアー
【入浴介助】1人の介助人がついて半日13,000円(消費税別)、1日20,000円(消費税別)
<食事>
【食事の方法】ダイニングルーム「厨」 で車いすのまま食事ができる
【食事のアレンジ】アレルギー対応(要予約)
2. バリアフリー客室には電動ベッドも 。兵庫県・有馬温泉「ホテル花小宿」
「日本三古泉の1つ、豊臣秀吉をはじめ多くの偉人が愛した有馬温泉は、誰もが頷く名湯です。実は有馬温泉にはバリアフリー対応を進める宿が少ないのですが、そんななか、2000年にオープンした『花小宿』は、ご主人の金井哲修さんの方針で、早くからバリアフリー化を始めました。バリアフリー客室『 櫟(くぬぎ) 』には電動ベッドが設えられていて、水場はセンサー反応など、細かい配慮がなされています。『櫟』の目の前に貸切風呂『蔦葉子(つたばす)』が配置されているのも粋な計らい。『蔦葉子』には浴場専用の車いすがあって、脱衣所でこれに乗り換えて、浴槽まで車いすで行けます」
地元産の旬の食材にこだわった美食の宿としても名高い純和風旅館。お食事とともに純和風の風情も存分に味わってください。
【宿名】ホテル花小宿
【FAX】078-904-0281
【住所】兵庫県神戸市北区有馬町1007
【チェックイン/チェックアウト】15:00/12:00
【アクセス】中国自動車道 西宮北IC より案内表示に沿って有馬温泉へ 車で約15分
【駐車場】あり ※ホテル併設ではなく、ロープウェイ有馬駅近くの有馬里駐車場。
【泉質】含鉄- ナトリウム-塩化物温泉
<施設>
【車いす使用者の駐車場】専用駐車場はないが、スペースは十分にあり(駐車場から宿まで送迎あり)
【車いす送迎の有無】あり
【バリアフリー客室・ユニバーサルタイプ客室】1室( 車いす対応のトイレ、洗面所、電動ベッド)
【車いすでの宿泊可能客室数】1室
<入浴>車いす使用者におすすめのお風呂
【貸切風呂】1つ「蔦葉子」。 脱衣所…車いすのままで入れる
【大浴場】なし
【入浴用の貸出備品】浴場用車いす、シャワーチェアー
【入浴介助】なし
<食事>
【食事の方法】食事処「旬重」で車いすのまま食事ができる
【食事のアレンジ】アレルギー対応(要予約)
3. 伊勢神宮詣での拠点はここで決まり! 三重県・鳥羽 本浦温泉 「サン浦島 悠季の里」
「伊勢神宮詣での拠点にしてほしい旅館です。一見、バリアフリーの宿かどうか分からないのですが、よく見ると、大浴場への段差は緩やかなスロープ、脱衣所には広い椅子が設置されているなど、さりげない心遣いが光ります。湯船のヘリが木製で、座ったまま方向を変えて足を入れられるのも嬉しい造りです。ホスピタリティ溢れる宿 で、伊勢神宮詣でのご希望など気軽に相談できると思います。伊勢志摩地域の特記事項は、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターがあること。ここに連絡すれば、伊勢志摩のトラベルヘルパーさんを手配してくれますし、入浴介助もお願いできます。頼れる宿とバリアフリーツアーセンター を活用して、楽しい伊勢神宮詣でを実現させてください」
バリアフリールームは3室あり、「904号室」は露天風呂付き。10畳の和室にツインのベッドがあり、テーブルを設えたダイニングルームで部屋食が楽しめます。伊勢志摩の海で獲れる伊勢エビ、アワビ、牡蠣 など、海の幸が絶品。
【宿名】サン浦島 悠季の里
【電話】0599-32-6111
【住所】三重県鳥羽市浦村町1215-5
【チェックイン/チェックアウト】15:00/11:00
【アクセス】伊勢自動車道 伊勢ICより車で 県道伊勢二見鳥羽ラインで約15分、さらに国道42号線経由で 約15分
【駐車場】あり
【泉質】アルカリ性単純温泉
<施設>
【車いす使用者の駐車場】1台分
【車いす送迎の有無】なし
【バリアフリー客室・ユニバーサルタイプ客室】3室(車いす対応のトイレ完備)
【車いすでの宿泊可能客室数】3室
<入浴>車いす使用者におすすめのお風呂
【貸切風呂】1つ「彩石の湯」、バリアフリー客室からエレベーターで移動、1段の段差あり(仮設スロープ設置)。脱衣所…車いすのまま入れる
【大浴場】バリアフリー客室から大浴場までエレベーター、渡り廊下、3カ所の段差あり(仮設スロープ設置)、脱衣所…車いすのまま入れる
【入浴用の貸出備品】シャワーチェアー
【入浴介助】なし
<食事>
【食事の方法】部屋食で客室にテーブルと椅子を用意
【食事のアレンジ】アレルギー対応あり(要予約)
4. 車いすユーザーに優しい町のホスピタリティ溢れる宿。岐阜県・飛騨高山温泉「ひだホテルプラザ」
「高山市がバリアフリー化に取り組み始めたのはおよそ20年前。その波は飛騨高山全体に静かに広がっていきました。スロープや手すりが古民家の街並みに当たり前に溶け込む飛騨高山 には、もはやバリアフリーという言葉すら必要ないのかもしれません。ひだホテルプラザは修学旅行生を受け入れるほどの大規模ホテル。同時に、障害者団体や養護学校などの団体客も受け入れる設備とホスピタリティを誇ります。地下1階の『木香の湯』は、脱衣所はもちろん、浴室内も畳敷き。万が一、転んでも、畳の床というのは安心感が違います。JR高山駅から徒歩5分の立地は、街歩きの拠点としてもおすすめ。2023年2月には屋上展望大浴場がリニューアルオープンしました 。車いすでは難しいですが、同行のご家族は、ぜひ」
バリアフリー客室は9室あり、車いす対応の客室が全館に139 室 という充実ぶり。エレベーターも各館2機ずつ、合計6機。館内はさりげなくスロープになっているところが多く、車いす対応トイレも複数箇所設置されています。
【宿名】ひだホテルプラザ
【電話】0577-33-4600
【住所】岐阜県高山市花岡町2-60
【チェックイン/チェックアウト】15:00/11:00(2024 年4月から10:00に変更)
【アクセス】中部縦貫自動車道 高山ICより車で約10分
【駐車場】あり
【泉質】ナトリウム- 塩化物温泉
<施設>
【車いす使用者の駐車場】2台分(要予約)
【車いす送迎の有無】なし
【バリアフリー客室・ユニバーサルタイプ客室】9室( 車いす対応のトイレ完備、トイレ内にシンクと手すりあり、専用スロープ(ユニバーサルタイプ客室)、浴室専用車いす (ユニバーサルタイプ客室))
【車いすでの宿泊可能客室数】139 室(洋室130 室、バリアフリー・ユニバーサルタイプ客室 9室)
<入浴>車いす使用者におすすめのお風呂
【貸切風呂】なし
【大浴場】スロープ・ エレベーター(地下和風大浴場)、脱衣所…地下和風大浴場のみ車いすのまま入れる
【入浴用の貸出備品】シャワーチェアー
【入浴介助】外部サービス利用可能(要事前問い合わせ・ 予約)
<食事>
【食事の方法】食事処「華茶屋」、「匠茶屋」で車いすのまま食事ができる(椅子・テーブル席)、仏蘭西料理 「ボンジュール 」、中国料理「來來飯店」も同様
【食事のアレンジ】アレルギー対応、刻み 食、流動食の対応(すべて事前に要連絡)
5. 桜島を望める展望大浴場へエレベーターで行ける! 鹿児島県・霧島温泉「旅行人山荘」
「霧島温泉で初の露天風呂を作ったのが、ここ旅行人山荘の蔵前壮一会長です。朝の木漏れ日が美しい貸切 露天風呂『赤松の湯』も、バリアフリー客室の近くにある貸切半露天風呂『鹿の湯』も、会長自らが先頭に立って作られました。バリアフリー客室から段差なしで大浴場に行けるようエレベーターを設置したのも、桜島まで望める展望大浴場に足腰の弱い方にも入ってほしい、との思いから。お客さんのリクエストに耳を傾け、次々と望みを叶えていく会長がいる宿には、こまやかな対応と優しさが溢れています。霧島に来たら、ぜひ、かごしまバリアフリーツアーセンター も訪ねてみてください。車いすユーザーに嬉しい情報がいっぱいです」
バリアフリー・ユニバーサルタイプ客室は6室、中でも201・203号室には専用の露天風呂も付いています。名物「大隅鍋」で、鹿児島の黒豚を堪能してください。
【宿名】旅行人山荘
【電話】0995-78-2831
【住所】鹿児島県霧島市牧園町高千穂3865
【チェックイン/チェックアウト】15:00/11:00
【アクセス】九州自動車道 横川ICより車で 約30分
【駐車場】あり
【泉質】単純温泉、単純硫黄温泉
<施設>
【車いす使用者の駐車場】2台分(要予約)
【車いす送迎の有無】なし
【バリアフリー客室・ユニバーサルタイプ客室】6室 (車いす対応のトイレ完備)
【車いすでの宿泊可能客室数】9室
<入浴>車いす使用者におすすめのお風呂
【貸切風呂】1つ「鹿の湯」 、湯船の中に腰をかけるための椅子がある。脱衣所…車いすのまま入れる
【大浴場】バリアフリー客室から大浴場までエレベーター、段差なし。脱衣所…車いすのままで入れない
【入浴用の貸出備品】シャワーチェアー、シャワーキャリー、入浴マット、ステップ、着脱式手すり
【入浴介助】外部サービスを利用可能
<食事>
【食事の方法】食事処で車いすのまま食事ができる
【食事のアレンジ】アレルギー対応(要予約)
6. バリアフリー温泉旅とは
「一昨年、 私の父が亡くなったとき、遺影にする写真を母と一緒に選んだのですが、最終候補になった5枚はすべて、家族で最後に行った温泉旅行での写真でした。その中でもいちばん柔和で父らしい表情をしていたのが旅館をチェックアウトした直後に家族で撮った写真。旅館で入浴介助の方に助けてもらいながら温泉にゆったり浸かり、食事を堪能し、家族とのんびり語らい、ぐっすり眠って翌朝チェックアウトしたとき、父はいちばん満たされていたのだと思います」と山崎さんは振り返りました。その一枚がお父さまの遺影となり、今も仏壇に手を合わせるたびに、あのときのお父さまと再会されるそうです。
バリアフリー温泉旅、それは、家族みんな が笑顔になれる旅。そして、その後、何年も何十年も、ほっこりした思い出を家族に残してくれる、そんな時間なのかもしれません。
監修:山崎まゆみ
温泉エッセイスト、跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学・観光取材学)、世界33カ国の温泉を巡り、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞等で温泉の魅力を伝える。観光庁や地方自治体の観光政策会議に多数参画。「高齢者や体 の不自由な人にこそ温泉 」を提唱しバリアフリー温泉を取材、紹介。著書 『 行ってみようよ!親孝行温泉』は『バリアフリー温泉で家族旅行』のシリーズ第3弾 、他 『さあ、バリアフリー温泉旅行に出かけよう!』『温泉ごはん 旅はおいしい!』など多数。