何歳になっても、旅は心をウキウキさせるもの。最近はバリアフリー化が進み、車いすの方でもスムーズに移動できる観光地が続々と増えています。そこで今回は、介護が必要なシニアと一緒でも快適に回れる全国の観光地 をご紹介。数多くの高齢者や障がいのある人たちと旅をしてきた、旅サポーター の久保田牧子さんに教えていただきました。

1. 広大な自然を満喫【北海道】①

北海道は広大なイメージから「移動が大変なのでは……」と思いがちですが、バリアフリーの施設や情報は意外と充実しています。札幌駅構内にある「北海道ユニバーサル観光センター・札幌」(写真下)を中心に無料配布されている観光ガイド『くるくる北海道』には、宿泊施設や観光モデルコースの情報が満載です。
広大な自然を満喫【北海道】①

2. 札幌から知床五湖まで、見どころがいっぱい【北海道】②

展望台からの眺めがみごとな「さっぽろテレビ塔」は、エレベーターやスロープ、車いす対応の多目的トイレを完備。また、道東を目指すなら、2005年に世界自然遺産に登録された知床の知床五湖 がおすすめです。全長約800mの高架木道は車いすでの通行が可能。広大な自然の中を、のんびり気持ちよく散策してみてはいかがでしょうか。
札幌から知床五湖まで、見どころがいっぱい【北海道】②

3. 誰でも、どこへでも行ける【東京】

日本全国からはもちろん、海外からも多くの観光客が訪れる東京。交通機関だけではなく、トイレや観光施設、宿泊施設などのバリアフリー化 が最も進んでいる地域です。「東京都アクセシブル・ツーリズム  ポータルサイト」には、エリアとテーマから選べる35の都内観光モデルコースが掲載されています。道幅や交通量、混雑回避の仕方など、お出かけ前に、しっかりチェックしておきましょう。
 
ただし、東京は交通網が複雑なのも特徴です。便利でどこへでも行ける分、バスや地下鉄の路線が非常に多く行き交っています。ルート検索できるアプリなどを事前にダウンロードしておき、目的地までの最短距離を調べておくとよいでしょう。
 
都内の観光について不安なときは、「東京ユニバーサルツーリズムセンター(NPO法人 高齢者・障がい者の旅をサポートする会)」に相談するとよいでしょう。都内観光はもちろんさまざまな旅のリクエストに応えてくれます。
誰でも、どこへでも行ける【東京】

4. 海好きな人が集まる【神奈川】

神奈川県の湘南・鎌倉エリアは、海水浴やマリンスポーツの聖地として海好きな人が多く訪れる場所。2015 年より、車いすでも海に入ることができるイベント「バリアフリービーチ」がスタートしました。砂浜の上を走り 、水に浮く特殊な車いすを使って、海水浴が楽しめます。
 
もちろん海水浴だけでなく、古都・鎌倉の散策もおすすめです。観光スポットとして人気の鎌倉大仏殿高徳院の境内は、バリアフリールートが整備されています。「湘南バリアフリーツアーセンター」では同行介助人を紹介してもらえるので、ぜひ気軽に相談してみてください。着物を着て、夏の花火大会を鑑賞するイベントも人気です!
海好きな人が集まる【神奈川】

5. 世界文化遺産を見に行こう【兵庫】

古くからの港町である兵庫県神戸市は、実はバリアフリーの先進都市。無料で車いすをレンタルできる「KOBEどこでも車いす」は、市内12カ所のどのスポットでも貸出・返却できる便利なサービスです。さらに世界文化遺産の姫路城では、車いすでの移動のポイントや多目的トイレの場所などを記載したマップを用意。写真映えする撮影スポットの案内もあるので、より観光が楽しめそうですね。
 
観光の間も同行してくれる介助人 や、 旅行 の手配は、「神戸ユニバーサルツーリズムセンター」に相談すると安心です。
 
また、旅行に少し不安を抱えている方は、必要に応じて医師・看護師の同行 を依頼するとよいでしょう。「こひつじクリニック」と提携している 「株式会社アグヌス」へご相談ください。
世界文化遺産を見に行こう【兵庫】

6. 車いすに乗って天守閣へ【熊本】

九州新幹線が開通して以来、ますます観光地として訪れやすくなった熊本。駅や空港、港で車いすをレンタルでき、返却時も電車や飛行機の時間に合わせて引き取りに来てくれます。ユニバーサルデザインの 観光施設や宿泊施設については、「くまもとユニバーサルツアー センター」にお問い合わせください。
 
2016年の地震で重要文化財の建物が被害を受けた熊本城ですが、復旧後 はなんとエレベーターを設置。地震の 前は外から眺めるしかなかった車いす利用者も、大天守 の展望室まで上がることができるようになりました。最上階から一望できる熊本のすばらしき街並み。ぜひ、足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
 
また九州7県のバリアフリー施設を掲載した無料の観光情報誌「そらよか九州」は、福岡空港内の「福岡空港しょうがい者・こうれい者観光案内所 」で配布しています。
車いすに乗って天守閣へ【熊本】

7. 南国で身も心もリラックス【沖縄】

いわずと知れた観光地・沖縄は、誰もが安心して楽しめる観光地づくりに取り組んでいます。那覇空港に降り立つとすぐに見えてくる、「那覇空港 しょうがい者・こうれい者観光案内所」。バリアフリー対応の観光地や宿泊施設の案内、介護タクシーの手配のほか、必要になったとき のために透析施設の案内もしてもらえます。バリアフリー対応のビーチも増えているので、ぜひ海遊びにも挑戦してみましょう。
 
さらに、沖縄全域のバリアフリー情報を掲載した無料情報誌「そらくる沖縄」もお役立ちツール。観光案内所で直接もらうこともできますが、「沖縄バリアフリーツアー センター」に申し込めば送料負担のみで自宅まで送ってもらうことができます。旅の予習に重宝しそうです。
南国で身も心もリラックス【沖縄】

8. まとめ

観光地のバリアフリー化がどんどん進んでいる今、旅は誰でも楽しめるものになっています。普段は自分の足でがんばっている人も、長距離を歩く旅行先では車いすを利用して、リラックスした気分で楽しむのもよいのではないでしょうか。
 
各地の情報センターに相談すれば、無理せず楽しめるスポットを紹介してくれます。ぜひ、ご家族みなさんで旅行の計画を立ててみてください!
 
 
監修:久保田牧子さん
 
 
久保田牧子(くぼた・まきこ)  ※写真下
「 NPO法人 東京ユニバーサルツーリズムセンター(NPO法人  高齢者・障がい者の旅をサポートする会) 」理事長。数々の雑誌編集を経て、2007年 に「高齢者・障がい者の旅をサポートする会」 を設立。高齢者や障がい者がイキイキ暮らすための「旅」をテーマに、自身も旅サポーターとして国内外の旅に同行している。
まとめ
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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